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第七話 月守の檻

※本作は一次創作です。

※AIは執筆補助として使用しています。


——バンッ!!


訓練場の扉が、乱暴に開かれた。


全員の視線が向く。


そこに立っていたのは、


碧だった。


だが、


違う。


霊巡が乱れている。


呼吸が浅い。


焦点が合っていない。


立っているだけで、


壊れそうだった。


「碧!」


紗月が最初に動いた。


迅も、青司も、すぐに駆け寄る。


ツムギは遅れて立ち尽くす。


碧の視線が、ゆっくりと動いた。


紗月を見る。


青司を見る。


ツムギを見る。


そして、


迅を見る。


かすれた声で言った。


「……ここどこ?」


一瞬。


本当に、


分かっていない顔だった。


だが、


次の瞬間。


理解した。


ここが、


どこか。


自分が、


何をしていたか。


何を、


されていたか。


碧の顔色が変わる。


体が震える。


呼吸が乱れる。


そして。


——吐いた。


床に、


霊巡の混じった液体が広がる。


ツムギが思わず声を上げる。


「え、あ……」


どうすればいいのか分からない。


碧は、小さく呟く。


「……ごめん」


誰に向けたのか分からない。


そのとき。


迅が、


碧の視界に入った。


碧の指が、


わずかに動く。


そして、


消えそうな声で言った。


「……たすけて……」


その言葉は、


確かに迅へ向けられていた。


次の瞬間、


力が抜けた。


倒れる。


迅が、


抱き止めた。


軽い。


あまりにも。


中身が、


削れている。


「碧」


呼びかけても、反応はない。


そのとき。


足音。


真琴だった。


碧を見る。


一瞬で理解する。


「運べ」


迅は迷わない。


抱き上げる。


真琴は背を向ける。


「月守家へ戻す」


戻す。


まるで、


あるべき場所へ、


物を戻すように。


ツムギの胸に、


違和感が残る。


だが、


誰も反論しない。



月守家の門が開く。


その瞬間、


迅は異常に気づいた。


(……いない)


前に来たときは違った。


使用人がいた。


霊具を運ぶ者がいた。


結界を維持する者がいた。


常に、


人が動いていた。


霊巡が満ちていた。


ここは、


生きていた。


なのに、


今は。


誰もいない。


一人も。


霊巡は、


碧のが最低限しか流れていない。


まるで、


儀式のために、


すべてを排除したように。


真琴だけが、


迷いなく進む。


一つの部屋の前で止まる。


扉を開ける。


中に入った瞬間、


裏鬼兄妹の息が止まった。


ツムギは信じられないものを見た顔をした。


ただ1人真琴だけ顔色一つ変えずに部屋に入る。


壁一面に、


霊札。


封印。


吸収。


霊巡を抑え、


奪い、


制御するための術式。


部屋の中心には、


霊陣。


禁忌。


見ているだけで、


霊巡が拒絶する。


ここで気がつく。


碧の衣装。


白い衣。


禁忌の霊陣が、


刺繍されている。


碧のための、


儀式用の衣装。


そして、


奥には、


月詠がいた。


碧を見る。


そして言った。


「やはりそっちに行ったか」


真琴が答える。


「この儀式、まだやっているのか」


ツムギは意味が分からない。


月詠が言う。


「月守家は、バカの集団なのよ」


怒り。


「こんなところで言っていいのかよ」


「別にいいのよ。今ここには、私たちしか居ないのよ。」


真琴が言う


「こんな意味もない儀式」


そして、続けて


「お前の力で、ねじ伏せられるだろ」


月詠は碧を見る。


そして、


静かに言った。


「……私は、貪欲だから」


迅には、


意味が分からない。


だが、


拒否ではないことだけは分かる。


月詠は碧に触れる。


霊巡が流れる。


整う。


安定する。


そして、


小さく呟く。


「こんな事、もうするでない」


「儀式を始めてしまえば」


指が震える。


「辛いのが長引くだけだ」


迅は、


その言葉を聞く。


そして、


理解する。


碧は、


守られていない。


維持されている。


月詠が言う。


「用は済んだ」


迅は、


碧を見る。


さっきの言葉が、


離れない。


「たすけて」


助けを求めた。


それでも、


ここに戻された。


月守碧は、


檻の中にいる。


そして、


その檻に、


自ら留まっている。


迅の拳が、


静かに握られた。


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