第10章 9話
そこには。
垂直に刺さっている刀があった。
さっき見た刀はやはり偽物だと思わせるには十分。
そんな存在感がその刀から発せられていた。
「これが伝説の武器?」
「あぁ。なんでもクサナギノツルギと言われてるらしい」
え!?
「草薙の剣!?」
それは私達にとってもの凄く聞きなれた名前。
まさか。
ここにあるなんて。
「まさに、俺に抜いてくれって言わんばかりの名前だな」
確かに。
黒野君は八咫流剣術の使い手。
それは居合いを主にした刀の剣術。
まさに条件がそろっていると言ってもいいぐらい。
「よし、それじゃあ」
黒野君は刀を握る。
「ん!?」
それは呆気なく抜けた。
いや。
これは黒野君が選ばれたから。
そうじゃなきゃ、もしかしたら触る事も出来ないのかも。
アーティファクトってそういう性質があるってお姉ちゃんから聞いた事がある。
「確かに選ばれた者のようだ。ワルキュリア様が言うだけの事ある」
ケンタウロスさんも感心する。
「あれはな。もし、選ばれなかった者が触った時点で土の塊と化すんだがな」
え!?
そんなとんでもない物なの!?
「おいおい。もし違ったらどうするつもりだったんだ!?」
「違う訳ないだろ?あんたがワルキュリア様から呼ばれた者だというなら、なおさら」
ふーむ。
どうやらワルキュリア様は、誰が選ばれるのかも分かってるって事なのかな。
しかし。
これで、三種の神器が揃った事になる。
剣に鏡に勾玉。
ようやく準備が整ったって感じね。
「よし。次は北ね」
最後の四神。
玄武に会いに行かなきゃ。
「あそこに行くのか」
え?
どうもケンタウロスさんは知ってるみたい。
「あの方は四神の中で一番の偏屈だと聞いている。十分に気をつけろよな」
偏屈って。
「バラエティ溢れすぎだろ」
黒野君の言う事も、もっともだった。




