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なんかスッゲェ未来の道具が出来ちゃったんだけど

 ラーナの肉をコメと一緒に煮込んだリゾットを食べると、なかなかに美味かった。


「この肉なら、マギアフーンにも負けないね」


 と、リーアの評価も良い。


 常にはどうやってラーナを倒しているのかと思ったが、ここのエルフたちにはロリの様に火や爆発系が使える者、水や氷系が使える者、雷系が使える者が居るとかで、ラーナには雷系でしびれさせて動きを止めて打撃を与えるのだとか。


 残念なことに今日はその雷系を使う者が狩りに出ていて居なかったとか。


 ここでは川が近いので水棲魔物、トルチェやラーナがよく現れるそうで、雷系の人物はトルチェを狩りに行ってしまったらしい。水棲魔物に雷が効くというのもびっくりだが。


 それぞれの系統の術者が多く居ればよいのだが、この村には火系はロリと初日に会った美人のロニヤだけ、水系はそこそこ居るが、水棲魔物との相性はまあ、良い訳がなく、雷系はあのイケメンのオロフが使えるという。


 そんな、なんやかんやあった後、ラーナの皮が手に入ったと工房村へ伝えたらしく、なぜか職人が俺たちを探しに来た。


「ちょっとコマ待ってくれ、ウマゲなん入ったケン」


 どうやら、ラーナの革を使ってもう少し弄る気らしい。


 結局、その話が出た事で帰りはもう一日遅れそうだ。


 だが、次の日の昼前に工房から呼びに来た。


 案外早かったなと工房へ向かう。


「鎧が自分で立ってる?」


 それを見て思ったのがその一言だった。


「ウマゲナん出来たやろ」


 と言われたのだが、別に美味しそうには見えない。ラーナの肉は美味しかったが、目の前にあるのはロックボアの鎧を鉄の棒で支えている不思議な物体だ。


「何が美味いのか分らんが、これ、どうやって着けるんだ?」


 そう疑問に思ったが、なぜかリーアは既に鎧を分解して着込もうとしていた。


「これ、ハメたらダイのうなる」


 台が無くなるのか?いや、意味が分からん。


 まあ、とりあえず、よく分からないが、着けるというか、装着だな。


 そして、なぜか、重い物を用意する職人。


「持ってンマイ」


 持てという。


「あれ?」


 リーアが疑問形のセリフと共に持ち上げている。


 俺も持ってみた。


「あれ?」


 思ったほど重くなかった。


「軽い?あれ?」


 ふたりして疑問に思っていると、職人が背中を指す。


「これ、カワズの革や。魔力使こたら、もっとテンマイで」


 と言うので、魔力を使ってみた。


「おお!軽い軽い」


 驚くほど楽になった。


「手と足んところもあるケン、ガイニ歩けるで」


 と、どうやら、肩と肘当て、腰と膝当て部分の革もラーナのモノらしい。


「あ、歩きやすい。もしかして、弓も引きやすくなったり?」


 リーアが軽々と歩いている。


 俺ままず、魔力を使わずに歩いてみたが、それでも足や腰の負担が軽減されている。


 魔力を込めると少し動かすだけで革の伸縮が起きて動きを倍力してくれる感じだ。これは凄い。


 リーアが言ったように、弓を引くのもずいぶん楽になった。


 そこで、親指に弓掛のような細工をしてもらう事にした。


「ちょっとコマな」


 そう言って、ササッと親指を採寸して動力式の機械でサクッと仕上げてくれた。


「ハメテンマイ」


 そう言って渡されたそれを手袋に着け、弓を引いてみる。


「これは良い。これなら魔矢に魔力を送るのも楽だな」


 リーアは少し戸惑ったらしいが、そう時間を掛けることなく使い方を覚えたらしい。


 そして、そのまま射場へと向かって、試しに射てみることにした。


「これなら弓に魔力を使わずに体の動きだけで弓が引けるね」


 と言うリーアの喜びようがなんともまぶしかった。


 確かに、この鎧であれば、弓に集中しなくても体の動きにさえ魔力を用いていれば良いので、これまで以上に弓が引きやすい。


 それだけではなく、使い方によっては大型の槍を振り回す事も出来るだろう。ジャイアントベアやロックボアに対する間合いをもっととる事が出来そうだ。


 そして、リーアの恰好を見ながら、日本の知識を当たると、パワードスーツとか強化外骨格とかいうものが浮かんできた。


 不思議な箱を背負ったモノや、何かの革をつかったこの鎧と同じようなモノ。色んな種類があるらしい。


 ろぼっとというモノもあるようだが、それはさすがに作れる気がしない。雷系が使えるオロフなら、自分の雷をエネルギーに動かせたりするんだろうか?



「あ!ヘラコイワ」


 そんな事をしているとロリがやって来てそんな叫びと共に飛び出していった。


 何がしたかったんだ?


 それからしばらくして現れたロリは何故だか、二ホンの大鎧かという様なものを着込んでいた。


「これ、ガイナけん」


 そう言って、自分の背よりも大きな弓を射るという曲芸をやってのける。


「ウマゲやろ」


 そう言ってドヤ顔をしている。


 確かに、弓もデカイし威力もありそうだ。



 しばらく三人で弓を射ていたが、新たな来訪者がやって来るなり、ロリを見て叫び出す。


「ナンションナ!イカンやろ」


 それを聞いてロリが嫌そうな顔をしている。


「ナンチャショーランわ」


 どうやら、日常持ち出してよいものではなかったらしい。


 結局、怒られながら帰るロリ。


「もしかして、コレって普段使いするものじゃないとか?」


 リーアもそれが気になっているらしい。



 あとでオロフに聞いてみたところ、ロリが着ていたのは戦闘用らしく、エルフは普段の狩りや生活でこの様なモノを使うことは無いらしい。


 まあ、そもそもの魔力の使い方が俺たちとは比較にならないほど優れているので、身体強化や物体強化&魔法だけで普段の荷運びや狩りをやっていけるらしい。



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