第5章 2話
「けっ。小娘と聞いていたが、なかなかやるじゃないか」
しゃべった!?
これまで言葉を話せたのは、あの青龍という女性だけだった。
だが。
あんな化け物の姿であっても喋れるとは。
「なるほど。救世主である女を警戒しろという命令は正しいという事のようだな」
やはり、葛葉の事は知らされてるのか。
しかし、どうして?
俺も最初のワルキュリアと青龍しか話を聞いてない。
おそらく葛葉も同じだろう。
どこから、この情報が漏れた?
「誉めても何も出ないよ」
警戒は解いてない。
俺は思いきって聞いてみる。
「なんで、あんたがその救世主の事を知ってるんだ?」
「決まってる。伝説があるんだ」
伝説?
「この地が邪悪で染まろうとすると、救世主の少女が現れるとな」
なるほど。
こいつらは、この世界を邪悪で染めようとしている。
それならば、救世主の少女も自然と現れるって訳か。
自覚があって助かるぜ。
「それは分かった。あんたら邪悪な事をしようとしてるって事がな」
別に俺は正義の味方って訳じゃねぇが。
自ら混乱を起こそうなんて奴は気にくわねぇ。
なんとか、こいつを倒さねぇと。
「私は別に救世主になろうとは思ってないけど」
葛葉?
「私のせいで捕まった関係のない子達のために、あんたは倒す!」
世界がどうとか関係ないって奴か。
「それでええんや」
ん?
「そんな大きな事なんて背負える訳ない。目標は身近な方が行動しやすいんや。ヨーコもそうやった。世界を救うって事よりも、仲間を助けるために行動しておった」
そういう事か。
確かに。
ついこの前まで平和な日本に住んでいた俺たちにとって、世界を救うとかピンとこないが。
こっちの方が分かりやすい。




