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魔王さんちの三男坊はいい加減すぎる  作者: ぽんこつ少尉@『転ショタ3巻/コミカライズ3巻発売中』


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最終話 生きてるだけで丸儲け




 と、ずらかるその前にだ。

 俺が視線を回すと、いつの間にかローナはすぐ背後に立っていた。そのまま無言で俺を見上げている。

 くりくりお目々がかわいらしいわ。俺の孫な気がしてきた。そうだ、俺の孫にしよう。


「おぢは、まおーさんちのひとなんか?」

「そうだよ。こう見えて魔王――オルロンド家の三男坊だ。あ~、訳あって魔王城にゃもう戻らんのだが、おまえ、どうせオルロンドに用があるなら俺たちと来るか?」


 尋ねてしまってから、失敗したと思った。

 ああもう、ほら、ツィリルが片手で目を覆ってうつむいた。呆れてやがるんだ。


 拒絶されたらどうしようもなくなっちまう。選択肢なんてローナにも俺たちにも最初から存在しないのだから。そもそもここに置いて見捨てていくくらいなら、最初から助ける必要さえなかったんだ。かといってローナを連れて実家に帰るってなこともできねえ身分になったわけで。


 バカだな、俺は。誘拐してでも、連れてかなきゃならねえのに。

 どう言い直そうかと思い悩んでいると、意外にもローナは素直にうなずいた。


「いく。ローナはおぢをろーらくする」

「そっか。俺、おまえに籠絡されんのか。それも悪くないな」

「だろー? さてはおぢ、ろりこんだな」

「どこでそういうの覚えてくんの? 学校で流行ってんの?」


 孫みてえなもんだし、かわいいし。


「ま、いいや。んじゃまあ、一緒に行くかね」

「うむー。よろしく、おぢ」

「おう、よろしく、ロリ」


 小さな右手が差し出される。

 反射的に握った。


 魔人の中では決して大きいとは言えない、半魔人である俺の掌ですら、すっぽりと収まる小ささで……柔らかく、俺よりも体温が高かった。

 泣きも笑いもしねえローナが、俺を見上げてつぶやく。


「ローナ・アデリール。おかーさんの、おなまえ。アスモラヴァはきらい」

「そうか。アデリールか。かっちょいい家名だな。俺はラドルファス・オルロンドだ。んで、こっちは――」


 ツィリルが白金の長い髪を片手で掻いて、眠そうな半眼をローナへと向ける。


「ツィリル・レッキア。よろしくお願いします、ローナ」


 ローナがツィリルを見上げて首を傾げた。


「おぢとツィリルねーさんは、どーゆーかんけい?」


 俺とツィリルは同時に目を見合わせて、視線を泳がせ、首を傾げる。

 上司と部下……は響きが嫌だな。友人か、あるいは家族か。

 俺が応えあぐねていると、その様子を横目で見ていたツィリルが少し笑った。


「安心してください。わたしは弁えた愛人ですので、ローナの婚活の邪魔はしません」

「ちょっと!? 子供相手に何言ってんのっ!?」

「お、おお、あいじん……おとなのせかい……。……きいぃ、このどろぼーネコ?」

「はい、なんですか?」


 ローナが空いている左手で、ツィリルの右手をつかむ。

 三人で手を繋ぐと、なぜかこそばゆいような感覚になった。理由はわかっているが、恥ずかしいから口には出さない。

 ツィリルがローナの頭越しに、俺に視線を向けた。


「これからどうするんです?」


 当然、人間族の領地には行けないし、魔族領にもとどまれない。

 海を渡るか、山へ入るか。

 実のところ、もう決めている。


「辺境の奥深くに温泉が湧いてるらしい。人の手がまだほとんど入っていない自然のもんだ。もうすぐ冬んなるし、とりあえずそこを目指そうと思ってる。ロマンあっていいだろ、雪ん中の温泉。酒とつまみ買ってしっぽりいこうや」

「こんよくか……えっちだ……」


 なんでだよ。こいつ、変なことばっかり知ってやがるな。


「はっはっは、心配すんな! 俺には自慢の結界(モザイク)魔法がある!」


 外すもつけるも俺次第だが。あと、はみ出るかもしれんけどなっはっは。とか口に出して言うと、ツィリルに「あり得ないのでは?」とか冷静に言われそうだからやめとくわ。

 ツィリルが冷笑を浮かべた。


「雪の温泉って、お猿さんみたいでラドにはお似合いですね。そのモザなんとかを使っておひとりでどうぞ。わたしは後ほどローナと入りますから」


 あいかわらず辛辣ぅ……。

 ひとりでモザイクかけてどうすんだよ。


 夕日の中を手を繋いで歩く。

 前世も今世も色々あったけれど、なんかいまが一番楽しい気がするな。


楽しんでいただけましたなら、ブクマや評価、ご意見、ご感想などをいただけると幸いです。

今後、作品を作っていく上での糧や参考にしたいと思っております。


最後までお読みいただきありがとうございました。

今後も何か投稿していくつもりではありますので、またお付き合いいただけますと幸いです。

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― 新着の感想 ―
完結おめでとうございます✧◝(⁰▿⁰)◜✧ 頑張れおぢw ツィリルさん好きです♪ ローナ良いキャラしてますね! 楽しかったです、ありがとうございますm(_ _)m
更新ありがとうございます&完結おめでとう御座いますヽ(´▽`)/ おぢはロリコン。 …と、ココは試験に出るので覚えておきましょう(笑) ローナがいい性格すぎて此処で終わるが残念な気持ちもあるけれど、此…
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