天に昇るほどおいしいチョココロネのお話
読んだらわかると思いますけど深夜テンションです。後悔はしてません。
「好きです!付き合ってください!」
「…私はチョココロネに目がないのよね」
「へ?」
「私と付き合いたいのなら…まずは噂のチョココロネを持ってくる事ね!」
この学校の人気者、柊さんに告白したと思ったらチョココロネを求められた…
この町には、やたら人気のチョココロネが存在しているという噂がある。
どれくらい人気かというと変なお薬でも入ってるんじゃないかってくらい人気で、老若男女問わず多くの人がそのチョココロネを買い求めるらしい。
私はそのチョココロネを食べたことがないので、どれほど美味しいのかはわかりかねるけど、よっぽど美味しいんだろうな。
ただその人気はここら一帯だけのもので、市外に出ると全然話を聞かなくなる。
まさか本当にあったとは…
柊さんに聞いた噂のチョココロネが置いてあるパン屋さんに朝6時に向かった。
100人くらい並んでいる。正直言ってドン引きした。
あ、柊さんだ。
「あら、遅かったのね」
「毎日こんなに並んでるんですか?」
「昨日の夜にはこれくらいいたわね」
ん?おかしくないか?
「…昨日の夜から増えてないってこと?」
「あら、そういえばそうね…」
「1部のすごく熱狂的なファンが買いに来てるだけで、それ以外の人はそうでもないのかな?」
「そうかもね。少なくとも並んで買うほどではないのかも」
「…柊さんも昨日の夜から並んでるの?」
「ええ、まだここのチョココロネは1回も食べたことがないのよ」
それからしばらくして開店の知らせが来た。
列が動き出し、みんなチョココロネを買って出てくる。
っていうかみんなお札出してるんだけど…ちょっと高くない?
そして―柊さんの少し前で止まった。
「…また買えなかった」
しょんぼりする柊さんを見て、ちょっとほっこりした。
「私が、柊さんの為に買ってくる!絶対に!」
「…お願いできるかしら?」
その日は学校を休んで半日ほど準備した。
そして、14時頃から並び始める。
…いやまぁ並ぶって言ってもパン屋さんは開いてるからパン屋さんの前で突っ立ってるだけなんだけどね。
流石にこの時間からチョココロネを待ってる人はいなさそうだ。
ぼーっと立っていると中から会話が聞こえてくる。
「店長!明日のチョココロネの仕込みが終わりました!」
「おう、ご苦労さん」
「でも、良いんですか?こんな依存性のあるお薬とか入れちゃって」
「いいんだよ。見ての通りチョココロネがなけりゃウチは閑古鳥だ。多少のことは仕方ない。幸い知り合いのお陰でヤクも安く手に入るしな」
「にしてもチョココロネは最高だぜ!最後までチョコたっぷりだから多少味が変でも気づかれにくい」
「それより、隠蔽工作はできてるよな?」
「はい、言われた通り市外には出来るだけ出さないようにしてますけど…なんでなんですか?」
「流石に市外に出すと見つかりやすくなるしな。それにヤクの数も足らねぇ」
ここまで聞いたところで私は、携帯を取り出し…
「もしもし、警察ですか?」
「それで、そのパン屋さん潰しちゃった☆」
「そう…許せないわね。チョココロネは金儲けの道具では無いというのに…」
「それで、付き合ってくれる?」
「まだ私はおいしいチョココロネ食べてないのよね」
その言葉に、断られるのではと思ってしまう。でも…
「だから―一緒に食べに行かない?」
「それは、付き合ってくれるってこと?」
「保留よ。いつかおいしいチョココロネを食べさせてくれたら考えないこともないわ」
相手は学校の人気者だし、女同士だ。正直断られると思っていたのだけれど…保留でもうれしい。
こうして私たちの世界一のチョココロネを求める活動が幕を開けたのだった。
たまにはふざけたかったんです。許してくだしあ
他に百合短編上げてるのでそっち見てください