三言二拍 200篇、その未訳の76篇から、選んだ奇作、珍篇、10選
宋から明にかけて、、民間の講釈師が語った話本(説話本)のネタ本から
明代にそれらを集大成し、偽話本として体裁を整えて、一大、短編小説集が敢行された。
それが三言二拍である
収録された短編小説はおよそ、200話にものぼり、
内容的は、神怪。世情、風俗。恋愛、殺人、詐欺、幽霊、妖魔、裁判、愛欲、などなど
当時の一大風俗絵巻となっている。すごいリアル小説だが別面それが突如ダークファンタジーに変身したりと正に奇想天外な展開である。
幽霊話も多くあって、有名なところでは
「白婦人の妖恋」がありますね
これは白蛇伝として昔、東映アニメになりました、
白蛇の精の美人が、青年に取りつくというお話です。
いま読んでも当時の世情、風俗を知るための格好の資料となっている。
だが三言二拍には、かなりの愛欲エロ系や,妖しい怪奇譚やグロイ殺人事件物なども多くて
まあ当時の風俗のウラが知れて面白いのではあるが
清代には、そのために、たびたび禁書となって、その後すたれて三言二拍は消え去ってしまったのだった。
殺人物も多くてその描写もリアルです。
毒を飲ませたり
斧で頭を勝ち割ったり
井戸に突き落としたり
船から突き落としたり
強姦殺人もありますし
かなりヤバいです。
基本リアリズムですが
そこに突如ダークファンタジーが紛れ込むというスタイルですね。
その交じり具合は違和感ないです。
まあリアリズム小説なのだが、、別面それが突如ダークな幻想単に変わったりして千変万化の展開である
実話と思ったのが実は幽霊話だったりして、、
以前に分かれた女がひょっこり訪ねてくる。それでよりを戻して同棲して仲良く数年暮らす。
だが、ある日長く音信がなかった友人がこれまた訪ねてきて再会。
実は女と同棲してるんだよというと
ええ?その女は4年前に自殺したんだよと言われる
あっと驚いて、家の中を探すがさっきまでいた女は忽然と消えていないのである・。
そんなおはなしもあるのである
その過程で、「近古奇観」という200篇からさらに無難な?お話だけを選んで40話として刊行されて、これがのちまで生き残ったのである。200話の中からたった40話ですよ、
残りの160話はカットです、
つまり妖しい話やら愛欲系やらはカットされてしまったのだ。
わたしから言わせればその160話のほうこそに、、ためになる?おはなしがいっぱいあるんですけどね。
正に160話カット、
「これってどうよ?」、、、、、ですよね?
ところでのちに大正時代ころに日本の、内閣文庫とか寺院の収蔵庫とかから
中国では絶えてしまった三言二拍の原本が発見されたのです。
多分当時の留学生や貿易商人などが中国から持ち帰ったものが残っていたのでしょう。
ココから研究が進み翻訳もいろいろ出るようになりました。
平凡社の中国古典文学大系で
「近古奇観」の全譯 40話
「宋・元・明通俗小説集」としてそれ以外の40話が邦訳されています
そして昭和33年には「中国文学大系」として
三言二拍の全譯が始まりましたが
途中で挫折、中断して終わりました。
既刊分は
警世通言1~10話
醒世恒言1~40話 完訳
初刻拍案驚奇1~25話まで
以上75話分で中断です。
さて、
ネットでの翻訳なども入れても私が知る限りで
いままで邦訳されたのは123話分です。
残りの75話はまったく未訳ですね。
本当は、
こういう無視された?中にこそおもしろいものがあるんですよ。
でその75話の中から私が選んだ厳選10話を
いかにザっとご紹介しようという次第です。
今ではなんとネット図書館で中国語の原文が読めるのです。
で、ざっと荒掴みに解説してみました・
ただし全文を訳すのは大変なので私にはできません、
☆本邦未訳から厳選10話
古今小説より
第三卷 新橋市韓五賣春情 (新橋市で、韓五が春情を売ること)
情寵嬌多不自由,驪山舉火戲諸候。 情愛は不自由で誰でもそこにはまるが
祇知一笑傾人國,不覺胡塵滿玉樓。 絶世の美人でも玉堂のチリとなる
さてこの詩の意味ですが、、、、、(最初の分を訳してみました)
第六卷 葛令公生遣弄珠兒 (葛令公が珠児を遺弄すること)
第十三卷 張道陵七試趙昇 (張道陵が7度趙昇を試す事)
第二十五 卷晏平仲二桃殺三士 (晏平仲が二個の桃で三人をころす事)
第二十六卷 沈小官一鳥害七命 (沈小官が一匹の鳥 (ツグミ)で7人を殺めること)
たかが小鳥が7人の命を殺めることになろうとは恐ろしや、、よくよく注意しなされよ
さて宋の時代に、海寧軍に沈という人が住んでいました。家は豊かで夫婦仲良く娘が一人いて
沈秀といい、歳は18才です。さて沈氏の趣味がツグミでして、、、、、、
(最初の部分を訳してみました)
☆警世通言より
第十九卷 崔衙內白鷂招妖 (崔衙內が白鷂で妖怪を招くこと)
第四十卷 旌陽宮鐵樹鎮妖 (旌陽宮が鉄樹で熔解を鎮めること)
☆初刻拍案驚奇より
第二十四巻 鹽官邑老魔魅色 會骸山大士誅邪
(鹽官邑が老魔の色を魅し、會骸山が大士で邪悪を誅す)
第三十一卷 何道士因術成奸 周經歷因奸破賊
(何道士が術で奸をなし、周經歷が奸によって賊を破る)
☆二刻拍案驚奇より
第十八卷 甄監生浪吞秘藥 春花婢誤洩風情
(甄監生が秘薬を呑み、春花婢が誤って風情を漏らす)
さて皆さんそもそも仙人になれるというのは運命もあるのでして
だれでもなれるというものでもないのです。
仙炉から秘薬を取り出したなどというバカ者が後を絶ちません。
さてここにこの道(仙道)を奉ずる老人がいました。とある日そこへ
ひげがぼうぼうの道士が現れて、、、、(最初の部分だけを訳してみました)
なお以上10篇の内容をより詳しく知りたい方は
原文から直接自分で訳してください。
邦訳は一切ありませんので、
こちらもどうぞ参照くださいませ
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