17/214
戦争で死ぬよりも特高の方が怖かった
「当時・・・・・
戦争のあの当時
『銭湯の冗談でさえも特高には筒抜け・・・』
そんなことを当時よく隠れて言ってたもんだけど
それでもどこに特高の飼い犬がいるかなんて
そんなの誰にもわかりゃしないから
内心言ってて怖かったよ・・・。」
「特高っていうのはね・・・・・
正式には特別高等警察っていってね
当時 社会主義者や共産主義者なんかをね
査察内偵して取り締まる警察のことなんだけどね
そりゃあもう ほんとうにおっかなくってさ・・・
連れていかれたらそれこそもうお終い
死ぬよりもずっと苦しい拷問受けて
たとえ生きて帰って来れても
ありゃ酷かった・・・。」
そう言うとその人は・・・・・
思いだしたように目を固く閉じて身震いをした。