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エッセイ

私が創作友達と袂を分かった理由~浸食~

作者: HOT-T

文中でも触れていますが完結作品のスピンオフを書いていて「あ、似ている状態だ」とトラウマ的に蘇ってきたものがあり想いを書き出してみました。

 私にはかつて仲の良い創作友達が居た。

 小学校からの知り合いで中学校でアニメやゲーム・小説などで共通の趣味を持つ友人となった。

 高校も一緒であったが大学で離れた。


 その辺りからだろう、本格的に彼と創作について話すようになった。

 彼とは価値観もある程度似ていたので話をするのが楽しかった。

 それこそ時間を忘れるほどに。


 彼はラノベ作家になると言っていた。

 あの時代は「スレ〇ヤー〇」やら「魔〇師オー〇ェン」やらが流行っていた気がする。

 色々な賞に応募したが鳴かず飛ばずだったらしい。

 「俺は理解されない」とよく漏らしていた。

 

 彼の作品を見せてもらったことがある。

 というか彼は大抵作品を見せてくれた。

 彼の文章力は高く地の文なども非常にそれっぽい感じだったと思う。

 ただ、『何か読みにくい』というのもまた印象であった。

 

 確かに一瞬、文章の見た目におお!となる。

 だが何というか『作品の世界に入り込みにくい』のだ。

 本を読むのが好きな人は何となくわかってもらえる感覚ではないかと思う。

 まあ、なろうで底辺作家をしている私が言うのもあれな気もするがそれが彼の作品に対する私の評価だった。


 後、彼の斜に構えたところがセリフなどに色濃く反映されていた。

 いわゆる、彼なりの個性だ。

 別に自分の思想とかが反映されるのは構わないと思うが少しクセがあったのは確かだ。

 『刺さる人には刺さるかもしれないが、刺さらない人は本を閉じる』という感じだ。

 断っておくが悪くは無いんだよ、本当に。


 まあ、私はそれが彼のスタイルと思っていたので特に指摘しなかった。

 正確には指摘すると怒るから面倒くさくてしなかった。

 後、そんな彼の文章を私は嫌いでは無かったし。


 ただ、これで大賞を取れるかと言うと……うん、無理じゃね?だった。

 彼はともかく徹底的に推敲を重ねる完璧超人だった。

 2行書くのに1週間かけたこともあったらしい。

 それだけ文を書くのが好きなんだな、と私は読者を続けていた。


 さて、一方の私は二次創作が好きだった。

 まあ、一から新しい世界観を構築する能力も無かったし何よりその作品が好きだった。

 当時はこういったサイトは無かったので自分のホームページを作りそこで公開していた。


 別に評価されたいというよりは好きなものを書いて載せているのがただ、楽しかった。

 作品を見て、「面白かった。続きを!」と言ってくれる人がいたり、イラストを書いてくれる人もいて嬉しかった。

 とても充実していたと思う。


 彼は自分の創作が行き詰った時などはそれを見に来て色々アドバイスをくれた。

 

 そうして1作目が完結。その後しばらくしてそこから派生した続編となる2作目を書き始めた。

 奇しくも現在の状況に似ているか……

 まあ、今と違い舞台は元の漫画と同じでやはり二次創作の体ではあったが……


 この頃になると彼の執筆活動は暗礁に乗り上げ始めた。

 そこで彼が行ったのは私の作品のプロデュースだった。

 MSNのチャットで「こうしたら面白いと思う」とかそう言ったやりとりが日々重ねられていった。

 その合間に私との会話の中で彼自身も「その発想があったか」というのがあり一晩中語り合っていることがあった。


 やがて「俺が昔作って世に出なかったキャラをゲスト出演させてくれよ」と言われた。

ということで彼が本格的に作品に関わってくるようになった。今思えば断ればよかったかもしれない。


 最初はちょっとしたエキストラとしての登場だが、だんだんメインキャラに絡んでくる割合が大きくなってきた。

 連日、私の作品用にリメイクされたキャラ設定が大量に送られてくる。

 プリントアウトして綴じていくとちょっとした設定資料集になった。


 さて、だんだんと雲行きが怪しくなってきた。

 そして彼のお気に入りキャラたちが私の作品を侵食しだした。


 特徴としては

・常に主人公や私が作ったキャラ達より上の立場。

・私のキャラをバカだと思っている。

・ぶっちゃけこっちが主人公?


 みたいなことになってきた。

 遂には私の作ったキャラを手籠めにしだした。

 何故あそこで離れなかったんだろう……

 

 更なる浸食は続く。

 一応、プロットは作っていたがそれを大幅に崩し始め正直、作者である私が今後の展開を見通せなくなった。

 筆が遅くなり始めた。

 送られてくる大量のキャラ設定。どれも魅力的ではある。


 更には元の作品、いわゆる原作に対する連日の批判。

 すごく好きな作家だったのに一時期『こいつはダメだ』と洗脳されていた気がする。

 二次創作の方向性が『ダメな作品をリビルドするぞ』的な感じに変わっていく。


 段々と理由をつけてチャットに出ないようになった。

 精神的につらいのだ。

 

 私にとって作り上げたキャラ達はたとえ未熟な存在でも可愛い我が子だ。

 それを足蹴にされ、何とか抵抗しようと色々設定を追加していっても結局は常に下。

 結局それが6年間続き、私はその作品をエタらせることとなった。

 その頃にはもう、私が設定したヒロインは彼のキャラの〇奴隷にされてしまっていた……


 それでも彼は私に設定を送って来たし「このキャラはどんな台詞になるだろうな」とか日々送ってきた、私は、正直もう嫌だった。

 そんな私の態度が段々わかってきたのだろう。

 ある日、私は彼のSNSからブロックされていた……


 結局創作活動を再開できたのは2018年。数年かかった。

 書いていても常に「それはダメだ」とか彼の声が聞こえてくるようで辛かった。

 最初の2作は停滞中だがいつか終わらせてあげると誓っている。


 「破界の聖拳使い~記憶喪失で転生したけど強いので何とかなっています~」でようやく勘が取り戻され始め、一時期危なかったが完結させてあげることが出来た。


 ポイントも低いし底辺作家ではあると思うが書きたいことを書くことが出来ている。

 無論、これでポイントが入っていたらもっと嬉しいが欲張りはしない。

 何よりも可愛い我が子に日々愛情を注いであげられており充実している。


 バカみたいに話を続けられる友人を一人失った。

 でも恐らく、これで良かったのではないかと私は思う。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 先日は、ご感想ありがとうございました。今回のエッセイ、うなづきながら読ませていただきました。 「私にとって作り上げたキャラ達はたとえ未熟な存在でも可愛い我が子だ」という部分では、読んだ瞬間…
[一言] 先日の感想を読み直して、押しつけがましいと自分で思う部分があったので、一度削除しました。 大変失礼しました。 厄介な友人と縁切りできたことはよいことだと思います。(私の知人にも似たのがい…
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