表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/10

お嬢様は退場を考える

 ああもう!

 何なのよあの人達は!!

 かまうなと言ってもかまってくる。

 ほっといてと言っても突っ掛ってくる。

 嫌いだと言っても関係ないと迫ってくる。

 話を聞かないどころじゃないわよ。頭がおかしいんじゃないの!?


 正面から言いにくいことを言ってくれるのがいい?

 私は嫌みを言ったのよ?恥を指摘したのよ?恥を周りに晒したのよ?

 それのどこが笑う要素があるのよ!


 簡単に靡かないのがいい?

 そんなの私以外にもたくさんいるじゃない。

 女性をとっかえひっかえしている事に白けている人は私以外にもいるわ。

 それに気が付かないで私以外は靡くと思っているところが傲慢なのよ!


 昔の約束を覚えているか?

 覚えているわよ。覚えているけれど、またいつか会おうねってだけじゃない。

 なんでずっと一緒にいるとか、結婚とか飛躍するの?

 そこまで言ってないっていうと殺すだの死ぬだのただの脅迫じゃない!


 あんたらが面白くても楽しくても私は不愉快でしかないのよ!どんどん嫌われているってなんで分からないかなぁ!

 え?こうかんどがまっくすだから仕方ないって…どういう意味?

 あいつらが私に向けている好意の度合いがすごい高いという事です…って何よそれ。

 つまりなに、どれだけ私が嫌っていても諦めるなんてことはしてくれないという事?

 やめてよそこで頷かないでよ。結局どうしようもないってことじゃない!!


 …え、お兄様?

 なんでそこでお兄様が出てくるの?

 お兄様はお兄様よ。何も変わらないわ。

 お兄様をどう思ってるかって言われても…お兄様は好きよ?

 あ、もしかして私にお兄様をとられると思っているのなら心配ないわよ。大丈夫!

 お兄様はお兄様であって家族だから!好きは好きでも家族愛でしかないもの!!

 二人の恋路の邪魔はしないわ。安心して。

 え、違うの?そういうことじゃない?


 …何よ、お兄様ったらまだ何も言ってないのかしら。変な所で奥手なのね。このままでは逃げられてしまうわ。


 いいえ!何も言ってないわ!気にしないで!!

 と、とにかくお兄様はお兄様よ!


 ああでも本当にどうにかならないものかしらね。

 悪役になれば嫌われると思っていたのに、なんだか裏目裏目に出ているし。

 気が付いていたんですかってちょっとひどくない?

 裏目になっている事ぐらい分かってたわよ…。


 嫌われるようにしている今の行動が裏目にでるならもう無理に悪役目指さなくてもいいかしら。

 うーん…でもこれまで積み上げてきたものを崩すのもなぁ…。

 精霊様の頼みごとももうすぐ終わりそうだし。

 そう、終わるのよ。終わってしまえば、この場所に未練なんてないのよ!

 貴族が嫌いだっていうのは変わりないし、というかあいつらのせいで余計嫌いになったし。友達は別に連絡を絶つことなんてしないし。

 もちろん楽しい事もあったけれど、この場所に固執する理由はどこにもないわ!!


 本当に無いのかって?

 無い…わよ?


 最近たまに夜中に出かけてるでしょって…な、なな、なんのことかしら!?

 ど、動揺なんてしてないわよっ!?

 わたしにだって一人で考えたいときというものがあって、だから、その、近くの湖まで散歩に行っているだけで、彼とは…別に…そういうのじゃ…。

 だって約束している訳でもないし。

 たまたまあの場所で会った時に話しているだけだし。

 話をしているだけで顔だって合わせたことないのよ。


 私だってもっと堂々と会って、彼と話でみたい。

 でも、私はここでは良い噂なんてないでしょう?

 悪役になりきれてないと言っても私を好きでいてくれる人は少数だわ。

 顔も合わせず話しているのが私だって知られたら、きっと嫌われてしまう。今までの関係を壊してしまう。

 そんなの嫌なのよ…。


 彼は本当に真面目で、優しくて、努力家なの。

 森の湖でこっそり練習しちゃうような恥ずかしがり屋で、ちょっとカッコつけで。

 学園でだって特質して目立つことがなくても、人一倍努力をして、努力して身につけた力を惜しむことなくやり遂げる。

 私みたいに人には無い力に頼ってなんていない。とても、尊敬できる人なの。


 そんな人が相談し合っていたのが私だなんて分かったら、きっと彼を傷つけてしまう。

 だから、私だって知られる前に立ち去るべきなのよ。

 未練なんて、ないわ。


 ね、お願いよ。

 私が精霊様の願いを聞き届けたらすぐにでも戻れるように手配しておいてちょうだい。


 私は大丈夫。

 もう少しで終わるのだもの。

 きっと、大丈夫よ。

モブメイド「お嬢様がいつの間にかフラグをポッキリ折っていた件について…」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ