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聖域  作者: 早坂知桜
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第5話 巨大子犬

 ぼくは三千歳の神狼。まだ神狼としては幼狼にすぎない。

 身体はグリズリーよりも大きい。

 森を駆ければ、地面が鳴る。

 牙を剥けば、魔獣だって一瞬で逃げ出す。


 ……でも、ちーちゃんの前にいるときは、子犬なんだ。


 泡だらけにされても、歯を磨かれても、ピザのハム一枚でしっぽを振ってしまう。

 大きな身体を丸めて、ちーちゃんの足元に頭をのせる。


「ルーファス、かわいいね」


 その一言が聞きたくて――どんなに大きくても、ぼくは子犬でいい。

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