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6回目 あの子が欲しい

ガチャチャチャ、ガチャチャチャ。ゴトッ。  パカッ。

  ♪勝って嬉しい花いちもんめ。


  ♪負けて悔しい花いちもんめ。



 何十年ぶりに聴いたフレーズでした。


 田舎では今時の子供であっても、このような遊びをするのでしょうか。



  ♪あの子が欲しい。


  ♪あの子じゃわからん。



 深夜の張り詰めた空気の中を伝わって来る歌声はとても神秘的に感じられます。


 枕元に届く楽しそうな声は、遠くからのようでもあり、すぐ近くからのようでもありました。


 それに合わせて時折スッタン、スッタンと、部屋の畳を擦る複数の足音も聞えます。



  ♪相談しよう、そうしよう。



『寝てるね』


『仲間に入ってもらうなら起こさなきゃ』


『起きてもらわなきゃね』


『誰が起こす?』


『きゃっ、きゃっ』



 その時誰かが、私の布団を引っ張って剥がそうとしました。


「止めて」


 何も考えず布団を引き戻しましたが、すぐに気が付きました。


 子供たちが欲しいと言っていたのは、どうやら私だったようです。



『ごめんなさい』


『ごめんなさい』



 子供たちが一斉に謝る声を聞いて、私は飛び起きました。


 しかし、目の前にあったのは、障子越しの月がわずかに照らすだけの薄暗い和室。そして、床の間にうず高く積み上げられたおもちゃだけ。


 子供たちの姿も気配も、一切ありませんでした。


「しまったー!」と、思わず口から漏らした言葉は、自分のためだったでしょうか。それとも子供たちのためだったでょうか。




おわり

※昨今は未就学児でさえスマホやゲーム機で遊ぶ時代。座敷童に願いを叶えてもらうのならやはりそれなりの、たとえばプレステ5とかSwitch2とかを供物として差し出さないと……。

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