表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/2

秘密

 オレには、幼馴染がいる。

 

 その幼馴染、梨花りんかにどうやら彼氏ができたらしい。

 

 

 そもそも幼馴染とはいえ、最近じゃあまり接点もなく、ろくに話すらしていない。

 

 中学二年くらいから、オレたちは塾や部活に忙しく、その頃から徐々に疎遠になっていった。

 

 それまでは、よく梨花がオレの部屋でマンガをよんだり、くだらない話をしながら遊んでいたっけな。

 

 そんな梨花に彼氏か…

 

 そりゃ、高校生にもなれば恋人くらいできるだろうよ…。

 

 オレたち高校二年生だもんな…

 

 そりゃね…

 

 

 旅立つ娘よ、幸せにな。

 …ってさ、オレは梨花のおとうさんじゃなかったぜ。

 

 

 でも、梨花が彼氏と並んで一緒に歩いてるってのをみると…

 

 なんか、少し胸が締め付けられる感がするのは、なぜだろう?

 

 オレって、梨花のこと好き…なわけないよなぁ。

 

 だって、オレは今まで本気で好きな人なんてできたことないし。

 

 なんかモヤモヤぁーってするんだよなぁ…

 

 なんだろ?

 

 心の中でだれか、わたあめでも作ってんじゃね⁉︎

 

 そんなわけないか…

 

 …

 

 複雑なおもいで、梨花と彼氏の背中を見送った。

 

 同じ高校に進学するも、オレたちは特に会話していない。

 

 

 でも、です…

 

 ハグは、しているんです。

 

 半年に二回程度。

 

 誰にも言えない秘密…

 

 

 …

 

 

 そんなある日、学校で全校集会のときに…なんか感じる…視線

 

 …

 

 パッと視線の方に目を向けると、知らない男子がこちらをみていた。

 

 …だれやねん

 

 てか、めっちゃこっちをガン見してる…

 

 どっかで…みたようなみないような…

 

 …

 

 ま、どうでもいい。

 

 フィッと視線をオレの方から先に外した。

 

 すると、さっきの男子がいきなりオレの目の前に現れて

「なぁ、あんた梨花の幼馴染なんでしょ?」

 と、オレの全身をじろじろ舐めまわすようにみてきた。

 

 …

 

 あ、梨花の彼氏か。

 

「あー、そうだけどそれが何?」

「いや、べっつにー」

 

 少し不機嫌そうに彼氏とやらは、去っていった。

 

 

 感じ悪っ!

 

 梨花は、あの彼氏のどこがいいのだろうか?

 

 

 ま、好きっていうならそれはそれでいいか。

 

 てか…オレたちの秘密がバレた⁉︎

 

 んなわけ…

 

 

 

 それから数日後、すっかり梨花と彼氏のことなんて忘れて、のんびり下校していた。

 

 パタパタパタパタ

 

 後ろからだれかが走ってくる音がした。

 

 子どもかな?

 

 門限すぎちゃうって、焦って走っているのかなと、振り向きもせず足音に耳を澄ました。

 

 そしたら、オレの前にいきなり梨花が現れた。

 

「おっす〜、ひさ」

 オレの目の前で、昔と変わらずの笑顔で笑いかけてきた梨花。

 

「梨花かよ…」

「ムゥ〜つ、梨花だよ。ごめんなさいね、梨花でさ」

 と、少しむくれていた。

 

「むくれんなって。相変わらずだな…てか、今日は彼氏一緒じゃないんだ?」

「あー、うん。てか、れんくんあおになんか話しかけたんでしょ?なに話したの?」

 

 …

 

 話したっていうのか?

 

 あれは…会話だったのだろうか…?

 

「まぁ、たいしたこと話してないよ」

「そうなの?ふーん」

 少しつまらなそうに空を見上げる梨花。

 

「あのさ、彼氏…のどこに惚れたの?」

「えっ?聞いちゃう?いいよいいよ♡久しぶりに話すけど、いきなり梨花ちゃんの恋バナ始まりますっ‼︎やっぱり優しいところかな♡」

 って、いきなり惚気だす梨花。

 

 

 …

 

 優しい…の?

 

 ま、オレの知らない部分がたくさんあるんだろう。

 

 久しぶりの梨花は、昔と変わらずだった。

 

 

「そっか、よかったな」

「うん♡ごめんね、わたしばっかり幸せで。少しばかりお裾分けするね♡」

 そう言って、いきなりラブラブ写真を見せつけてくる梨花。

 

 …

 

 クソつまらん。

 

 てか…一瞬なんだかイラッとしたのは、オレに彼女がいないから?

 

 それとも…ヤキモチ?

 

 昼間の、あの彼氏の感じ悪さが思い出されたから?

 

 …

 

 ?

 

 好きでもないのに、ヤキモチなんてやかないよね。

 

 そもそもオレは、梨花を一度も好きになってないし、なんならオレもこの前まで彼女いたし…。

 

 その彼女は…勝手に告白してきて、つまんないってすぐオレをふってきたけどさ…

 

 じゃあ、この感情って…なに?

 

 …

 

 オレは…やっぱりまた、彼女が欲しいのかな?

 

 …

 

 今は、いらないんだよなぁ。

 

 彼女できると、疲れるだけだし。

 

 

 

 梨花のラブラブな写真をみて、

「幸せそうでなによりですね。じゃあな」

 と、手を振った。

 

 

 梨花と話していたら、いつのまにか家に着いていたのだ。

 

「じゃあねん」

 るんるんで玄関に入っていく梨花。

 

 

 楽しそうやんけ。

 

 オレは、そんな梨花をみて気だるそうに玄関をあけた。

 

 

 オレもるんるんで玄関あけるほど、楽しい恋したいな…。

 

 

 そんな恋、あんのかな?

 

 

 

 

 …

 

 あっという間に次の日は、やってくる。

 

 サンタと夏休みは、あっという間にやってこないのに。

 

 イヤな曜日だけ、早送り人生ってボタンないんかな?

 

 週一で、どこかすきな曜日早送りってさ…

 

 間違えて、土日スキップしたら萎えるな…

 

 ハハ…くだらねーぜ

 

 

 気だるそうなオレは、今朝も現在進行形でやっぱり気だるい。

 

 

 そんなダルダルなオレは、学校の門をダルそうに通り抜けた。

 

 

「おっすー、くろー」

 

 ?

 

「は?」

 後ろから肩にもたれかかりながら、梨花の彼氏がなついてきた。

 

「だれだよ?人違いだろ」

「あ、ごめーん。くろじゃなくてあおん」

 

 …

 

 うぜー

 

 朝からこのテンションうぜー…

 

 

「なぁなぁ、無視すんなって。オレが梨花と付き合ってるからって、ヤキモチやいてんだろ?梨花かわいいもんなぁ。ごめんなぁ」

 

 …

 

 マジうぜぇ

 

「あの、悪いけど遅刻するから先行くわ」

「え、まだ時間あるじゃん。どんだけ足みじけーのよ?ギャハハ」

 

 …

 

 あー、ウザすぎにもほどがあるよねー。

 

 ほんと梨花が、なぜこの男を選んだのか謎。

 

 てか、なんでこの人オレにこんなに絡んでくるんだろ?

 

 

 秘密知ってるなら直接言ってきてもいいもんだよね?

 

 でもきっと、知らないはず。

 

 ただオレは絡まれ損な気がする。

 

 …

 

 

 続く。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ