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転生者は早く退場したい

※短編を少し修正したものです。内容は変わりません

※短編版は11/30に削除予定です。

 好きな人が出来ても悪口を言われて振られ、心の傷を癒してくれるような彼氏ができたと思えば浮気され、男というものを諦めていた時に親に勧められた見合い相手は金のかからない家政婦を探しているような奴だった。

 現実の男に裏切られる度に乙女ゲームに嵌っていった前世を誰が責められようか。いや、ない!!


 …え、そこで仕事に生きればよかったのにってお嬢様…この俺に、平々凡々な中身のこの俺に生き甲斐になるような仕事が見つかるとでも?

 そりゃ今は前世を反省して色々頑張ってますけど。今だってお嬢様のお願いに泣かされながら、お役立ち情報を集めてきてるじゃないですか。

『シミュレーションゲーム』も役立って良かったです。俺、頑張ってると思うんですけど。

 まだまだやれる?…頑張ります。


 それにしてもお嬢様にその無駄に綺麗な顔は利用価値があると言われて…諜報活動を始めた日々が懐かしいですね…。

 顔だけ良くても…てっ半信半疑だったのに、初めてのナンパがあんな簡単に行くとは思いませんでしたよ。

 『ゲーム補正』ってすげぇなぁと改めて思いましたね。


 え?ああ、前も言いましたけど前世が女であることはもう別に悩んでません。

 だから、俺は前世でやられたことをやり返そうとも思ってないんです。

 さすがに初めての朝の生理現象のときにはびっくりしましたけどね。今は抑えるほうが難しい…ってそんなことはどうでもいいんですよ。何言わせるんですか。

 …お嬢様、そこで照れないでくれませんか。なんか俺が辱しめたみたいになるじゃないですか。

 旦那様に見つかったら俺生きてる自信ないですよ。


 いいですか?落ち着きました?

 お嬢様の命令によって幼気な少女を弄ぶような事もやり遂げましたよね…。

 純情な子が夜這いに来たときはさすがにやり過ぎたと反省したもんです。

 そんなこんなで慣れたと言っても脳内花畑のあの子の相手は辟易しましたけどね。

 正義だの努力だの協力だの並べてくれますけど、その花畑な発言に対しての策がないどころか、現実も知らないんだから驚きですよね。設定では下町育ちのはずなのになぁ。

 お嬢様…なんで笑ってるんですか。


 そういえば、本題がまだなんですけど。

 本題ってなんだっけ?じゃないですよ。俺の努力はどこいった!!

 …からかうなら他の事でお願いします…本当に、凹むんで。

 早く報告しろってお嬢様が脱線させたんじゃないですか。

 まったく…報告しますよ。


 『攻略キャラ』の一人である騎士様に呼び出されたんです。

 これは呼び出しをされたときにお嬢様にご相談したので、知ってますよね。

 行きたくなかったんですけど…お嬢様の一声で行くことに…いえ、文句はないです。はい。

 騎士様は今やあの子の専属騎士様だそうですよ。

 あの子も来るかもなー嫌だなーとは思ってたんですけどね、意外にあの子はいなかったです。

 何故かボンクラはいましたよ。相変わらず意味不明なこと言ってましたけど。

 全部事細かに話すと長いし胸糞悪いんで要約します。


 仕事が無いならうちで雇ってやる。

 あの子も心配している。

 お前のしたことは許されることではいが、お前に罪はない。

 あの子がお前はお嬢様に命令されていただけだと言っていた。

 だからお前が気に病む必要はない。

 あの子もお前のことを心配している。

 学園にもそのまま通えばいい。

 あの子もそれを望んでいる。


 だいたい、二言目にはあの子あの子うっさいんですよ!

 雇ってやる?いらん世話だ!

 許されない?お前に許されることではない!

 つーか気に病んでないわ!

 心配してる?脳内花畑が俺を心配するなら国民を心配しろや!

 望まれたって誰が行くか!!


 …と、言ってやりたかったんですが言ってません。

 罪はなくとも許されないことをしたのは事実であり、自分だけ王女様の情けを受けるのは間違っている。この罪を反省し、慎ましく生きていくことを望んでいます。

 と、淡々とお話ししてきました。

 あちらは俺を一方的に恋のライバル(笑)と思ってるようでしたので、断ったら嬉しそうでしたけど。

 口では残念だ何だと言ってましたけどね。

 脳内花畑なあの子が諦めるかどうかは微妙ですけど。

 慈悲ぶかーいお姫様にとって俺はとーっても可哀そうらしいですから。


 …ねぇ、お嬢様。いつ出ていくんですか?

 俺たち使用人も旦那様も奥様もみんな準備万端ですよ。

 お嬢様だってやっと庶民に戻れるって嬉しそうだったじゃないですか。

 後始末が終わってからって、もうこの国に残ってまでするような後始末ないじゃないですか…。


 お嬢様、俺の取り柄は顔だけで中身平凡だし頼りないし出来ることは少ないかもしれないけどお嬢様の笑顔の為なら何でもします。

 例えそれが決められた運命だったんだとしても、俺を拾ってくれたのはお嬢様です。

 前世が女で、今は男で、混乱してる記憶を何も言わずに聞いてくれて、すごく嬉しかったんです。

 だから、俺はお嬢様の為ならなんだってしようって。

 そう、決めたんです。


 お嬢様が落とせと言えばどんなご令嬢だって落としました。

 お嬢様が誘惑して来いというのなら男だって誘惑しました。

 そう!無駄と言われたこの顔をフル活用!!


 え?『フル』の意味?

 最大限にって意味です。

 …最大限にはまだまだですか…そうですか…。


 しかしお嬢様、俺の言葉を覚えても俺以外に通じませんよ?

 俺の話を聞きたいから覚えてる…と。

 意味が通じたほうが楽しいじゃない…と。

 二人だけの秘密の言葉みたいで嬉しい…と。

 いや…俺も嬉しいです…けど、なんか、はずかしい。


 お嬢様…俺は中途半端だし、こんな俺に何が出来るか分からなかったけど、俺は…お嬢様のこと…


 ってそこぉ!立ち聞きしてんじゃねぇ!!

 何で旦那様と奥様までいるんですか!!

 旦那様、手は出してないんで剣をぬこうとしないで下さい!

 何が言いたかったのって、お嬢様今聞きます?ここで聞きます?!

 ムードってものがですね、いや、ムードの意味はって今は流しませんか?

 嬉しいって言いましたよ!言いましたけど時と場合と場所っつーものがありましてね?!

 いや…もうお嬢様が笑顔ならそれでいいです。


 いいですから…もう早く退場しましょうよ…。

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