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あなたへ

作者: 桃華

校外学習で行った先で、あなたと私は出会いました。

あなたは生まれつき心臓が弱くて、なかなか一緒に遊べなかったけど、その代わりにたくさんしゃべっていた記憶があります。


あなたと再び中学校で出会えたとき、とても嬉しかった。住んでいる地域すら違った私たちが出会うことはもう二度と無いのだと思っていたから。

たくさんの事を経験したね。学校行事はもちろん、毎日のように遅くまで勉強しました。とても楽しかった。

今思えば、その時に気づいておくべきでした。

あなたを、あなたの母親が迎えに来ていないことに。だってあなたは、少しの運動ですら、医者から禁じられていたでしょう?走るのはもちろん、歩くことも禁じられて、いつも車イスだったでしょう?それなのに、私は気づけなかった。車イスといえども、あなたと共にいるのが嬉しかったから。


あなたの命がもう少ししかないと知ったとき、初めて『目の前が真っ暗になる』という体験をしました。

あんなに元気に笑って遊んだ翌日の朝、あなたはICUに入りました。

その半月後、あなたは天へと旅立ちました。ホントはね、今でもあなたがいなくなったのに実感がありません。にっこり笑って、帰って来そうないたずら好きのあなただったから。

あなたには、たくさんの夢がありましたね。成人式で振袖を着ること、友だちとプリクラを撮って、映画を観ること……。そのどれもが、叶わない夢でした。


私は命を軽く考え、粗末に扱う人達に言いたい。すぐに冗談であっても「死にたい」と言う人達に言いたい。

その命を彼女に譲って欲しかった。彼女にはたくさんの夢があったから。

中学校卒業、高校入学、大学に行って、成人式では振袖を着て……。私たちが当たり前にできていたそれすら、彼女には夢だった。

だからどうか、命を軽くみないでほしい。当たり前が当たり前にあると思わないでほしい。

今生きているこの時を、大切にしてほしい。


「もし結婚できたらね、一人でいい。子供を産みたい。それで、あなたの子供と幼馴染みにするんだ」


生まれつき心臓が弱く、成人できるかわからないと医師に診断された彼女の、命懸けの願いだった。


ねぇ、私も同じことを思っていたよ。人生の節目には、必ずあなたがいると信じていたよ。

私は今、無事に就職できました。あなたが似合っていると言ってくれた看護師に。



今度の休み、あなたに会いに行くね。話したいことがたくさんあるの……


読んでくださってありがとうございます。

思いのままに綴ったので至らない点が多くあると思います。その際には優しくご指摘くださるとありがたいです。



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