第9章 3話
「うわぁあああ!し、進化だ!神に近づいたぁ!」
家の窓から覗いていた偽救世主が叫ぶ。
進化?
神だと?
どういう事だ?
俺の知ってる神ってのは機械の体なんかしていないし。
ここの神はワルキュリアだろ?
だが、ワルキュリアは見た目は普通の女性にしか見えない。
それなのに神?
「なるほど」
え?
林動は今ので分かったっていうのか?
「どういう事だ?」
「え?だってこの場合の神って、ワルキュリア様が戦ってる方の事でしょ?」
あっ。
そうだ。
昔は神と呼ばれた存在だが。
何故か人類の敵になった。
ワルキュリアはそんな人類を守る為の戦いをしたって聞いている。
つまり。
この場合の神は、そのワルキュリアと戦ってる方って事か。
「つまり、これでなんで私の方が救世主なのかってのも分かってきた」
「なに!?」
今ので分かって言うのか?
「だって、私の能力って雷でしょ?機械って水とか雷とかには弱いじゃない」
そういえば、精密機械の弱点だったな。
「水は防水機能とかが発展してるけど、相変わらず雷には弱い。しかも私の力は本物には及ばないものの、かなりの威力だし」
それは、これまでの戦いで実感している。
まだ隠された能力の中には、もっと凄い力もあるかもしれないが。
なんとなく読めてきた。
しかし。
あの何気ない言葉でここまで読み解くとは。
改めて理解力の高さに驚く。
「礼を言うぞ、小娘。これでそこにいる救世主を殺すのもたやすい」
そう言って、町長の家にいる偽物の方を睨む。
「うわぁああ!」
窓から姿を消したが、あまりにも遅すぎる。
「だが」
ん?
「今は気分がいい。残り少ない人生をせいぜい楽しみな」
そういうと、メデューサは姿を消した。
「どうする?」
「町の外に出たら、戦う。今ここじゃ犠牲者が出るかもしれないしね」
やれやれ。




