第60話
大変お待たせしました。ご心配をおかけしておりましたが、無事体調も良くなり、復活しましたので、また宜しくお願いしますm( _ _ )m
翌日、私はアマルシスの所に赴き明日の土の日に相談できないか確認しに行った。
「特に予定は無いわ。そうだ!今度は、ジゼルが私の家に来てちょうだい!」
アマルシスがさも名案だと言わんばかりにポンと手を叩き、私を家に招待してくれた。アマルシスはふふっと笑い、『対策を練らなくちゃね』と言った。とても心強いわ。
「ねぇ、ジゼル」
「何?アマルシス」
「私、『転生したら乙女ゲームのサポキャラのサポキャラになりました』って同人誌書いてもいいかしら?」
「も、もう!何それ!ちょっと興味が沸いたじゃないの!」
ニッコリと笑いながらエッジを効かせた冗談?を言って和ませてくれたアマルシスに感謝しながら私は自分のクラスに戻った。
いやいや、甘苺カシス先生の同人本かぁ。そんなの・・・そんなの欲しいに決まってるわ!!これは是非描いてもらおう。
「ジゼル、何か嬉しそうですね」
「アーンジュ♪そうなのよー!アマルシスがね、今度漫画を描いてくれるのよ」
「マンガ?ですか?」
アンジュがキョトンとして不思議そうな顔をした。あ、そうか。漫画が何かわからないのか・・・。何だろう。アマルシスは言わばアナタ達アドアンキャラの産みの親なんだけども。私も含めてアナタ達の見てくれを決めたのは遺伝でも何でもなく、アマルシスの画力なのよ!って。ははは。説明出来ないのがもどかしい。
「えぇとね、アマルシスは絵が上手いでしょ?」
「はい、私の似顔絵も描いてもらいました」
「でね、絵本みたいにアマルシスの絵がストーリーに命を吹き込むのよ」
「命・・・!それは凄いですね!」
「えぇ、本当に凄いのよ。アマルシスは・・・」
落ち込んだ時だって、カシス先生の同人誌を読めばカシス先生ワールドに惹き込まれた。その才能を活かす為なら私の私生活をネタとして提供するわ!
「あ、話が変わってすみませんが、ジゼルは日の日は空いていますか?」
「えぇ。今の所予定は無いわ」
「あの、宜しければ私と一緒に教会に行きませんか?」
「えぇ、いいわよ!私もその内教会に行こうと思ってた所だから。それにアンジュとお出かけするのも久々よね」
「まぁ、本当ですか?ならば日の日、10時にジゼルの家まで迎えに行きますね。11時から礼拝が始まりますので終わったら家でお昼ご飯を食べて行ってください」
「でも、どうしたの?アンジュから私を教会に誘うなんて」
「あ、その。最近礼拝に変わった方がお見えになるので、ジゼルにご紹介しようと思いまして」
え、えー?何よ何よ?誰よ誰よ?アンジュがわざわざ私に紹介したい人なんて。アンジュがフワッと優しい表情になった。
あ、もしかして。アマルシスの言っていたハルジオンさんではないだろうか?
う、嘘。嘘、嘘、嘘!!これって私に遂にサポーターチャンスが巡ってきたんじゃない?あ、でもハルジオンさんは新キャラだったわね。私にとってはUMAみたいなもんだわ。でもでも、今回ばかりはアンジュの方が先に出会っているのだから、アンジュ寄りになるわよね。それは何よりだわ!
とりあえず明日、ハルジオンさんの事も忘れずに聞いておかなくては。
私は土日を楽しみに思う反面、テスト勉強いつしよう?という不安要素が残った。いや、今回はお兄様が居るわね・・・。不本意ながらお兄様に教わるしかない状況に陥った私が悪いんだもの、当然よね。
こんな些細な事で人生山あり谷ありを味わえる人生・・・。いとをかし。
「なーなー、ジゼル。日曜日教会行くんだろ?俺も行っていいか?」
休み時間に、後ろから鉛筆で私の背中をつつきながらプレアデスが話しかけてきた。
「は?何故に女の子の楽しみに割って入るのよ」
「ま、まぁジゼル。私は構いませんよ」
「アンジュったら!プレアデスを甘やかしても何も出ないわよ?」
「お前なぁ。ボーイフレンド(仮)の俺に向かってその態度はねぇだろ・・・。結構傷付くぜ?あ、ならこうしねぇ?昼飯はウチでご馳走するぜ!もちろんシェフ自慢の食後のデザート付き!」
「う・・・。アンジュ。プレアデスの屋敷のシェフのお菓子は絶品なのよ・・・」
「まぁ!それは楽しみですね!」
「じゃぁ、こうしましょ。教会にイッテ、プレアデスの屋敷でランチをした後に私達二人はアンジュの家でお茶を飲みながら談笑するって事で」
「よし、決まり!ウチから教会近いから、俺は現地集合でいいぜ。1回シードゥスの教会に行ってみたかったんだけどなかなか機会が無くてな」
えぇ、えぇ。ヤンキーと教会はなかなか結びつかないわね。むしろプレアデスに似合うのは・・・。私は打ちっぱなしのコンクリの壁にスプレーの落書きだらけの廃屋が思いついたが、いくら中身がヤンキーとはいえ、それは無いだろうと思い直した。
紛れもなくプレアデスは私の理想の外見とボイスを持つ、私の王子様なのだ。つい、憎まれ口を叩いてしまうけどもう少し大切にしてあげねば。
◆◇◆◇◆◇◆◇
土の日。私は身支度を整えてアマルシスの屋敷へと向かった。アマルシスの前情報として、アマルシスは伯爵家の次女であり、お父様は美術商を営んでおられるとの事だ。なんとも、アマルシスにピッタリのお屋敷に転生していた事に驚いた。
アマルシスの屋敷はスタイリッシュな感じのする建物だった。前衛的・・・とでも言えばいいのだろうか。
アマルシスの屋敷の扉を叩くと、すぐにアマルシスが出てきてくれた。今日のアマルシスはおさげの髪の毛を解いており、ふわふわの髪の毛が揺れていた。ふふ、おろした髪型も可愛いわ。
「いらっしゃい、ジゼル」
「今日はお招き頂いてありがとう!これ、お土産」
「ありがと〜!さ、入って入って!」
「お邪魔しまーす」
アマルシスの屋敷の中は、さすが芸術一家なだけあって、高そうな絵画やツボなどがそこら中に置かれていた。
私はアマルシスについて美術館の様な家の廊下をひたすら歩いた。
「さ、着いたわ。ここがわたしの部屋よ」
アマルシスに手招きされて部屋の中に入ると・・・。うわぁぁぁぁ!なんか漫画とかエッセイで見る、イラストレーターや漫画家の作業部屋そのまんまだった。
「うっ・・・うぉぉぉぉ。ヤバいヤバいヤバい。カシス先生の部屋だ」
「あはは。もうさ、こういう部屋じゃないと落ち着かなくて」
本棚はギッシリとつまっており、タイトルを見ると、ロマンス小説や資料本が物凄く多いのがわかった。
「ふわぁぁぁ!こ、これはっ!」
私は作業机の上に無造作に置かれた漫画用の原稿用紙を発見した。
「な、何で、この世界に原稿用紙があるの!?」
「あぁ、それね。お父様の知り合いに印刷屋さんが居て、特注で作ってもらったのよ。紙質とかは全然技術が追いついていないのだけど、いつかはもっと上質な紙で描きたいわね」
「なるほど・・・。執念ね」
「えぇ、是非ご縁があるのなら印刷屋か製紙工場の跡取りと結婚したい位よ」
野望は広がるわね。私はアマルシスの事、応援するわ!そしてあの、カシス先生の作品を出来る限りこの世に広めたい。
「アマルシス!私もその夢一緒に追いかけたいわ!」
「ありがとう!私達は運命共同体ね!」
私達は再び、初めてお互いの存在を認識し合ったあの日と同じ様に、ガシィッと固く手を握り合った。
「・・・で、当初のの目的は何だったっけ?」
アマルシスが私より一足先に我に返って私に問うた。
「あぁ、話が未来へ向かって行ってたからね・・・。現代に戻しますか。あのさ、プレアデスルートのライバルキャラについて詳しく聞かせて。アンジュではないのよね?」
「あぁ、それね。アンジュではないけど、同じ位強敵よ」
ゴクリ
「えぇと、こんな事もあろうかと資料を用意しておきました」
アマルシスがわざとらしくメガネをクイッと上げながら得意げにテーブルの上に資料を広げた。
私とアマルシスはそのテーブルの席にそれぞれ向かい合って座った。
ここまでお読みくださいまして、ありがとう御座いました。
只今の季節、ヨーレン菌とインフル、マイコプラズマ肺炎等が流行っている様ですので皆様に置かれましては、充分注意して暖かい格好をしてくださいね!ご自愛くださいませ(๑>∪<๑)
1/15脱字の修正をしました!すみませんでした!




