終音の末
秋風に押されながらその町に入った瞬間、耳鳴りがするような無音に全身が包まれた。
驚いた私は反射的に周囲を見回した。
きょろきょろとレンガ造りの住宅地を見回していると宿屋の壁に貼ってある一枚のポスターを見つけた。『音エネルギーで再生を』と書かれたポスターによると一日に数時間、町中の音エネルギーを吸収し電力に変換しているとの事らしい。
私は改めて周囲を見回した。馬車は滑るように走り、人々はスポンジの床でも歩いているようだった。
声を出しても届かないというのは中々に不便なものだなと私はッ宿屋の主人と筆談を始めた。