第1章 9話
はぁはぁ。
勝った。
ミノタウロスが倒れる。
初めて倒したモンスター。
やった。
勝てて良かった。
「やるやないか」
え?
この声は。
「ロボさん!?」
「途中から見てたんやけどな。ちゃんと覚悟を決めて、ちゃんと戦ったやないか」
いつの間に。
「わいが見てる事すら気づかないほど集中してたって訳やしな。合格や」
ロボさん。
「ごめんなさい。私、やっぱり戦う事にしました」
「いいんや。覚悟さえ決めてくれれば、わいはそれでええ」
ありがとう。
あれ?
もしかして、ロボさんがこっちに来たって事は。
「もしかして、あの分かれ道。こっちが正解って事?」
たぶんロボさんが行った方は行き止まりになっているんだわ。
だからロボさんがこっちに来た。
「まったく。痛い所を突くな」
えへへ。
「それにしても、葛葉は何か格闘の経験があるんか?」
「ううん。全く無い」
格闘ゲームならいっぱいやった事あるけど。
実戦なんてまず無い。
「それであの動きかいな。確かに多少は素人臭いとは思うてたが」
「あはは。見よう見まねだよ」
散々自分でプレイしていたキャラを真似ただけ。
でも、それで上手くいくなんて思わなかった。
「たいした奴やね。その分やと、きちんと教えればあっという間にモノになるな」
え?
「それって」
「わいが教えたる。わいは戦闘用やからな。格闘術かてお手の物や」
「本当に!?ありがとうございます!」
良かった。
本当に、ロボさんが味方で良かった。
「さて、進みながら教えたる。まずは基本からや」