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前世を思い出したらいきなりピンチだった

 いきなり突進してきやがった。


 狩りに来てはいるが、コイツは獲物じゃない。


「ロックボアだと!」


 一緒に来ていた誰かが叫んだ。


 何でこんなのが出て来るんだよ。もっとも出会いたくない類の魔獣じゃないか。


「ガエル!」


 誰かにそう叫ばれた時には何とか避けるのが精いっぱいだった。


 運の悪い事にそのまま姿勢を崩して思いっきり石に頭をぶつけてしまった。


 痛い痛い痛い。????


 なぜかおかしな記憶が頭の中に浮かんでくる。


 二ホン?何それ?チューニビョー?何だよそれ。


 YES!魔力!OH!


 まるでよく分からないが、何だろう。どうにかなる気がして来た。


 ロックボアの野郎がどうやら俺を獲物と見定めたらしい。また突進しようとしている。


 魔力か。


 人間が普通に持つソレは、何らかの特殊な訓練なしには使えないとか言われていたはずだが、今の俺には分かる。


 魔力はイメージだ!


 20世紀末の自動車のCMかよ!って感じのネーミングセンスに自分で笑ってしまった。


 だが、そうだ。アイツは豆腐。そして、豆腐に箸を刺すようにやればいけるはずだ。


 豆腐ってなんだ?箸?


 まあ良い。


 槍を手に、アイツは豆腐。これは箸。そうイメージして突進してくるロックボアの眉間へと槍を向ける。


 そう、豆腐に箸を突き立てる様に。


 突進してきたロックボアに対し、何の抵抗もなく槍が吸い込まれている。


 あまりの事に驚いた瞬間、いきなり槍が止まってロックボアの突進に巻き込まれてしまった。


 どうする事も出来ず、ただ槍に掴まって10歩程度突き進んだところでいきなりロックボアが停止して倒れてしまった。


「やったのか?」


 自分でもびっくりするほど呆気なかった。


「大丈夫か!」


 みんなが駆け寄って来る。


 そして、ロックボアに深く刺さった槍を見て驚いている。


「槍が刺さるのか?コレに」


 と言って一人が槍を突き立てようとするが、ガッと言う硬質な音によって阻まれてしまった。


「どうなってんだ」


 そう言うので


「豆腐に箸を刺すイメージだよ」


 と、答えると。誰も理解できていない。


「トーフってなんだ?ハシ?」


 おっと、そうだ。ここは二ホンじゃないんだ。


「肉にナイフを刺すイメージで行けば大丈夫」


 そう言ってドヤ顔をしてみたが、誰も成功しない。


「肉にナイフ、肉にナイフ」


 1人が呪文のように唱えながら、ナイフをロックボアに振り下ろす 


 スッと音もなく吸い込まれていくナイフ。


「やった!やったよ!ガエル!」


 そういって飛びついて来る美少女にされるがままに頭をゆすられている。


 二ホンじゃ絶対にありえなかった事だけに、変な笑いがこみあげてくるぜ。グヘへ


「まあ、リーアも一応は女だが、変わり者だな、ガエルは。こんなガリブスで鼻の下伸ばしやがって」


 というあきれ顔の他の連中。


「あ”?女が何だって?」


 そこに現れたふくよかなお姉さま。


「い、いや、ドリスみたいな美人のこっちゃねぇよ」


 と、男の一人が返している。


 そうなんだ。


 ここは二ホンと美意識が違って、ふくよかなお方が美人なんだ。まあ、さっきまでの俺もドリスを村一番の美女って感じだったけど、今じゃリーアが美少女だよ。


「美人だブスだと喚くんじゃないよ、アンタらの大半よりもリーアの方が身のこなしは上だろ」


 と、この人メッチャイケメン。ふくよかだなんだに関係なくホレる要素有るよな。ま、まな板なこと以外、今の俺にはリーアだがな。うん、何とも心地よい。


「リーア、いつまでサービスしてんの。将来の旦那だからってみんなの前でいちゃつかない」


 そう言って俺からリーアが引っぺがされた。


 さて、ロックボアなんてどうしたものかと思ったが、リーアが「普通に肉を切る様にやればいけるでしょ」と、本当にロックボアの固い表皮をナイフで切っていく。俺も出来るんじゃねぇ?と、ナイフに集中して魔力を流すと出来てしまった。


 驚いた他の連中もやってみるが、出来るかどうかは半々と言ったところだった。


 ちなみに、ドリス姐さんはニコニコ切り刻んでおられました。


 

 ここはアンドシンスというガリシニア王国の僻地だ。


 山の中なので平地が少なく、農業と言えるほどの事は行われておらず、木を切って草原を作ってヒツジやヤギを放牧して暮らしている。


 ただ、それだけではやっていけないので時折こうして山に分け入る訳だ。


「ロックボアの肉なんて食えるのか?」


 そんな声がするが、特に毒があるようには見えない。


「毒があるなら触った時に分かるだろ。そうでなくとも、この毒見がピンピンしてんだ」


 一応、犬っぽいモノを狩猟には連れてきているので、ソイツに少し与えてみた結果。嫌がりもせずに喜んで食いやがった。


「んじゃぁ、食える訳だ」


 そう言ってロックボアを切り分け、皮も持ち帰るために切り分けていく。


 ワイルドな事に、腹ごしらえはロックボアの炙り肉だ。


 うん、悪くはないんじゃないか?贅沢に子羊を食う様な貴族連中ほどではないにしても、結構柔らかい肉だった。二ホンの肉類の記憶には劣るようだが。塩と香草以外の調味料欲しいな・・・・・・

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