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30.まちカフェ あおい2

 月曜日の夜は『てっぱんの日』だ。

時刻は18時。今日は、坂本造園社員に加えて、商店会長を始めとする『まちカフェあおい』プロジェクトに関わる主要メンバーも来店している。


「それでは………え~、ごほん。さかつく首位独走おめでとう。乾杯。」


 お願いして、乾杯は商店会長にしてもらう。


 パチパチパチパチ


「それでは。ただいまから、第2回『まちカフェあおい』設立検討会議を始めます。」


「では、出席者をお知らせします~。


 青空市議会議員の山下さん~。

 駅前商店会長さん~。 

 青空駅長さん~。

 青空中学校の校長先生、PTA会長さん~。

 お好み焼き『てっぱん』の親父さん~。

 酒屋『こだわり』の親父さん~。

 お蕎麦『やまだや』の大将さん~。

 本、文具の『ブンチン堂』の店長さん~。

 挽きたてコーヒー『みのり』の店長さん~。

 お花屋『ひまわり』の店長さん、ユミさん~。

『青空高校』代表で、私と瀬川さん~。

『坂本造園』から~、社長さん、職人さん、

 さかつくサッカー部のみなさん、計30名~。


 全員で44名のみなさん、お願いします~。」


 さすがはアリス。どんどん進めてくれる。


「今日の主旨は、まちカフェプロジェクト実行案の披露とご意見伺いです~。

 今日はプロジェクト会議ですので、お代はいりません~。タダが気になる人は、その分、ガンガン発言してください~。

 それでは、今日の次第をお伝えします~。

次第は、お手元にもお配りしていますので、ご確認ください~。始めは、プロジェクトリーダー松本のご挨拶です~。」


 *****

 1.リーダー挨拶

 2.プロジェクト実行案のご紹介

 3.質疑応答

 4.グループ討議

 5.グループ発表

 6.次回お知らせ

 *****


「こ、こんばんは。みなさん、お腹空いてると思いますので手短に。」


『長えーよ』といきなり茶々を入れられながら、ヨウのパートが始まる。


「これまで、模擬店へのご協力ありがとうございました。実は、模擬店をやりながら、一体誰のために『まちカフェ』をやるのか悩んでいました。

 その答えは、先日の北豊サッカークラブとの一戦で見つけることができました。『まちカフェ』は、さかつくのように町の暮らしに組み込んでもらいたい。この町があるからさかつくがあるし、さかつくがある町だからの生活がある。『まちカフェ』も、そういう存在になりたいと考えます。」


「なんか難しい話だな。おい。」


 誰かが叫ぶ。


「た、確かにそうですね。では、具体的なサービスを伝えます。」


 相変わらずヨウはプレゼン下手だ。ただ、みんなが真剣に聞いてくれている。へこたれている訳にはいかないと、みんなに紙を配り内容を読み上げる。


 *****

『まちカフェあおい』運営規則案


<基本事項>

 1.坂本造園が管理する『あおい庭園』の管理業務

  及び、来客窓口として店舗を設立する。

 2.店舗は坂本造園が運営する。

 3.店舗への出店を会員制とし、施設使用料は会費

  のみとする。

 4.運営会社、及び、会員代表者で構成する理事会

  を発足し、運営に関わる検討を実施する。

 5.会費等の重要案件は、年次総会の2/3以上の賛成

  をもって決定する。


<細則(ルール)>

 1.公序良俗に反する出店は認めない。

 2.出店に際し、来訪者がゴミを出さないよう

  十分に考慮すること。

 3.販売物、食器等に『坂本造園』の印字を

  施すこと。

 *****


「ふ~ん。」


 商店会長がわざとらしく大きな声をだして、運営規則案を読みこむ。


 ざわざわと話し合いが始まった。

しばらく間を置いて、アリスに目配せをする。


「それでは、質疑応答を始めたいと思います~。」


「はい!」


「はい、もんちゃん~。」


「これって、会費次第では俺達、ほとんどタダ働きじゃないの?」


細則(ルール)の3に書いてあるだろ。お前ら、わしらを使って名を広めるんだろ。十分すぎる対価だぞ。」


『うき?』という顔をしているが、もんちゃんナイス質問である。


「さすが商店会長さんですね。まさにその通りです。会費として、多くのお金をいただくつもりはありません。その代わり、町を上げて坂本造園の作る『あおい庭園』を内外にアピールしていただきたいと思います。そのために、坂本造園は、あの土地を日本一愛される庭に仕上げようと思います。」


「つまりは広告っす。」


 夏海が、もんちゃんに寄り添いながら、大声で叫ぶ。


「場所を貸してやるから、しっかり坂本を宣伝できるよう考えて商売やれってことか。」


 商店会長は、嫌みっぽく問答に答える。


 ざわざわとした雰囲気が増し、ヨウに冷や汗が流れる。イレさんは、振り向きもせず、カウンターで日本酒をちひちびやっている。


 ざわざわ、ざわざわ、ざわざわ………………

 ざわざわ、ざわざわ、ざわざわ………………

 ざわざわ、ざわざわ、ざわざわ………………

 ………………………………………。


「で、代表は誰だ?坂本か?あんたか?」


「代表は、本山葵が務めます。」


「面白い。」


 ヨウがわさびを紹介すると、ざわついた雰囲気が一気に変化した。

 ここだ!アリスに再度目配せをすると、次の次第に進行する。超優秀だな。


「では、質疑応答に移ります~。」


「もうねぇよ。どうせ大して考えられてないんだろ?後は俺たちが考えるから任せろ。それより、飯食わせろ!」


 もう仕切る必要ないっすね。


 ヨウは安堵し、食事をしながらのグループ討議が始まった。ヨウは、わさびと夏海を手伝って酒や料理を運びながら、たくさんの話をした。

 理事会は、わさびを代表にして、坂本造園からイレさんとヨウ、町の代表者として山下市議、商店会長、青空駅長、PTA会長に決まった。ちゃっかりというか、夏海やアリスも理事になった。


 こうして、プロジェクト事務局を置き去りにして『まちカフェあおい』は、7月1日開店に向けて本格的に走り出した。

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