35.ブルーベリーズ
「じゃあ、もう俺は監督じゃないんで、社長として以下の目標達成を命じる。」
さかつく目標
以下を3年以内に達成する。
・さかつくで、天皇杯制覇する
・さかつくで、J1制覇する
新監督就任ミーティングの中で、無茶ぶりは唐突に発表された。
それから3週間………。
未来新監督の元で大幅なメンバーチェンジや戦術変更がなされ、結果は2連敗という悪い方に転がってしまった。それにも関わらず、なぜか雰囲気は明るい。
「「ちわ~。」」
学校が終わり、未来と勇気がクラブハウスにやって来た。未来は、いつもニコニコ笑顔だ。そして、とにかく声がでかくて元気がいい。
さかつくは、もともと明るく雰囲気の良いチームだったのだが、未来が入部してからはさらに磨きがかかっている。
未来がいるだけで、ワイワイガヤガヤのボリュームが一気に3段階くらいアップするのだ。
2人が荷物を置くと、未来は仲地達のところに行き、勇気はヨウ達のところに来た。
ヨウ、わさび、もんちゃんが一緒に夕飯を食べており、ここに勇気も加わる。
(なんかチームの雰囲気変わったよな。これって未来のチカラが発動してるの?)
ヨウが夕飯を食べながら、こっそりわさびに聞いてみる。未来が『授かりし者』ということは、わさびに聞いて知っている。
(たぶん違うよ。これは、未来君のもともと持っている素質だよ。)
わさびも、こそこそ答える。
「へ~、すごいね。あんなやついるんだね。」
チカラが関係ないならと、今度は普通の声で会話を始めると、もんちゃんが「なになに?」と反応してきた。
「いや、未来が1人来ただけで、ここまで雰囲気が変わるんだね。」
ヨウが、もんちゃんに答える。
「未来は生粋のゲームメーカーだね。俺もいろんなやつを見てきたけど、ここまで影響力のあるやつは初めて見たよ。さすがはアンダー代表候補様だ。でも、この世代なら勇気も負けてないもんね。」
もんちゃんが、勇気の背中を叩く。
「俺じゃ、全然ダメだよ。」
勇気が沈みがちに答える。
「いやいや、さすがに素人の俺でも分かるよ。未来も勇気も、2人とも天才だよ。」
ヨウが、もんちゃんに同意しつつ、勇気をヨイショする。チームのためにも、勇気には調子を上げてもらわないと困る。
それにしても、天才が、さらにチカラまで持っている。2人ともすごいな。勇気は、まだまだ発展途上だけど、未来はもう完成してそうだ………。
「ヨウ、未来君のこと完璧人間だと思ったでしょ。あの子は、サッカーでは非の打ち所がないのかもしれないけど、女の目から見たらサッカーバカよ。あの子を好きになって泣いてる娘もきっといるよ……。」
わさびが勇気のためを思ってか、未来を落とす。
「未来は、確かにサッカーバカだ!俺もサッカーバカだけど、俺ならわさびさんを泣かせないもんね。」
ここで、もんちゃんアタックが炸裂する。
「あ、ありがとう………。」
わさびは、相変わらず、さらっと受け流す。
もんちゃんさんや、夏海と仲良くしなさいな。
「そう言えば、もんちゃん。『まちカフェ』なんだけど、ユミちゃんの手伝いお願いできないかな?大人気でお土産の生産が追いつかないらしいんだ。もんちゃんは器用だからヘルプして欲しいってさ。」
「いいよ。ちゃちゃっと片付けて、ユミさんと相談したいこともあるもんね。」
それって、おれとユミちゃんをくっつける作戦だよね………。そうなれば、わさびがフリーになるから、もんちゃんにも得があるなんて相談だろう。もんちゃん、わざと言ってるのかな~。なぞだ………。
それにしても、さっきから勇気が静かだ。
未来と勇気は幼なじみらしいから、応援パワーの影響受けないのかな………。
*****
未来の新体制は、大幅なメンバー入れ替えをした。
新体制の1試合目 (6回戦)、まず、もんちゃんと勇気をスタメンから外した。そして戦術を3-5-2に変更。ヨウを右FWとした。未来は、この布陣を『さかつくブルーズ』と命名した。青空市の青だそうだ。あと青空市の特産品のひとつであるブルーベリーからも取ってるらしい。
このチームは、リーグ戦を戦うために構成している。
2試合目 (7回戦)、仲地を始めとしたベテラン勢を外し、勇気を左FWに、もんちゃんを右SBに据えた。こちらも戦術は3-5-2だ。こちらのチームは『さかつくベリーズ』と命名された。天皇杯を勝ち抜くためのチームはとのこと。
これもブルーベリーから来てるな。
将来、『さかつくブルーベリーズ』なんてチーム名になるのかな………。
*****
「え~。では、ミーティング始めま~す。」
未来が全員を見渡して話し初める。
「社長の目標だけど、なんとかなるんじゃないかな~と思ってます。」
「どの目標?」
もんちゃんが声をあげる。
「全部ですよ!」
「確かに、全部できそうな気がするな~。なんせ、このチームには勝利の女神さまがいるもんね。」
もんちゃんの、わさび大好きアピールは続いていた。
「で、具体的にどうするんだ?さっそく2連敗だぞ。」
今のさかつくの雰囲気は良い。かと言って、このまま弱小チームになるわけにもいかない。仲地がキャプテンとして問いただす。
「え~。では、シンプルに説明します。」
++未来のプラン+++
・今年はリーグ戦優勝しなくて良いが、
降格しないこと。
・来年のリーグ戦は『ブルーズ』が、
天皇杯は『ベリーズ』が出場する。
・来年、『ベリーズ』で天皇杯を制覇し、
再来年『ブルーベリーズ』でJ1制覇する。
+++++
「つ、突っ込みどころ満載なんだが………。」
仲地を始め、みんなドン引きだ。
「とにかくみなさん、所属チームを最強にしていきましょう。じゃ、来週は『ブルーズ』の番ですよ。がんばって行こう~。」
ん?なんかチカラを感じた。あ、みんなの士気が上がっている。未来のチカラは、かなり強力なんじゃないかな?




