ぼっちと通学
見慣れた風景。毎朝目にする光景だ。
通学路―、学校が楽しみとか言う変人にとっては希望に満ちた道だろう。
その一歩一歩が、今日への期待で満ちてるんだ、きっと。
一方、俺みたいな人種にとっては絶望の始まりである。
「あー、今日も失敗するんだろうな」、「怠い」、「眠い」、故にそんな思いを込めた一挙手一投足はめちゃくちゃ重い。
信号が青になるのを確認した後、下を向きながら歩みを進める。
長々とした白黒の連鎖にも飽き、顔を上げる。
すると、目の前に騒がしい集団がいた。会話の内容は部活動やら授業やらの話。
笑顔満点できゃっきゃっきゃっきゃと、うるs......騒がしい。
そう、俗に言う「陽キャ」である。
俺みたいな「陰気なキャラクター」の略、「隠キャ」の対語として編み出された言葉。
主にネットなどで用いられるスラングだが、俺たち隠キャにとっては差別用語でしかない。マジ作ったの誰だよぶっ飛ばすぞ。
まあ、そういうとこを一々気にしてるから陰気なんでしょうね。反省します。
マジ作ったの誰だよぶっ飛ばすぞ。
いつしかネットの呟きで見た「隠キャがいなきゃ陽キャはいねえんだよ!」
なんか必要悪みたいになってるけど、俺たちのおかげで陽キャは成り立っている訳だ。ホントに感謝して欲しいものですね。
いや待てよ...
逆に考えれば陽キャがいなけりゃ、隠キャなんて概念そもそも生まれないんじゃね!!??
なんか腹立ってきた滅びろ陽キャ!
そんなことを1人思い耽りながら歩いていると、学校へ着いたようだ。
気怠さと絶望とともに、背丈の何倍もある校門を見上げる。
もうこれが地獄の門に見えてきた。「汝等こゝに入るもの一切の望みを棄てよ」とか記されてそうだもん....。
そんな妄想を嘲笑うが如く、登校時間を終えるチャイムが鳴り響いた。
絶望の音を背に、
あ〜ぁ、まじで学校爆発しねえかなあ。