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ぼっちと帰宅

校内中に響くチャイムを背に生徒たちが雪崩(なだ)れのように教室から出ていく。

なぜこうも、同じ音でありながら授業開始のチャイムと下校のチャイムでは開放感が格段違うのだろうか。

実はちょっと音程違ってたりする...?


さて。

学校生活...いや、青春と云えば何が連想されるであろうか。

下校中に友人と寄り道するファミレス?質問が飛び交う勉強会in図書館?

何にせよ、多くの人の頭に浮かぶことが多いのは「部活」であろう。

どこかのポスターで、『青春は、「勉強」と「部活」だ—。』みたいなのを見かけたことがあるが、単純計算、俺は青春とやらの50%を損している訳だ。


いや、訂正しよう。俺には立派な「帰宅部」という存在があるではないか。

つまり俺は青春を十分に謳歌している訳だ。


帰宅部—、一見すると(一見しなくても)部活じゃないように思われるが、

はっきり、言おう。活動に意義はある。間違いなく。

部員である俺が言うのだ。


他の部の部員たちが汗水垂らして部活動に励む中、一足先に帰宅することで帰り道の安全を確保する。

これは立派な活動と言ってもいいのではないだろうか。

また、随分幼稚に思われるかも知れないが、

どれだけ早くに帰路に着き、どれだけ早く帰宅できるか「帰宅RTA」

流石にやっても中学生だと思うが「白い線オンリー帰宅」。

立派な競技まで存在し、たくさんの部員が自己ベストを目ざそうと活動に勤んでいる。


何なら帰宅委員にまでも所属している。いわば俺は帰宅のプロフェッショナルであろう。


部活動の準備をする人たちを尻目に、ポケットに手を入れて廊下を歩いていく。


「うわぁ〜。今日まぢ部活だるいわ〜」

うっせえな!嫌なら何で入部してんだよ!

「おまなんだよそのジャージww錦駒圭(にしこまけい)かよw」

うっせえな!服装だけで似てたらみんな似てるわ!


下駄箱に着くと、目の前を集団が走り去っていった。

いわゆる「内周」とやらであろう。見かけるたびやる意味あんのかと思ってしまうが、今日は雨なので仕方がないのだろう。

ふと、最後尾に知っている顔がいた。

確かあの人は、進級当初、話しかけてきた人ではなかろうか。

俺のコミュ力(笑)を知らずに話しかけてきたのか、おどおどしてる俺に戸惑いながら立ち去っていった人だ。名乗っていたから名前はわかる。

確か、烏賀陽(うがや)さんだ。あれ?宇田川(うだがわ)さん?...待てよ、宇賀野(うがの)さんだった気が...。

てか話しかけてきたのあの人だっけ...。

人間関係を重視しないあたり、この辺曖昧である。

まあ...覚えてても...話しかけも話しかけられもしないので使用タイミングないんですけどね....えへへ........。


内周に励む生徒を見守る教師に軽く会釈をして、傘を差しながら昇降口を出る。


ちなみに、中学生の頃は英語部に入っていたことがある。人数も去年までは1年

二人だけで、俺含めた3人が入ってこなければやばかったであろう。


英語を使って様々なテーブルゲームをしていた。

と言っても、AETの外国人教師がオタク故、日本語対応してるので会話の8割9分は日本語であった。


前期中間の通信簿で、所属部活欄のところが空白になっていて、(恐らく地味すぎて部活自体忘れられていた)入部した意味あったのかと冷静に3秒間考えた末、

退部した。






訂正しよう。

...何が青春を十分に謳歌してるだ。バーカっ




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