1年越しの決意
悪夢から覚め、未だに収まらない鼓動を押し殺し、部屋をでた。
まずは朝の習慣をこなしてしまおう。裏庭の井戸に向かう。歯を磨くにしろ、顔を洗うにしろ水が必要だ。悪夢のせいで喉がひどく乾いている。急ごう。
井戸にはミトーおばさんがいた。挨拶を交わし、僕はその横で用事をすませるとしよう。するとミトーおばさんが話しかけてきた。
「本当にやるのかい?危険なんだろう?私はこのままこのパン屋を継いでほしんだけどねぇ。」
「ミトーおばさん。その話は昨日もしたでしょ。それに命の宝珠があるから平気だよ。死にはしないから大丈夫。」
「でもそれは一度だけだろう?二回は防げないなら意味ないじゃないか。」
「うぐっ。わかってるよ気をつけるから。それに昨日も言ったろ。僕はまだ悪夢を見続けている。それはきっと僕がまだ前に進めていないから。きっかけが欲しいんだ。この悪夢から逃れられるきっかけが。」
「本当にあんたって子は。私が何をいってもダメなのはわかりきっていたことだったね。せめて死ぬんじゃないよ。必ずここに帰ってきな。」
「はは。ミトーおばさんは気が早いなぁ。挑戦者になるとはいったけど、だからってすぐには出ていかないよ。準備とか色々あるからね。」
「何いってんだいあんたは。善は急げって言うだろ?」
「え!?俺が出て行くのが善なの!?」
「そうさね。養う人間が一人減るだけで楽ってもんさ。はっははっは!」
悪夢から解放されたい。そう望むようになったのはあの時からだ。
数日前。街の大広場で攻略組の演説があった。彼曰く、死亡を防ぐアイテムが見つかった。これによって戦闘において死は少し遠ざかった。しかし、このアイテムを手に入れるために多くの仲間が犠牲になった。今の前線には戦力が足りない。このアイテムを支給するから立ち上がって欲しい。と言う事だった。
そのアイテムは「命の宝珠」と呼ばれ、攻略組の活動によって解放されたアイテムだ。効果は身代わり。所有者のHPが全損した時自動的に発動し、HPが満タンの状態で復活するそうだ。このアイテムは教会で買う事ができるため希少性が高すぎると言うこともない。
まさに渡りに船といったアイテムだった。それさえあればこのデスゲームはただのゲームになるのだから。ただしその船は泥舟であるが。
こんなゲームバランスを崩壊させるようなアイテムに制限がつかないはずがない。このアイテムには2つの制限がある。
一つ。使用後1週間のあらゆるアイテムの使用不可。
二つ。使用後1週間のあらゆる回復行為を無効化する。
このふたつにより事実上命の宝珠を使用すると1週間戦闘行為ができなくなる。またたとえ生き残ったとしてもそこから街にまで帰らなければならないためこのアイテムで死を回避できるかといえばそうではない。
だが制限ましましの泥舟であろうと乗ろうとするものは多かった。この世界から一刻も早くログアウトしたい。それだけを願って。
のちに宝珠ラッシュと呼ばれるこの時期に僕も乗っかって旅立とうと思う。大広間にて命の宝珠は受け取ってきた。まずはギルドに向かおう。僕はまだスタートラインにすら立っていないのだから。
~挑戦者ギルド~
あの時とは異なりある程度の長さの列に並ぶ。周りには僕と同じように宝珠を受け取った人たちがいた。彼らは僕と違ってすでに登録を済ませているのか、少人数でグループを組みまとまっていた。おそらくすでにパーティーを組んでいるのだろう。酒場の席で談笑しているのはこれからの冒険に花を咲かせているのかもしれない。そしてその中に一際目立つ装備の攻略者が数人。彼らはこの流れを見届け、素質のあるものにはクランに招待されパワーレベリングの果て最前線で戦う切符が渡されるのだろう。心なしか少し殺気立っている気がして僕は少しビビっている。いや僕はって言うか初心者みんなが。おそらく本人たちにその気はないのだろうが集中しすぎて目が怖い。
僕はそっと目をそらし、順番が回ってきた受付の方を見る。
可愛い。
第一印象はみんな一緒だろう。女性を褒める言葉は色々あるがこの子は可愛いと言う言葉がよく似合う。
「次のかたー。」
「可愛いですね。」
「ひゃい!?」
「ごめんなさい。なんでもないです。挑戦者登録にきました。」
危ない危ない。考えていた言葉をそのまま言ってしまった。
「え?あっはい。挑戦者登録ですね。それじゃあギルドカードを作るのでこの針で人差し指をチクっとしちゃってっください。」
「え?なんで針?え?刺すの?」
「えいっ。」
イッテェッ!このこ可愛い顔しながら人の指差しやがった!?めっちゃ血出てる!?しかも冷静に流れ出てる血を採られている!?
「ななななな.....なんで.....」
「いや〜ギルドカードって作るときに血が必要なんです。その血で登録者とカードを紐ずけすることで完成するんです。」
「いや。説明してくれれば自分でやりましたよ....」
「ごめんなさい。でも今日なんか登録者さんが多くて。毎回慌てたりモジモジしてなかなかささなかったり。面倒なのでやっちゃいました。ほらこんなこと言っている間にギルドカードができましたよ。はい。どーぞ。」
受け取ったギルドカードを見てみるとHP、MP、STRとかのステータス、JOB、EQUIPMENT....うんこれ所謂ゲームのメニュー画面だね。どうあがいてもひらけないわけだ。
そして1番下の項目。ログアウトは薄暗く変色している。やはりログアウトができないみたいだ。
「ギルドカードの確認できましたか?」
「はい。これなんですが「ごめんなさい。ギルドカードって他人から見えないようになっていて、基本的には質問に答えられません。」あ。はい。」
「ただ一応ギルドカードにも共通の機能があります。一つは情報共有。討伐数とか、現在のジョブとかをギルドと情報が共有されます。二つめがアイテムボックス。いくつかのアイテムを内包できます内容量はギルドカードで確認できるので確認しておいてください。次が装備機能。ギルドカードから装備するとアイテムボックス内の装備が自身に装備された状態で出現します。着脱がちょー楽です。自分でつけられないとかがあるので結構便利ですよ。」
「それでは、そのほかの基本事項について説明してもよろしいですか?はいそれでは始めますね。ようこそ挑戦者ギルドへ。本ギルドではクエストの斡旋。素材の買取や販売、鑑定。ジョブチェンジなど挑戦者にとって必要なサポートしております。
まずクエストの斡旋についてです。我々はその街の近くで発生しているクエストを紹介、斡旋しております。種類は討伐、採取など多岐に渡ります。クエストは専用のクエストボードに貼り付けておくのでクエスト用紙をそのまま受付にお持ちください。中には完了までに制限時間がついていたり失敗した際に違約金が発生したりするので注意事項には必ず目を通すようにしてください。クエストはギルドを通さずに行われることがあります。たくさんの人と話してみると意外な発見があるかもしれませんね。
討伐クエストで手に入れた素材やクエスト外で採取した素材などを買取ります。ちなみにギルドに売らずに別で処分する方法もございます。お好きな方法を選択してください。
挑戦者ギルドでは挑戦者が塔を上がる手助けをしています。その一環として基本ジョブを提供しています。基本ジョブには騎士、戦士、ハンター、魔術師、盗賊とあります。それぞれに特徴があり自分にあったジョブを探してみてください。ジョブにはそれぞれ最大LVが設定されており、基本ジョブは20LVまでです。ジョブは合計LVが1000まで複数所持することが可能です。またいらなくなったジョブは教会にて消去することができます。しかし消去すれば当然レベルもなくなるので消すときにはよく考えた上でお願いします。
その他周囲のモンスターの情報、オススメの鍛冶屋、マップの提供など様々なサポートを行っています。
何かあった際には気軽に相談してください。」
「お。おう。」
でた。AIモード。
この世界のAIは基本的にほぼ人間と見分けがつかないレベルの知能を持っている。会話もつつがなく進み、発音も綺麗だ。対面で見たときに見分けがつくプレイヤーはほぼいないだろう。
だがそれでもほぼ人間と言われるには理由がある。それがAIモード。AIたちは基本的に与えられた役職の仕事をするときひどく単調になる。つまり鍛冶屋に入ったら「おう。いらっしゃい。何か買っていくか?」と言ったようにさっきまで普通に喋っていたのに急に機械的になることがある。
今回のこの説明もそうだ。おそらくこの説明文は一言一句違わずに毎回言っているのだろう。ちなみにAIモードは僕が勝手に名付けた。
「えっと。じゃあ早速ジョブについてみたいんですけど。」
「はい。じゃあこれで登録の説明は終了しますね。3階のカウンターにてそれぞれのジョブについて詳しい話が聞けるのでそちらに向かってください。お疲れ様でした。」
ん?ここでできるわけでもないのか。普通のゲームでもカウンターは複数に分かれていたか。ならこのギルドがこんなに大きいのにはそれぞれの階層に意味があるっていうことか。ていうことは全てのギルドはこれくらいの大きさだということ?小さな村や町にこのサイズの建物は違和感が大きいぞ。
~ギルド3階カウンター~
3階は1階と違って狭い印象を受ける。狭いというか、病院のように小さい部屋がいくつかあり階段を上った正面にカウンターがある。雰囲気はナースセンターに近い。
「すみません。ジョブチェンジをしたいのですが。」
「はい。こちらはジョブカウンターです。ジョブチェンジですね。ジョブについての説明は受けていますか?」
この人は1階のこと違ってクールな印象を受ける。綺麗という言葉が似合う真面目そうなイメージ。委員長タイプ。というかギルドの受付嬢みんな顔面偏差値が高い。というかゲームから基本的にどんなモブであろうと美男美女が多い
「登録の際に少しだけ。」
「かしこまりました。それでは当ギルドで受けられる基本ジョブについて説明しますね。基本ジョブは基本と付くだけあって大きな特徴はございません。ただしそれでも少しずつさはございますので各ジョブ通しで何が違うのかについてご説明させていただきます。
まず騎士についてです。騎士は他のジョブに比べて防御に秀でています。その代わり鎧やタワーシールドなど重い装備を身につけることが多く機動力にかけます。
次に戦士です。戦士は火力に秀でていて、ステータスの防御が伸びにくい傾向にあります。
次にハンターです。ハンターは機動力に長けており器用さに長けており、火力や防御は他のジョブに比べて控えめな成長をすることが多いです。ただし器用さに長けているおかげで、弓など多様な武器を使用できます。
残り二つは今までと異なり少し個性が強いですね。
まず魔術師ですが、端的に申しますと魔法が使えます。ジョブLVに応じて魔法スキルを獲得します。強力な魔法が使える代わりにステータスの成長は他に比べると著しく低くなります。
次に盗賊です。こちらに関してはそもそも戦闘職ではなく一般職に該当します。そのためステータスは全体的に控えめな成長をします。その代わり鍵開けなど特殊なスキルを取得します。このジョブに関してはそもそもダンジョンに潜る挑戦者の方々から、宝箱や罠に精通したジョブが欲しいという要望に応えるためのものなので、パーティーで必要になった際にお求めになることをお勧めします。」
うーん。僕は何にすべきなのだろか僕は不器用なことが確定しているから、騎士か戦士あたりの方がいい気がする。ハンターは器用さが上がるってなってるげどそれは僕にも通用するのだろうか?でもたとえ器用になっても不器用ー器用=普通だったらそもそもハンターのいいところほとんどなくなってしまう。やっぱり騎士か戦士かな?
「質問いいですか?」
「もちろんいいですよ。」
「えっと。ジョブはそれぞれ特定のステータスに影響を及ぼすとなっているんですが、傾向があるとかいう表現はどういうことなんですか?」
「これはジョブというかそもそもLVアップの概念によるものなんですが、LVアップとは魂が成長することであり、魂の成長はモンスターを討伐した際にそのモンスターの魂が吸収されることによって成長すると言われております。そしてステータスとは魂の形。その形によって防御が得意、高い火力が出せるといった個性すなわちステータスにつながります。ジョブとは魂の形をある姿に近づけようとします。その結果騎士なら防御が得意といった特徴を持つことになります。しかしながらケーキを型を使って作ろうとしても生地が型からはみ出してしまえば、ケーキの形もまた変わっていきます。」
「つまり?」
「ランダムです。モンスターを討伐した際には一定の方向性を持って成長していきますが、稀に魔法使いなのに物理で殴った方が強かったりもします。自分の成長が気に入らない方は一度消去しリセットしてもう一度挑戦するといった方もいらっしゃいますね。」
ステータスの成長はランダムなのか。話を聞くかぎりそんなに頻度よく外れるってことはなさそうだけど。でも何度でもやり直せるっていうことにはそういう背景があったのか。とりあえずで適当にジョブをつけられるってヌルゲー?って思ったけどこれはやり直せないとクレームがすごそうだ。逆に高ステータスになるまでリセマラするっていうやり方も最大レベルが1000であることを考えるとリセットするくらいなら次のジョブについた方がいいってことになるから、リセマラしたらゲームバランスが崩れるっていうこともなさそうだ。これが普通のゲームだったのなら廃人たちがクリアした後にリセマラしまくるんだろうけど。
「あと気になったんですけど、盗賊って悪用されないんですか?鍵開けとか家に盗みとか入られそうなんですけど。」
「基本ジョブというだけあって鍵開けなどのスキルはそこまで使い勝手は良くないです。町の鍵は大体魔法的な措置がされているので魔法も盗賊もどちらも高いレベルでないとそもそも突破すら難しいです。それに色々な方がいるので犯罪者とかを見つける手段はたくさんあります。」
はえー。色々考えられているんだなぁ。
とりあえず僕はどれにしようか。王道で行くなら騎士かな?盾と剣は憧れるなぁ。でも武器を当てられるかが心配だな。それなら一発一発重みがあった方がいいかもしれない。それに僕はただでさえとろいのに機動力の劣る騎士になったらそれこそただのマトだな。
「一応戦士を考えているのですが武器でお勧めとかありますか?できれば威力が高いのがいいのですが。」
「高威力ですか。戦士はグレートハンマーとか大きい武器がお勧めですが。そもそも初心者の方はあまり選択肢はないと思いますよ?」
「え?なんでですか?」
「私がお勧めした武器は値段が張りますがご予算の準備はございますか?」
あ。
プレイヤーは最初に1000ゴールドを持ってこの街を訪れる。1000ゴールドはパン一個が3ゴールドなので、一食につき1つ食べると一日3つ食べると、大体四ヶ月ほどの食費に該当する。そして僕の所持金は1136ゴールド。
「ちなみにいくらくらいしますか?」
「大体鉄製の武器で安くて数千から高いもので数万くらいです。」
「あっないです。あれ?でも武器が買えないとなるとどうしたらいいんですか!?まさか素手で!?」
「いえいえ。大抵の方は購入ができないのでギルドの方から貸し出しています。先に選択肢がないとはこのことで、ギルドでは剣の貸し出し、それと簡単な革の胸当てを貸し出しています。1階カウンターで申請できますので帰る前に申請をお勧めします。」
なるほど。他ゲームでもあるように最初から武器防具は用意されているのか。それなら最初から持たせてくれればいいのにとも思うがよく考えたらこのゲームメニュー画面すら支給式だった。指振ったら画面が出てくるなんていう摩訶不思議はありません。ギルドカードに物が入るっていう摩訶不思議はあるけどね。
「わかりました。とりあえず戦士に転職させてください。」
「かしこまりました。それでは戦士の間は空いてますのでそのまま左の道を直進し突き当たりの左側の部屋に入ってください。転職については部屋でご説明します。」
~戦士の間~
戦士の間はそんなに広くない。畳6畳くらいだろうか。こじんまりとした個室には明かりがなく、部屋の中央に小さな机がおいてある。その上には一冊の本。
「この世界においてジョブは一つの方法でしか取得できません。それは本を読むことです。」
「え?本?」
「はい。ただ普通の本ではダメです。この塔にジョブと認められている本でなくてはいけません。塔には転職の書が無数にあり、それに伴いジョブの数も無数に存在します。ジョブの内容は書の内容に深く関係しています。例えば赤ずきんちゃんだと狩人だったり。主役に似ることもあれば話で活躍した別の誰かに似ることもあります。また転職の書は、伝説の書や伝記、おとぎ話が多いことから別名妖精の書とも呼ばれたりもしますね。」
え?本?それにフェアリーテイルって。フェアリーのところだけかけているのかな?
「えっと。なんか就きたいジョブの人のところに弟子入りするって聞いたことがあるのですが。」
「大体ジョブについているということはその人が転職の書を所有していることが多いです。なので弟子入りして認められたら読ませてもらう。そうやってジョブは継承されます。特に難しいことはないので読んでみてください。」
本を読めばジョブにつける。逆に言えば本がなければジョブにはつけないのか。ということは本を見つけ出すことがこのゲーム攻略のかぎと言える。なんとも変なシステムを起用したものだ。いや色々なゲームがある中これくらいぶっ飛んでいないとダメなのかもしれない。
それで戦士の転職の書は「戦士の心得」か。なんともわかりやすいタイトルだな。
第1章 無謀と勇猛
第2章 常在戦場の意識
第3章 鋼の意思
ってなが!これ第10章とかあるけどこれ全部読むの?結構時間がかかりそうだな。
「全部読まなくても大丈夫ですよ。おそらくすでに戦士になれていると思いますのでギルドカードで確認してみてください。」
え。読まなくていいの?正直助かるけどそれならジョブ獲得に本を読む意味は!?
お。本当にジョブにつけてる....
「ちなみに当ギルドの転職の書は全て開くだけで転職できますが、他の転職の書も同じとは限らないのでもし気になる書物を見つけたら一通り読むことをお勧めします。」
これが特別なだけか。確かにそれができるなら図書館とかでひたすら開いて戻すを繰り返すだけで見つけられそうだし。まぁそんなところにはないと思うけど。
「これで転職は以上です。お疲れさまでした。」
~自宅~
「ただいまぁ」
「あらもう帰ってきたのかい?外には出てみたの?」
「マダァ。明日から頑張る。」
「全く。そうやって明日から明日からって言って三日坊主にならないといいけどねぇ。」
「努力いたします。」
あれから1階カウンターで初期装備を受け取ってきた。初心者の剣と初心者の胸当て。どちらも「初心者シリーズ」と言われ挑戦者の中では有名らしい。みんなこの道を通っているんだもんなぁ。それにセットスキルで「経験値上昇(微)」がつくらしい。これが最初の2、3LVにはバカにならないとか。それ以降はゴミ確定なので速やかに返却したほうがいいとのこと。当たり前だけどものを借りるには料金を支払う必要があり、これは1週間で100ゴールドだった。確か武器を買うにしては安すぎるが、それにしても使い続けるには性能が悪くお金をかけるほどではない。これは早急にお金をためて自分にあった装備を購入しよう。
そう心に誓い。今日は明日に備えて早く眠ることにした。
この時の僕は自分が致命的な勘違いをしているとは思っていなかった。それがこの世界でどのような意味を持つのか理解していなかった。