第4話 猫誘拐犯は【解答編】
今回は解答編となります。
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私は、息を吸って、吐く。
「まず不思議なのは、猫が大雨の中いなくなったことです。
ちょっとは外に出てみようと思ったりするのかもしれません。だけど、大雨だったら引き返してこないでしょうか? 猫って水が嫌いでしょう。だから雨の中ミケが自ら外に出て行って、そのままいなくなったというえりかさんの推論は、そのまま受け入れるのはちょっと難しいです。
次に気になるのが、凜子さんの言う足跡です。
猫が家の中から外に出て行った場合には泥の足跡は付きません。足跡が付くのは、猫が外から中に入ってきた場合です。なので、玄関からついていた足跡も、ミケが外から室内に入ってきた時の足跡と考えるべきでしょう。
ちょっと不思議ですね。足跡がついたタイミングではミケが家の中にいるはずなのに、凜子さんは猫が家の中にはいなかったという。
今日の凜子さんの行動も少し気にかかります。いつも昼過ぎまで寝ている凜子さんが、今日は朝から起きていて、ちゃんとした服装に着替えている。朝なんとなく目が覚めただけだったら、また寝てしまいそうなものですけど」
ここで、私は一度言葉を切る。冷静にならなければならない。
「と、ここまでが推論。ここからは私の想像です……そうですね」
なぜなら、私が今からしようとしているのは——
「ミケはえりかさんが開けた引き戸から一度外に出て、すぐに家の中に戻ってきた。その後で何かがあって、いなくなった。
そして凜子さんには、この早朝に起きている用事があった。その用事のために、普段はミケに関心のない凜子さんが、その足取りが気にかかった。
その用事こそ、ミケを拐かすこと、だったりしませんかね?
餌を入れた猫の皿でミケを誘き出して、ケージに押し込めて、とかね」
——真犯人の指摘なのだから。
凜子さんは凄い目で、まるで親の仇を見るかのような目つきで、私の顔を睨み付けていた。
そうしながらしばらく無言だったが、やがて動く。
「チッ」
舌打ち一つとともに、玄関に向かって凜子さんは駆け出した。
「ちょ、待ちなさいよ!」
えりかさんと杜若さんがその後を追う。
凜子さんは外へと駆け出すと、停めてあった銀色のスポーツカーに飛び乗り、勢いよく走り去って行った。
「え、ど、どうしましょう……」
私は、えりかさんと杜若さんの顔を交互に見返す。
「大丈夫です。ミケの首輪には発信器がついている。すぐに追いかけられるはずです」
「……ちょっと、それを先に言いなさいよ!」
わかったかな?
また、納得は行きましたでしょうか?