表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いいようのない何か  作者: 桜井 薫
7/27

余計

 世の中には余計なことを言ってはいけない時がある。私はプライベートでそれを言うことがないように気をつけていたが、仕事に関しては何でも言おうと思っていた。一応思ったことを伝えないと向上もしないし、納得もできないからだ。

 しかし、今日、余計なことは言ってはいけないと思った。全く納得はいかないが仕方のないことだ。うまくやらないといけないからな。

 確かに基本的に事なかれ主義なので、人の色に染まりながらうまくやっていく方向に持っていくのだけれど、ある程度慣れてきたら疑問が湧いてくるのでやはり訊いてしまう。

 今日やらかした。と言っても「一言多い」だけの何にも問題視されない話なのだけれど。簡単に説明すれば、朝、自分が失敗したことがあって(まぁ、経験不足だと言われればそれまでだが)それを改善というか、前言われたことを覚えていて、それと違うやりかたでやっていたので「これそっちにしないんですか?」と言っただけだ。

 介護というか、うちの施設の毛色なのか、その時の感覚というかほぼ「気分」で仕事のやり方は変わるわ、人によって話が変わるわで正直細かい知識は必要だけれども、他業種でいう「マニュアル」というものは存在しない。だって人によっていうことが変わるのだからマニュアルなんてあったら大事だ。

 多分なのだけれど、よくは分からないのだけれども、患者さんが日々数時間で状態が変わるために「マニュアル」に拘るのではなくてその時の状況において「臨機応変」に対応するためなのかなとか考えてみる。

 勿論、人間関係を円滑にするための事情も含まれていて、その人に合わせておけばうまくいくみたいなところがあるのはどこの世界でも同じだ。最初に入った時に患者さんの名前を覚えろと言われたけれど、勿論覚えたけれど、そのほかに仕事内容は勿論だが、その他に「スタッフの位置関係とその人の拘り」を覚えるのが大変だった。

 まだ看護師さんはいいのだ。やはり知識がしっかりしているし、いうことに一貫性がある。しかし、介護士の場合、かなり一貫性に欠ける部分は多いと思う。それはここの職場に限ったことかもしれないので誤解のないようにお願いしたい。

 ここの職場で言えば、Aさんは「あれ」と言うが、Bさんは「これ」と言い、その二人が衝突しているのを目の当たりにして何も知識のない新人が困惑するといったロジックというにも馬鹿馬鹿しい出来事が度々起きてため息が出ることが多かった。

 今となれば、患者さんの容態と共に、スタッフの「拘り」も見えてきたので、吹き出しそうになりながらうまく躱すことが少しうまくなった。


 しかし、今日の出来事だ。またそれが勃発したわけなのだが、自分が発言した後に「あーやったわ」と実感した。

 まだ「拘り」を持つには早い時期だ。人に習い、人について行く時期なのだから一言多いのは「生意気」なのだ。内心思うことがあれど黙っている方がうまく行くわけだ。


 なんだかんだ言って「事なかれ主義」とか言いながら全然「事なかれ主義」ではないのがバレてしまうところだ。

 私は人一番「拘り」が強い人間だ。それは十分承知しているし、それに自信も持っている。しかし、あの職場ではただの「新人」なのだから黙ってないとな。


 こんなことでストレスが溜まるのかと思い、「社会人って大変だな」と実感してしまう出来事だった。

 結局、自分を貫くか黙り込んで話さないかのどちらかしか出来ない私はどうしたら円滑に楽しく仕事ができるのだろうかと考えてしまうことも多い。

 やはり経験があればなと思うことは多い。経験が多ければ、長ければいろんな話ができるのに。焦るね。

 黙って「はいはい」と言えればいいのだけれどな。自分には無理だ。ここだけで吐く。職場ではなるべく「事なかれ主義」で頑張る。だからここだけで吐かせて欲しい。


 私は「思い立ったら吉日」だし「竹を割ったような人間」だし「白と黒がはっきりしないと納得できない性格」だ。靄がかかった曖昧な事柄が大っ嫌いだ。はっきりさせたいのだ。決まりがあればそれに並行してやっていけばいい。それが決まりなのだから。でも、決まりもないし曖昧だし、はっきりしないし疲れるし、もうなんというのかな。人間関係しんどいな。


 でも前に書いた通り、患者さんの表情や、変化や、よくなる体調も悪くなる体調も受け入れて知識としてみなさんの話を聞きたいと思うことも多いし、尊敬できる方々も多い。仕事の上での知識量と経験は本当に培っていかないといけないのだなと心から思うのも本当なのだ。

 だから悔しい思いもある。何でこんなことでこだわりを見せて衝突しないといけないのか、何で患者さん中心で動かないのか。くだらないと思わないのか?

 その気持ちで動いたことで少しやらかした話をしよう。職場の会議で一時間以上同じスタッフに対してこの人を納得させるためにどうしたらいいのかと話し合っていて、くだらなくて馬鹿馬鹿しくて参加していることさえも嫌になっていたことがあって、次の日「そういうのは好きじゃない」と他のスタッフに話したら「チクリ」と言われるようになった。中学生女子か。


 どこにでもあるような普通の出来事なのだと思う。でも幼稚ではないのだろうか。だから馬鹿は嫌いなんだ。とも思うこともある。でも仕事はできるのだから何も言えないんだ。

 何が正しいのか分からないままこの職場を後にするのか。リセットされるように何も言わない人間を演じることができだろうか。不安ばかりが過ぎる。自分らしく生きたい。でもそうはいかないものだな。それが「お金を稼ぐ」ということなのかもしれない。

 欲しいもの、買うために頑張ろうかな。心の丈はここで話せばいいじゃないか。悪口を言い合う友達関係はいらないし必要ない。向上心を持って話せる人と話がしたいな。そんな人いないのかな。昔は居たんだけどな。大事な存在だったな。頑張って仕事して経験を積まないとな。


 頑張ろっと。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ