第1章 3話
神殿の中はやや細い通路が続いている。
だけど、やや暗くてよく見えない。
「わいは別に構わないんやけど。林道はんはどうするんや?」
確かに。
何か明かりが無いと進むのは難しいわね。
でも、大丈夫。
「雷拳!」
手から雷を放電する。
「な、なんや!?」
「えへへ。これが私の『勾玉』の能力よ」
そう。
昔の話。
お姉ちゃんと共に本を覗いた時。
その本が光り輝いた。
その時から、私とお姉ちゃんに超能力のような力が使えるようになった。
後にその本は『トトの書』と言われる物だと分かったけど。
「また、不思議な力やな」
「そうね。でも、今日この日の為に授かった力だと思わない?」
たぶんそうなのだろう。
なにせ、この力はどう考えても戦う為に使える力。
こうして暗い所を照らすなんてのは、副次的の力に過ぎない。
その真の力は、まさしく雷の威力を与える所にある。
「これはね。あまりにも威力がありすぎるの」
だから、普段は使う事なんてなかったんだけど。
いかにも何か出そうな所。
ならば、この力も使う時なんじゃないか思う。
「なるほどな。確かにここには何かおるわ」
やっぱり。
「見てみい。早速出て来おったで」
え?
あれは。
人間のように二足歩行をしていて。
大きさは私よりもさらに小さく。
姿はとても醜い。
ううん。
人間では無いのは明らか。
化け物。
私の知ってる単語で言うならば、あれはモンスター。
ゴブリンってやつね。
結構初期に出てくる、雑魚のような強さというイメージがあるけど。
それが1匹。
「どうする?」
「何言うとんねん。お手並み拝見したるわ」
つまり、私が倒せって事ね。
確かに。
ロボさんは戦闘用だって言ってたし。
それにこうして冒険をするのは、今回で3回目。
戦う事は慣れている。
それに引き替え私は。
本当の戦闘なんて始めて。
そして。
この能力を本格的に使うのも初めて。
まずは弱い相手をして、私の実力を見ようって事なのね。
「分かった!」
「気ぃつけぇな」