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いいようのない何か  作者: 桜井 薫
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近況

 ここ一年半、いろいろなことがあって何を書けばいいのか分からない現状の中、小説をまた書こうと思った。

 小説を書こうと思った要因は恩田陸の「蜂蜜と遠雷」を読んだからだった。今までは純文学が主だったが、どうしても最近の新書を読みたいと思ったのだ。

 もちろん魅力的で、惹かれる作品だ。しかし、台詞がくさいのだ。例えば「ふっ」みたいな溜息があったりして、普段使わない言葉が多く感じた。

 私のスタイルとして、普段使わない言葉を作品の中で入れるということにかなり抵抗がある。日常生活を表現する中で、やはりどこか私は「ノンフィクション」を書くようにごく当たり前の台詞を取り入れて書きたいという「こだわり」があるのだ。

 私はノンフィクションが好きだ。幼い頃から国語の教科書に載っている「ありの行列」が好きだった。それから教科書を読むのが好きで、いつも物語よりも解説文を読むのが好きだった。それはどの物語より現実的で的でくさい台詞がないからだ。

 どの物語もどこか格好をつけていると感じる。だから今まで新書を手に取ろうと感じなかったのかもしれない。


 私は十代の頃は日記を手書きで書き、二十代の頃からブログを書いて、三十代になって小説を書き始めた。その中でやはり文章における「こだわり」を捨てずにいた。もうすぐ四十代なのだが、色々あって作家を諦めることにした。結局その努力も無駄に終わり家庭離散した。

 捨てるものを間違ったのかもしれないし、小説を辞めたところで状況が変わらなかったということなのだと思う。

 今、自分の小説を批判する人もいなくなり、少し心が落ち着いたので自分の作品を改めて読んでみた。自分では何の成長もしていないと思っていたが、数年前の作品を読んだ時に「自分、ちゃんと書けている」と思った。思ったよりも成長していたのだ。

 実はなろうにも少し参加していた。違うペンネームだが。前回書いた「カツカレー」という話も昔投稿していたものなのだ。

 あれだけは唯一褒められた作品だった。どこに矛盾点があるとか言われないで「面白いよ」とだけ言われた作品だ。

 私はただ、褒められたいだけだった。認められたかったのだ。ただそれだけだった。どこで歯車が狂ってしまったのだろうか。今でも整理がつかない。


 私の作品に対してのスタイルは、物語としての面白さ、「ストーリー性」を重視していた。文法などは校閲してもらえばなんとかなる。しかし、物語のストーリー性は校閲ではどうもならないし、コンテストに出すとしても、見られるのは文法の正しさではなく、明らかにストーリー性なのだ。

 しかし、作品を共にしていた相手はそれを理解してくれなかった。校閲を学び、文法の違いを指摘してきた。何度も話し合ったが全く理解してもらえなかったように思う。言いたいことは多々あるが、これでは相手批判になるのでここまでにしておく。

 この衝突が原因で作家を目指すのを辞めたのだ。それよりも大切なものがあるからだ。でももう私には何も残ってはいない。


 話を変えて、桂正和の「ZETMAN」という漫画を知っているだろうか。これは私が作家活動を辞めて読んだ作品だ。これを読んだ時にはもう作家活動を辞めていたのだけれど、読んだ時の衝撃は今までにないものであった。


「こういう作品が描きたかった」


 泣いた。悔し泣きだったのだ。話がどうとかではなく、本当に悔しかった。自分が描きたかったものがそこにあった。自分の選択が正しいものなのか悩んだ。相手を責めるまでに。

 私はやはり文章が好きだ。物語を描くのが好きだ。再認識した。少し落ち着いたらこの作品をまた買うかもしれない。そしてまた泣くだろう。悔し泣きだ。


 今文章を書いていて思ったのだが、少し昔とは文章の書き方が違うようだ。昔は難しい言葉を取り入れることばかり考えていた。「人に分かりやすい作品」を目指していたはずなのに、今読み返すと小難しい言葉ばかりだ。自分らしくない。これからは等身大で文章を書いていきたいと思う。


 この「桜井 薫」というペンネームは中学生の頃に決めた名前なのだ。Mr.Childrenの桜井和寿さんが好きで「桜井」、るろうに剣心の神谷薫の「薫」という漢字が好きだから「薫」、それとは別に俳優の小林薫さんが好きだっこともある。単純な話だが愛着があるのだ。だからこれからは「蛙宝華露」ではなく「桜井 薫」として生きていきたい。そしてコンテストに応募していきたい。過去作を訂正して出していくことから始めるつもりだ。


「自分らしく生きる」ということを教えてくれた彼に見ていてほしい。遠くで幸せに生きている彼に。

 直接逢えなくても、私の中では生き続けるのだ。大切な思い出として。


 ちなみに恩田陸の「蜂蜜と遠雷」で泣けたところ、まだ全部読んでいないからネタバレにはならないだろう。高島明石、いいキャラクターだ。泣いたよ。いい作品だから最後まで読みたい。仕事が忙しくてなかなか読めないが、早く読みたい。ゆっくりと堪能するつもりだ。


 一日一回は投稿したい。それが目標だ。作品を書くこと、頑張ろうと思う。「桜井 薫」として生きていくために。


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