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43回目 誘拐

ガチャチャチャ、ガチャチャチャ。ゴトッ。  パカッ。

 今日僕は、宇宙人に拐われました。


 UFOの中で会った宇宙人は、驚いたことにお母さんと同じ姿をしていました。


 なんでも、本当の姿を見せたら、僕が怖がって話を聞いてくれないに違いないと考えてくれたのだそうです。


 つまり宇宙人は、誘拐するにあたって、僕の事をしっかりリサーチしていたのです。


 ですから言葉はもちろん日本語で、僕にも分かるように、難しくない言葉で優しく話してくれたのでした。



 人間同士での争いが、いかに無意味で愚かなことであるかとか、人を思いやる心がどれほど大切であるかとか。


 そして地球がいかに大変な危機にあるかなどをです。


 ゆくゆくは、僕に地球の代表となって、宇宙人たちと交渉できるようになって欲しいとまで。


 それまでいろいろとサポートしてくれるとも約束してくれました。


 いつもお母さんが付けているのと同じ柄のエプロン姿で、満面の笑みをたたえ、優しい声でです。



 その後僕がUFOを降ろされたのは、夕食前の事でした。


 この事をどのように話そうかと考えながら自宅の扉を開いた僕に、母は、


「何時まで遊んでんのよ。ランドセル置いて飛び出して。まだ宿題してなんいんでしょ。今日は塾がないからって自由すぎるんじゃないの。毎日家の手伝いをしますって、この前宣言したのはどこの誰よ。食事までにお風呂の掃除ぐらいやっておいてよね」


 やっぱりこれが僕のお母さんです。


 宇宙人のリサーチは、いまいち甘かったと言わざるをえません。



おわり

※地球の将来は君に掛かっているぞ。


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