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14回目 バカにつける薬

ガチャチャチャ、ガチャチャチャ。ゴトッ。  パカッ。

 馬鹿につける薬という、冗談のような魔法薬を、私はとうとう手に入れました。


 長年のコンプレックスを解消してくれると信じて、藁にもすがる思いだったのです。


 手に入れたばかりの薬を眺めて、私はきっと苦い味に違いないと勝手に想像していました。


 体に良いものはたいてい苦いものだと、子どもの頃に言われたことを思い出したからです。


 ところが、飲んでみると意外にも甘く、まるで水飴のような優しい甘さが口いっぱいに広がりました。


 あぁ、これで私も賢くなれるんだ、と胸を高鳴らせたのも束の間、私は大変なことに気が付いてしまたのでした。


 つける薬を飲んじゃったという事に。


 そもそもバカだから?……というか、使う前から、薬が効いているわけがないのですから、間違っても仕方がないじゃないですか。


 せめて体の内側から効いてくれると助かるんですけど……。


 説明書をきちんと読まなかった自分が悪いのですが、ちょっと悔しいですね。



 そういえばある人から、悔しいことがあったら、右のこぶしを地面に向けて何回も突き出してみるといい、と教わりました。『そんなの関係ねぇ』と吐きすてながら。


「そんなの関係ねぇ! そんなの関係ねぇ!」


 最初はぎこちなかった動きも、次第に力強さを増していき、そして、不思議と胸のモヤモヤが晴れていくのを感じることができたのでした。



 結局、私は賢くなれたのか、馬鹿のままなのかはわかりません。しかし、この日の夜、私の中の何かが少しだけ変わった気がするのです。


 これは、賢くなるための第一歩。私はそう自分に言い聞かせながら、空になった小瓶を不燃物のカゴに入れたのでした。



おわり

※海パン一丁でやれば、効果はより高くなると思います。ハイッ、オッパッピー (/ °∀°)/

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