ニュートンのパーティー結成
自分を襲った子を助けることにしたフローラルは最初の所持金を使って宿の一室を借りた。
その部屋のベッドにあの子を寝かせるとすぐに買い物に出かけた。
「急がないと」
そう言いながらなるべく早く目的の店を目指した。
宿から早歩きで5分かかって目的の店には着く。
そこに着くと急いで店主の女性に回復薬と手当の一式を出すように頼んだ。
そして代金を置いてすぐに宿を目指した。
「これであの子は私に恩が出来る。いろんな意味でね」
そんな考えをしながら宿に着くと大急ぎで手当てをしてあげた。
手当と回復薬があっても治るのに数時間かかるとネットの掲示板に書き込まれていたので、フローラルはそれを信じてしばらく宿でスキルの確認をした。
重力は重力でも引力に近い力を完全に使えるようにするために。
----------------------------------------
しばらくするとあの子が目を覚ました。1時間で治ったのは早いほうだ。
本当に回復してるのを確認すると起き上がって周りを見渡した。
その途中で右側の扉に近い方を見たとき驚いた顔をした。
なんでかと言うとフローラルが重力操作で浮いて瞑想をしていたからだ。
「起きたんだね」
変人は目を閉じて瞑想したままあの子が起きたことに気づいてそう言った。
するとそっと床に着地して目を開けた。
それからいきなりド直球を投げた。
「ねぇ、そんなかわいい顔して男でしょ。それも男の娘って奴かな」
オブラートに包むわけでもなく。聞き出そうとするわけでもなく。
まっすぐに目を見てそう言ったのだ。
彼は戸惑いながら肯定した。
「その通りです。よく分かりましたね」
「分かるよ。そういうのが好きな変人だからね」
にっと笑いかけながら変人フローラルはそう言った。
いや、好きだから分かるというのはもしかしたら変態かも知れない。
「さて、いろんな意味で助けたんだし、つけてきた理由を教えてくれるかな?」
彼の使っているベッドに腰をかけるとそう尋ねた。
その質問に仕方なく答えてくれた。
「僕は導きに従ったまでです。《ジャンヌ・ダルク》のテスタですから」
その解答にフローラルはまずい子を拾ったかなと思った。
でも、面白そうなので関わってみることにした。
「ふーん、なるほどね。なら私が仲間になると誰かを救えるのかな?」
冗談っぽくそう言うと、彼はニヤリと笑って見せた。
「そうしてくれれば楽しくイベントを待てるようになります。《ジャンヌ・ダルク》のスキルの一つによると明日最悪なショーが開かれるそうです。それを終わらせたければ戦えと言われています」
それを聞いてフローラルはやる気が出た。
ゲームの進行を阻害するような敵なら倒せばいいのだから。
変人で戦闘狂のフローラルは闘志を燃やした。
それでテスタに対して手を出して言った。
「どんなことが起きるのか知らないけど、戦えるならニュートンは手を貸そう。どうする?」
そう言われて差し出された手をテスタは握った。
「お互いあのことは忘れましょう。その代わりにあなたには満足のいく戦いを差し上げます」
「よろしく。男の娘のジャンヌ様」
この時2人のパーティーが成立した。
そして、今後はフローラルが後ろで重力攻撃をすることに決まった。
当然、ジャンヌのテスタは前に出てその力を存分に振るうことで陣形が決まった。
その後リーダーはなぜかフローラルになったのだった。