003
「で、いつ来るんだ?今日とか?」
「それがなぁ・・・・分からん」
「なんで?」
「俺達と俺達の依り代となっているなら、自分の意志でどこにでも行き来出来るんだが・・・彼女は自分の意志では来ることが出来ないんだ。」
「・・・えっ?」
「誰かに連れて行ってもらわなければ、こちらには来れないし、多分自分の所にも戻れないんだ」
「お前・・・・そんな彼女を、俺を付けるとはいえ、一人にさせるのか?」
なんだか無性に腹が立ってきた。
彼が悪いわけではないと分かっているのに・・・・彼女がまだどんな人かもわからないのに・・・・。
何も分からない状態だから、どうすればいいか分からないから、どうすることも出来ない自分にも腹が立っているのだ。
「そう怖い顔をするな。今の問題はそこなんだよな・・・。彼女もそこは分かっている。時と場合によるが、他の依り代達に知られたくはないらしい。だから、一度顔合わせだけさせる。こちらに来る勇気が出来たらってことだよ。」
「彼女がそれでいいなら、俺は何も言えないけど。(・・・・言っちゃいけないだろうが、彼女の意志であって、意思でないってこと?ただ体験してみたいだけか?一方的にしか見えないが・・・それはかわいそうじゃないのか?)」
「・・・そうだな。(自由に行き来出来るように)何とかしようと思ってるよ。」
俺が何を思っていたのか分かったのか、そう答えた。
「そういえば、あの時隣国のあの侍女さんの依り代って言ってなかったか?あっちでは、何もしないの?」
「この話までは、彼らは知らないんだ。あっちの国に行ったことはあるらしいけど。」
「何か言いたくない事情があるのか・・・・相談出来ない何かが?」
「それは、きっと彼女のプライドかな・・・誰にもバレたくないって言ってた。俺ともう一人しか知らない。」
「へぇ・・・・」
「いつか、その理由は教えてくれると思うよ。」
「それってさ、俺に心開いてくれねぇと無理なやつだな(苦笑)」
一つも解決に向かっていないが・・・・。
ただ、殿下は彼女に対して何かフォローしようとしているのか?
「ただでさえ、常識の範疇を超えてることが起こってるんだ。何が起こっても動じないつもりだったんだがなぁ(苦笑)」
俺は、またしばらく悶々とした日が続くのであった。
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