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第6話 大団円……?

 私たちは今は、廃工場の外にいた。杜若さんの部下が迎えにきてくれて、周囲には三台ほど、黒塗りの車が停まっている。

「離しやがれ、このクソどもが!」

 凜子さんは後ろ手に縛られて、屈強な男二人から取り押さえられていたけど、それでもその意気だけは衰えないようだった。

「やれやれ、元気がいいですね。その元気を別の方向に発揮してくれれば良かったんですが」

 杜若さんはため息をついている。今はミケは杜若さんの腕の中で丸くなって、呑気な大あくびをしていた。

「ねえちょっと、どういうことなの?」

 腰に手を当てて、えりかさんは杜若さんに向かって、口を尖らせている。


 杜若さんは少しだけ、補足をしてくれた。凜子さんは私たちとは違って蜂須賀一真の正妻の娘だったけど、その正妻が実は後妻業の女である疑惑が生じて、蜂須賀の家から叩き出された。凜子さんはそのことを恨みに思っていたのだろう、そういう話だった。

「じゃあなんで、この女を後継者候補に招いたのよ」

 えりかさんの追及も尤もなことだった。

「組長の遺言ですからね、それも。……そろそろ、遺言について、正確なことをお伝えすべきでしょうね。実は、遺産相続の条件は、凜子さんが考えているのとは、少し違っていたんですよ」


 以下が、杜若さんが話してくれた、正確な遺言の内容だ。


・蜂須賀組の後継者を、若頭の杜若大介とする。

・ただし、杜若大介は蜂須賀一真の三人の娘から、一人を嫁に迎え、生まれた子を後継者とすること。

・三人のうちの誰が適格か、杜若大介自身がその目で確かめ、判断すること。


「じゃあ何、あたしたち、あんたの嫁選びに付き合わされてたってことなの?!」

 えりかさんが叫ぶ。

「まあ、そういうことになりますね」

「ふざけんじゃないわよ!」

 えりかさんは怒り心頭のようだ。私も正直怒りたい気持ちはあるけど、それより一個、気になることがあった。

「あ、でもじゃあ」

「何ですか?」

「猫の世話って、一体何だったんですか? この試験の趣旨って」

「それが、この件のちょっと、捻ったところでして」

 それから、杜若さんは口にする。

「ミケは、僕の猫ですよ。うちの子と仲良くやっていただける方と一緒になりたいと、僕が思いましてね」

 その言葉。

「「「な、にーーー!!!」」」

 私たち三人の叫び声が、辺りに響き渡ったのだった。


《Happy End ...?》

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