1揉み目:おっぱいを欲する
私、国本四季と親友である三島優奈は日頃のストレスを発散するため、市内のとあるカラオケに来ていた。
席に座り、俯いていた私はふと顔を上げ、頭にあることをそのまま口に出す。
「ああ、おっぱいが好きだ」
「えっ。ちょ、どうしたの急に……」
「大きくて、柔らかくて、動くたびに揺れるおっぱいが好きだ。抱きついたときに包み込まれるような安心感といい匂いがするおっぱいが好きだ」
優奈の引きつった顔をよそに、私は勢いよく立ち上がりマイクを握って叫ぶ。
「うおおおおおおおお!おっぱい!!おっぱい!!」
「ダマれこのやろー」
優奈の拳が私の腹部に入る。
乱暴に見えるかもしれないが、きちんと手加減はしてあるし、私は優奈の言いたいことはわかる。一端気持ちを落ち着かせ、座って優奈のことを見つめた。
「おっぱいがさわりたいです」
「自分のでも揉んでいたら」
「駄目だよ」
私はゆっくりと首を振った。そして自分の胸元を見る。そこにはほんの僅かな盛り上がりしか確認できない。
「自分のおっぱいなんてさわっても何にも楽しくない。抱きつけるわけでもないし。Bカップだし」
「つまり大きいのがさわりたいってこと?」
「大きくて、柔らかいおっぱいを自由自在に弄びたい」
「はいはい。じゃ、胸の大きい男でも捕まえてきたら」
「それも違うんだ!」
私は目の前にある優奈の豊満な胸を指さす。それは母性に溢れ、今の私にはとても輝いて見えた。
「女の子のおっぱいこそ私の求める真のおっぱいなんだよ!」
優奈は非常に呆れた顔で私を見つめた。
夕方。家に帰ってから私はおっぱいを手に入れる方法を考える。
どうすればいい?どうすれば自由におっぱいがさわれる?女の子がおっぱいをさわらせてくれる時はどんなとき?どんな相手に対して?
答えは一つだった。
「……彼女を作ろう」
私は姿見の前に立ち、自分の頭から足のつま先までじっくりと観察する。
身長は166センチ。太っても痩せすぎてもいない。顔も悪いわけじゃない。むしろ中性的で中々いける顔だと思う。
こういう時ポジティブ思考だと便利だ。ちょっとナルシストっぽいが。
しかし、問題はどんな格好をするかである。私はノートパソコンを起動させ、ネットで調べることにする。Goggleを開き、キーボードの上で指が固まる。
「なんか、恥ずかしい」
いやいや、これからもっと恥ずかしいことをする訳ですよ。なんたって女の子をく、口説くわけですから。ですからちょっとアレな検索ワードを打ち込むだけで一人恥ずかしがっているなんて問題外なのですよ。
その晩、私はめくるめく百合の花園の世界を知ることになった。