第8章 9話
時間はかかったが、全部の巨像を動かした。
「どうだ?」
何か分かったのだろうか。
「うん。やっぱりチェスと同じルールでいいみたい。あとは詰め将棋ならぬ詰めチェスをやらなきゃ」
ん?
「詰めチェス?」
「うん。一種のパズルだよ。ある一定に動かすと詰めるように動かせるようになってるんだよ」
なんとまぁ。
「分かるのか?」
「うーん。考えさせて、一応相手の思考も考慮しないといけないから」
そこまで?
「そんなの動かさないと分からないだろ?」
「うん。だからさっき動かした時に相手側も動いたじゃない?」
そういえば、そうだな。
まさか!
「それもメモしてたのか?」
「うん」
なんとまぁ。
抜かりがないというか。
感心するしかない。
ゲームが好きとか言ってるが。
こいつは俺の知ってるゲーム好きとは違う。
良くみるような奴ってのは、根暗でゲーム以外には取り得がないような連中だと思っていたが。
こいつは初めて会った人ですら笑顔で話しかけるし。
運動能力も高い。
それに状況判断能力が高い。
瞬時にゲームでの知識を生かしている。
それと、これは大きな違いだが。
こいつは純粋に人を救うために行動をしている。
よく人を救うのに理由なんていらないなんて話は聞くが。
俺がこれまであった奴はそんなのはいなかった。
だが。
今、目の前にそんな奴がいる。
正直、戸惑っている。
林動に比べて俺はどうだ?
単に腐って。
やるべき事も出来ていない。
今回だって、正直救うなんて気がなかった。
単に帰りたいだけ。
それが、だんだん恥ずかしくなっていく。




