能力が溜まりすぎて人生楽勝
初心者が日常にうんざりして妄想していたことを書いてみました。
現実逃避にどうぞ。
あー、またか......またなのか......。
俺は.......いや、どうせ毎回変わるし名前は言わないでおく。
今俺は死んだ。死ぬのはもう何百回目だろうか。
今回の死に方は馬鹿だった。なにせどのくらい息を止められるかなんて試しているうちに死んでしまったのだ。
とはいえもう死ぬのには飽き飽きしている。命を大事にとか思えない。
あーまた白い光が見えてきた。女神に会うのも何度目だろうか。
「お疲れ様でした。たった今あなたは死にました。転生前に一つ能力を授けましょう。」
こいつは毎度毎度......たまにロボットなんじゃないかと思う。ちなみに女神は俺の特徴について知らない。いよいよ生きるのが嫌になったら打ち明けようと思う。
でもまだだ。まだ俺は全ての世界を見ていない。重複したことがない。
全てを見るまでは本当の意味で死ぬのには早いだろう。
「能力を選んでください」
おっと、考え事をしていたら催促されてしまった。そうそう、俺は能力もリセットされないのでほとんど欲しいものはもう取得済みだ。勇者とか賢者とか、最初の頃はそんなのばっか選んでたものだ。
......ん? 待てよ?
一番万能なやつをまだ試してなかったじゃないか。
そう、美貌だ。
馬鹿と思うかもしれないが、人生初心者が一番欲しがるものじゃないか。なぜ今まで貰わなかったのか......。
「美貌だ」
女神に向かってそう一言言うと、
「かしこまりました。あなたを次の世界、『地球』に転送します。」
そういって女神は消えていった。視界が光で埋め尽くされる。
地球か......。退屈しなければいいが。
そう思いながら俺はそっと目を閉じた。
読んで戴きありがとうございました。
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