第4章 4話
「とにかく、俺はさっさと帰りたいんだが」
こんな訳の分からない飛ばされて、世界を救わないと帰れないとか。
なら、余計な事をしている暇など無い。
なにせ、この世界は俺たちの世界とは関係が無いからだ。
そう、俺は帰ればそれでいいんだ。
なのに、こいつときたら。
「駄目。彼女達を救うのが先決。私のせいであんな酷い目に遭うなんてかわいそうだもん!」
こいつは。
この俺の見た目にも臆せずに食いつく。
俺はいわゆる不良という存在だ。
規格外の制服を着ているし、喧嘩慣れしているせいか体格もいい。
それなのに。
こいつはまったく怖がる様子も無い。
不思議なやつだ。
こいつは見た目で判断していない。
まるで、俺自身を見ているようだ。
だからこそ、これだけ言い切れるんだろう。
こういう奴とは初めて会ったとも言えるだろう。
だから、正直戸惑っている。
これまでは、腫れ物を扱うように俺の事を避けていたのだが。
まるで懐に飛び込んでくるようだ。
くっ。
「仕方ねぇな。だが、今回だけだぞ」
「やった!」
素直に喜ぶ。
喜怒哀楽がハッキリしてる奴だな。
まったく。
なんでこんな子供かと思ったが。
こうしてみると、案外こいつこそがこの世界を救うのに適しているんじゃないのか?
おっと、そういえば。
「そういえば、おまえは戦う力を持っているのか?」
まるで武器を持っている様子が無い。
まさか素手で?
「あっ、私はね。勾玉の力を使えるの」
勾玉だって!?




