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最近私の周りで少し騒がしことになっている。まぁ、ことの発端は私にあるのだが。
元々、入社してからの私は情緒不安定から様々なことをやらかしていた。事務所で暴れるわ、職場で泣くわでとうとう異動を言い渡された。
自分がやったことなので仕方ないのだ。離婚と、親権と、関わりのあった人の死などが重なると流石に平常心ではいられない。
その中で一人の男性の電話番号を盗み見したことがあった。とはいえ、連絡網の電話を見ただけなんだけれど。
以前勤めていた会社はそういうことがオープンで別に問題視されることでもなかったのです。連絡つかないと仕事にならないし、それが当たり前だと思っていた部分はあった。
でも今、異業種に就いているので、そこのルールを分かっていなかったというのが大きい。まぁ、言い訳にしかならないけれど。
ここまで聞くといかに私がおかしい人間なのかが分かるから読者もつかないのかもしれんが、私は正直に生きると決めたのでここに書いている。また言い訳か。最近言い訳がましくなってきたな。
話は戻って、何故電話番号を見るまでになったかをお話ししよう。そもそも、私には好きな人がいる。その電話番号を見た人ではなくてひと回りも若いお兄さんなのだけれど、彼はいろんなことを教えてくれた。「自分らしく生きていいこと」、「人のことを察すること」、「暖かい時間を過ごしていいこと」、「半年前だろうが一年前であろうが過去になること」。数えても数えきれないことをたくさん教えてくれた。大切な人なのだ。心から幸せになってほしいし、私が幸せにできるものならしたい。でもそれはおこがましいから彼が望まない限りできないのだけれど。
でだ。ここからが本題だ。その電話番号の男性。彼のお父さんだと思った。私と彼しか知り得ないことを知りすぎている。しかも微妙に雰囲気も似ている。その男性の息子さんは彼と同い年だしね。彼しか見えない私にどうしろというのだ。しかも勿体ぶって「仕事以外のことは言わない」とか言いやがる。なんなのだよ、こいつ。正直思う。
どうしても正体が知りたかった。だから手紙を書いた。一通目はほぼメモ書きで返されたし、上司には告げ口するし、最悪だったが、まぁ仕方がない。「関与」とか書いたしな。もし息子さんなら相当失礼な言い回しだよ。何やってるんだ私。
懲りずに二通目も出した。これはきちんとWardで打ったちゃんとした文章だ。今のような書き方ではないが。
そうしたら告げ口はされなかったものの、「仕事以外は教えない」ときた。ため息しか出ない。なぜ一言、「関係ない」とか言ってくれないのだろうか。優しい嘘でもいいのだ。関係ないと言って欲しかった。それが本音だ。
今回ついている仕事に私は本気で取り組んでいる。本当に楽しいのだ。安月給で生活は厳しいし、タバコも今止めているが、本当に楽しい。辞めたくはない。だからいっそのこと彼のことを考えずに仕事にのめり込みたい気持ちもある。でも彼も大切なのだ。人生を見直す起点となったのも彼との出会いだから。
しかもその電話の人(だんだん簡略化されていく)、息子さんのこと「金の無心している」とか言うのだ。もし彼が同一人物だとしたら、心配でしかないじゃないか。だったら私が養うからとか言いたいわ。マジで。(文が荒れているときは少し怒っている)
でまぁ、事の経緯は終わりなんだ。話はここから。私が電話番号を見たことで、何故か私がその電話の人のことが好きだと言う話になっている。誰が言いふらしたのかは分からない。多分電話の人なのだろうけれど。困ったよ。何も知らない人からすれば好きだと思われても仕方ないのだから。
でもね、実は嫌なわけではないのだ。その人のことを少し話そうと思う。すごく破天荒な人なのだ。資格ありきのこの世界で十年以上も務めているのに資格ゼロ。出勤時間もみんなが早く来る中で、その人だけ時間きっかり。考え方も一般企業的な考え方。資本主義だ。マニュアルありきだと思っているのか、決まり事に五月蝿いし、何より指導するのがうまいのだ。まるで私が働いていた前職の考え方をしている。そこはすごく共感してしまう。それに文章の書き方が綺麗だ。漢字の使い方の綺麗。作家志望としてはつい見入ってしまうよね。本当に綺麗な文を書く。
しかもだ。私が中学からハマっているカメラが趣味だという。なんだろうね、この人、興味を惹かれるじゃないか。
でも一つ言っておこう。顔はタイプじゃない。彼が百点ならその人は三十点だ。(酷いな、私)
まぁ、私はうまくいけばあと一週間でこの部署を去る。だから何言われても構わないよ。それに嫌な気分でもないから。もちろん電話の人は頭がキレる人だから簡単に躱すだろう。だから構わないのだよね。でもね、正直部署を移動したくないのだよね。まだその人に全然何も教わっていないから。彼のことはどうなのか自体分からないし、話したくないのならそれで構わないよ。でももっと難しい話も、馬鹿話もしたかったのだ。できればカメラの話もしたかったな。一緒に飲みに行きたかったな。妻帯者さんだけど。
うーん、妻帯者には興味がない、と言うよりは奥さんが可哀想だからね。人を傷つけるのは嫌いだ。何かしたいわけじゃないけどねー。考えただけで気持ち悪い。ははは。
正直、自分で自分が分からなくなる。彼が大切な筈で、彼を追っていた筈なのにどうしたのだろうか。最後に気持ちを打ち明けるべきなのだろうか。それとも何も言わず立ち去るべきなのだろうか。ここ一週間、考えているのだけれど答えが出ないのだ。どうしたらいいのだろうか。
でも人の縁というものがあって、どんなに頑張っても縁がなければ仕方ないけれど、縁があれば普通に話せる。今回は大切な彼とも、電話の人とも縁がなかったのだろう。寂しいけれどな。それを受け入れながら真空ホロウの「#フィルター越しに映る世界」でも聴きながら余韻にでも浸っていよう。多分、電話の人にはその時のタイミングで気の向いた話をするだろう。自分らしく自然に。
……彼が教えてくれたように。