第1章 10話
ようやくたどり着いた。
大きな扉。
そして、意味ありげな紋章。
いかにも、何かありますって言ってるようなものね。
「よっしゃ。行くで!」
「うん」
絶対にこの奥に何かがある。
それを承知で中に入る。
「あっ!」
そこにいたのは。
巨大なヒドラ。
4本足の獣のような体に、複数の蛇のような頭があるモンスター。
これはやっかいね。
どうやって戦うべきか。
本音を言うと、近づくのも嫌なんだけど。
そうは言っていられない。
倒さなきゃいけない相手。
この奥に、何かがある。
それを守っているんだわ。
「ええか。わいがあの頭を根こそぎ切ったるから。葛葉は体を狙うんや!」
え?
まさか、私の為に?
「行くで!」
あっ。
そんな気を回さなくていいのに。
でも。
行ってしまった以上は、それに続くしか無い。
ロボさんを見ると。
右腕が変形して、剣になった。
どういう理屈なのか分からないけれど。
あれが、接近戦用の武器なのね。
よーし。
私も、さっきの戦いを応用して。
ぐるっと回り込み。
ほぼ、後ろから攻撃する。
大抵、後ろってのは無防備になっている。
1対1じゃ、まず使えない手だけど。
ロボさんが引きつけているおかげで、この手が使える。
十分引きつけて。
「雷拳!」
見事に当たった!
「たぁ!!」
ロボさんも、蛇の頭を次々と斬っている。
流石ね。
動きに無駄が無い。
それなら私も。
伊達にゲームオタクじゃないって所を見せてあげなきゃ。
よーし。
「右!」
まずは右手が命中。
「左!」
次に左手。
「ラスト!」
そして、最後に両手をぶつける。
もちろん、雷拳付き。
こういうのは適度に止めた方がいいってのも、ゲームからの知識。
何せ、私はそんなに体力は無い。
無限に攻撃なんて出来るはずも無い。
それに、あまり繰り返すと反撃をくらう可能性もある。
だから適度に止める。
でも、ヒドラはまだ倒れない。
やはりこの巨体に相応しく、体力もかなりあるみたいね。
「くっ!次から次と!!」
え?
ロボさんの方を見ると。
蛇の頭が、どんどん再生していってる。
えぇ!?




