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プリンセスセレクション  作者: 笑顔一番
第二章 日輪を支えし歌姫
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50話 いざ探検へ

 お菓子を食べながらの作戦会議を終えると、俺たちはさっそく作戦を実行するために外に出ようとしていた。

 その途中に通りかかったステージには、警察が来て事件性について調べたりしているようだ。黒部さんがスタッフの人達に事情聴取しているのが見える。


「行きましょ。捕まったらやっかいだわ」


 その意見に異論を挟むこともなく、俺達4人は一度会場を後にする。


「あれから結構時間経ったけど、まだ近くに敵が潜伏してる可能性もあるわ。精々、気をつけることね?」


 アリスも幾分調子を取り戻したのか、傲慢な口調が多くなってきていた。

 ここから先は別行動。俺とナニィ・四葉とアリスに分かれてそれぞれの役目をこなさなければならない。


「オーケー。できる限り警戒する、四葉も練習頑張れよ」


「は、はい明日の本番までには仕上げて見せます!アリスちゃんのステージだってずっと見てきたし、舞台裏でこっそり練習もちゃんとしてましたから」


「ふっ、流石私の四葉。慢心はないようね、安心したわ」


「別にお前の功績じゃないだろうに……」


「いいのよ、私と四葉は正に一心同体。私の功績は四葉のもの、四葉の功績は私のものよ!」


「あっそ、仲のよろしいことで何よりだ」


 鼻高々といった様子に付き合い切れないものを感じるが、話が通じる気はしなかったのでスルーする。


「それではナニィ・ワロー・テール。偵察に行ってきます!」


 何故かナニィは肩に必要以上の力を漲らせ、気合の入った様子だった。胸を張るとその小柄な身体には不釣り合いなほどに自己主張をする二つの膨らみが更に強調される。


「……何でそんな気合入ってるんだ?」


 普段自信なさげで活動的でないナニィが今回の件にやたらとやる気を出しているのがちょっと意外だ。


「お恥ずかしい話なんですけど誰かに何かを頼まれるってほとんどなかったから、こんな私でも四葉ちゃんやアリスさんの助けになれるなら頑張りたいなって、そう思うんです」


「……そうか、そうだよな」


 鼻をフンスと鳴らして意気込む少女を見て、思わず微笑ましいと思ってしまった。

 自分やマルの時もこんな風に思って行動してくれたんだろうか?

 そう想像するとこっちまでこそばゆくなってくる。


「まったくお前ってやつは、この、この」


「え? 何で頭をくしゃくしゃするんですか!? なんか子供扱いされてる気がするんでやめてください!」


 照れ隠しのために思わずちょうどいい位置にあったナニィの頭を撫でまわして怒られてしまうが、構わずに少女の絹の様に柔らかな髪を満喫する。

 それはとても心地いい感触だったのだが、すぐ隣でコホンと咳払いする少女によって現実へと引き戻された。


「あんたら私達が目の前にいるの忘れてないでしょうね?」


 アリスがジト目で俺達を見咎める。

 その切れ目の長い瞳で見つめられるとそっち方面に適正がある奴は喜びそうが、生憎とそんな趣味はない。


「そんな訳ないだろ? 何言ってんだ?」


「はぁ、もういいわ」


 諦めたとでも言わんばかりにアリスは頭を振る。

 そんな様子を見て四葉はくすくすと上品に笑みを浮かべていた。


「それじゃあ俺達はそろそろ行くけどよ、その前に……四葉、念のため連絡先教えてくれ」


 これから別行動を取る際に緊急事態があった時のために連絡は取り合えた方がいい。

 そう考えて俺は自分のスマホを取り出していた。


「はい、分かりました。こちらがわたしの番号です」


 四葉から見せてくれたスマホに表示された番号を自身の電話帳にしっかりと打ち込む。

 やべぇ、アイドルの連絡先ゲットしちゃったよ俺。

 電話帳にきっちり登録された有栖院四葉の文字列に思わずニヤけてしまう。

 帰ったら小太郎に自慢してやろう。


「……あんたまさかとは思うけど、四葉に気があるの? 言っとくけど四葉はあんたみたいな一般人が釣り合うような子じゃないのよ? 生まれ変わって出直して来なさい」


「別にお前の連絡先でもいいけど?」


 ペアに分かれて行動する以上、どちらでも構わない。


「はぁ? 狙いは四葉じゃなくて私ってこと? 下賎の生まれの癖に思い上がるのもいい加減なさい? 私とあんたは似たような形をしてるかもしれないけど、実際は白鳥と鴉ぐらい違うの。本当ならあんたみたいな下男はこの私に声をかけることさえ許されないのよ?」


「お前が俺のこと嫌いってのはよく分かったよ、他にないならもう行くぜ?」


 アリスの電話番号を聞くのは難しそうだ。というかあいつスマホ持ってるんだろうか?そんな疑問が浮かんだがどうでもいいかと記憶から抹消した。


「よし、行くぞナニィ!探検だ」


「あ、ムクロさんちょっと待ってください!私を置いてかないでくださいよ!?あと、探検じゃなくて偵察ですからね?」


「どっちも似たようなもんだろ......途中はぐれんなよ?」


 慌てて後ろをついてくるナニィと一緒に、探検へと繰り出していった。

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