イケおじが怖かった話をする
一言言う。
このイケおっさん超怖い。歳で言ったら父親と大して変わらない上に精神年齢なら確実に私の方が年上なのに。なんてことだ。
「初めましてフリージオ侯、イルニアルカ・アイリアと申します。
こちらこそお会いできて光栄です。
この度はリディア=アントワーヌお嬢様の侍女という大役にご指名いただきありがとうございます。身に余る幸せですわ。」
笑顔でドレスの裾摘んだりしながら背中は滝汗。何てったってゲーム本編で自分の娘に対して無慈悲にも『このような愚か者、もはや娘とも思いません』とか言い切ったお方ですし。
心なしかバックが黒ずんでるような気がする。外見だけならゲーム内の男性キャラで一番好きなのに。イケてるおっさまだし。上記の娘切り捨てシーンのスチル格好良すぎて三枚くらい保存した。
許可を得て、侯の正面にある椅子に座った。できれば斜め前とかがいいんだけど、何かこの部屋対談用っぽくて椅子二つしかないし。
ていうか11歳のいたいけな少女とこのおっかないおっさんを同じ部屋に二人きりにするとか、本気でうちの親父は何を考えているのか。訳が分からない。
「君の能力の高さは社交界でも有名だよ。
中等部の教育課程も、もう学んでいるのだそうだね。まだ11歳なのに大したものだ」
「恐縮ですわ」
いやまぁだって精神は[見せら以下略]歳ですし。算数とかはわりと余裕って言うか。数学ⅢCまで終わらせた身としては連立方程式とか一次関数とかで褒められても罪悪感しか感じない。
前世では国語が壊滅的だったから今度こそと思っていろんな本読んでたら国語系はできるようになったし、その影響でいろんな雑学も身についた。本は人生の恵みとか結構本当のことだと思う。
全くの0から始まったのは所謂魔法関連のことだけど、魔法系の勉強は如何せん楽しすぎた。ファンタジー超楽しい。
「まずはリディアの話相手遊び相手として侍女の仕事を見学してもらうことから始めようと思うんだが、どうかな。
大体の仕事が分かったら少しずつ手伝いから始めてほしい」
至れり尽くせりか。今ちょっとこの人の好感度があがった。いい人だ。
「それは、……こちらとしてはとても有り難いのですが、よろしいのですか?」
「ああ。幸い今は大きな行事が近いわけでもないし……かといって君を侍女学校に行かせてあげられる訳でもない。何より君は貴族の娘さんだ、それくらいはさせてくれ」
たぶんこの人貴族の娘は全員、それこそ侍女に面倒見てもらってるとか思ってるんだろうなー。そんなことないですけど。朝は自力で起床、服を選ぶのも髪をアレンジするのも自分。我がアイリア子爵家は庶民派なのです。庶民派。貧乏じゃない庶民派。貧乏っていったやつ表出ろ。
本来なら侍女になりたい子はある程度の学校|(最低でも中等教育)を出てから侍女学校なる場所に行き、そこで学ぶのがこの世界での常識。されど私はまだ小学5年生なので侍女学校には行けないのです。
「どうだろう、お願いできるかな、……と言いたいところなんだけどね。
そう急くのも良策ではないだろう、何せ君の人生に関わる話だ」
「……? はい」
いやだから私やる気満々なんですって。至れり尽くせりだしもう心は決まってます。これ以上何か。
「リディアに直接会ってから考えてくれてかまわないよ」
いい人だ-……っていうか。
お嬢様との出会いイベントフラグ立ちましたありがとうございます。