第48話
お兄様達を追い出して、部屋で一人考える。アドアンの隠しキャラについて。
私はプレアデスだと思っているけど、もしかしたら違うかもしれないという可能性について。そもそも、隠しキャラは一人じゃないかもしれない事について。あぁ、なんで私は未プレイのまま死んだの!?プレイしていればこんなに悩む事も無いのに。あっ!でもプレイしていたらこの世界に転生していなかったなぁ。
うぬぬぬぬ・・・!考えれば考えるほど訳が分からなくなる。私は日記帳を取り出して、隠しキャラ候補を書き出してみた。
まず、一番可能性の高いプレアデス。そしてお兄様とイアンさん。騎士団のレオン様も場合によっちゃアリかも。学園の先生は?誰か居なかったかしら。独身で美麗な方・・・。
まさか、隠しキャラは私、なんてことは無いわよね。アハハハ。だってアンジュがあまりにも殿方に興味を示さないんだもの。まぁ、流石にそれは無いわよね。
キャラ絵でいうと、プレアデスはまず間違いないのよ。アドアンの絵師の甘苺カシス先生の絵そっくりだし、声は私の大好きな声優さんの声だし。
カシス先生の絵、好きだったなぁ。カシス先生はBL同人誌も描いていて、私も何冊も持っている。
カシス先生の描く、受けの恥じらい方がもうそれはそれは言葉ではとても言い表せない程ツボで・・・。また、攻めに至っては少し強引だけど、決して無理強いはせず甘々な展開に持っていく天才か!?って感じの超絶イケメンが・・・はぁはぁ。
「ジゼル様、お食事の時間ですが・・・」
ボニーが私を呼びに来た声で我に帰った私。
はっ!いけない。当初の考えからだいぶ逸れてたわね。とりあえず食事を済ませてからまた考えようっと。
「ジゼル・・・その指は・・・?」
お父様が私の手を見て、張り付いた笑顔で問いかけてきた。
「えぇと、その・・・刺繍をしていたらブスっと・・・。えへへ・・・」
「・・・はぁ。無理しない様にやりなさい」
あぁ、呆れている。呆れているのが火を見るより明らかだわ・・・。でも、これが現実ですよ!アナタの娘は超がつくほど不器用ですよ。
「ち、父上。ジゼルはまだ慣れていないから仕方がないよ!ちゃんと上手くなってるし」
「そうか。頑張ってるんだな」
お兄様がフォローを入れてくれたおかげで、お父様の私に対する印象がだいぶ変わったみたい。先程の呆れ顔から自愛に満ちた顔になったもの。
こうして見るとお兄様だって、ちゃんと整った顔立ちをしているし、優しいっちゃ優しいわよね。あぁ、でもオススメは出来ないわね。いや、でも待てよ。妹しか眼中に無いお兄様がアンジュの魅力で徐々に恋に目覚めていく。いつしか妹よりも大切な存在に・・・。
うん、アリだわ。
アンジュ以外にお兄様の相手が務まるレディが居るとは思えないもの。そうすればアンジュは義理の従姉妹どころか、義理の姉になるじゃない!素敵!
あ、でもそもそもお兄様が隠しキャラじゃなかったらフラグが立たないわね。
「ご馳走様でした」
「あれ?ジゼルもう要らないの?」
お兄様が心配そうにしている。
「ええ。刺繍を頑張った何だか目が疲れてしまったので今日は早く寝ます」
「だったらお兄ちゃんが添い寝を・・・」
「ジルドラ!あなたはすぐジゼルにちょっかいを出すのやめなさい!結婚相手探しでもして、少しは母を安心させてちょうだい」
「はっ、母上っ!それは・・・っ」
ふふ、家族みんなで過ごす時間はとても穏やかで賑やかで。やっぱり大きな家で普段一人っていうのは寂しかったんだな、私。
かと言って過剰に構われるのは御免こうむりたいけど。
部屋に戻り、ベッドに潜り込む。明日も平穏無事に日常を送れますようにと願いを込めて目を閉じた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
それから一週間が経ち、両親とお兄様がいる生活にも慣れた頃、私にとって人生をも揺るがす様な事件が起きた。
移動教室で移動中、忘れ物をして教室に取りに戻って慌てて移動先に向かっている途中、廊下で女生徒とぶつかってしまった。
「きゃっ!」
ぶつかったはずみで少女の手からハラハラと紙が舞散った。
「ご、ごめんなさい!怪我は無いです・・・かって・・・コレ!!」
紙を拾うのを手伝いながらチラッと見えたのは、アルド様やプレアデスのあられもない姿の絵だった!
「ひぇぇ!す、すみません、すみません!!」
「あっ!」
女生徒は慌てて私から紙を引ったくるようにして走り去ってしまった。いや・・・ちょっと・・・。チラッとしか見えなかったけど・・・あれは・・・。
腐 女 子 ! ?
や、是非友達になりたいわ!えぇと確か青い色の校章をつけていたから私と同じ一年生よね。因みに2年生のスクールカラーは赤で、3年生は緑である。
絵が好きなら美術部・・・エリク様が知っているかもしれないわね。部活の様子でも見に行ってみようかしら。
キーンコーンカーンコーーーーン
いけない!授業が始まってしまうわね!私は移動先の教室まではしたないけど走って向かった。
「どうした、ジゼル?なんかソワソワしてっけど」
移動教室で隣の席に座ったプレアデスが私に話しかけてきた。
「プレアデス・・・。わ、私・・・運命的な出逢いをしてしまったかもしれない・・・っ」
「なっ!ど、どういう事だ!?だ、誰だそいつは?(こ、こいつがこんなに顔を赤らめてソワソワするなんて余程の男だよな!?)」
「さっき、ここに来る時にぶつかった人で・・・あぁいうのを運命の出逢いっていうのかも・・・」
「おい・・・。俺もそいつに会う!」
「や、やめてよね!男の人と一緒だと警戒されちゃうじゃない!!」
「むしろ、それ狙いだよ!」
「は!?何言ってんの?ついてきたら絶交だからね!ふんっ!」
「ちょっ・・・!(おいおいおい!またライバル登場かよ。ってか今回はこいつが惚れてるっぽいぞ・・・クソッ!一体どこのどいつだ!)」
いや、アンタのアレやコレを描いている人に会わせてどうするよ。いや、彼女の執筆活動の意欲増進の為にアルド様やプレアデスとかを紹介するのは構わないけど、名前も知らない人だもの。まずお友達になってからが先でしょうが!
「ね、ねぇ、ジゼル様はとても楽しそうなのに対して、プレアデス様凄い殺気を放っていません?」
「ほ、本当ですわ・・・。いつもジゼル様と一緒に微笑ましく笑ってらっしゃるのに」
そんな事を級友が囁いている事など露知らず、私とプレアデスの天国と地獄の様な真逆の感情はその日の授業が終わるまで続いたのであった。
放課後―。私は美術室へ向かった。中を覗いてみると真剣な顔をしてキャンバスに向かっているエリク様が居た。何を描いているのかな。
どうしよう、声をかけづらいな。と思っていたら、私の視線を感じたのか、エリク様と目があった。
「やぁ、ヴィーナスじゃないか!また、絵のモデルになりに来てくれたのかい?」
エリク様は私に気付くと、美術室の中へ招き入れ、椅子を用意してくれた。
「いやあの、ちょっと人探しをですね」
「人探し?」
「はい。絵が凄く上手だったので、美術部に居ないかなと思いまして」
「へぇ、特徴は?」
「えとですね、一年生で、髪の毛を三つ編みにしていて、あぁそうです!深い緑の髪の色でした」
「あぁ!一年生で緑の髪の毛と言えば、あの子じゃないか?」
エリク様が指を差した先はキャンバスに隠れていてよく見えなかった。
「部活中に声をかけても大丈夫ですか?」
「構わないよ。ただ集中している生徒も居るから、隣の部屋を使ってもらっても構わないよ」
「ありがとうございます!」
「ふふ。他ならぬヴィーナスの頼みだからね。ごゆっくり。あぁ、そうだ。あの子はアマルシスという名前だよ」
アマルシスさん・・・。私はそろーっとキャンバスの裏にまわって、人物を確認した。あっ!間違いない!この子だ!私の運命の人!!
「あ、あの・・・」
「ひゃっ!?」
アマルシスさんは私が声をかけると、小さくビクッとしてこちらを向いた。
ここまでお読みくださいましてありがとうございました(^^)
何故か途中からエリク様がアレク様になっていました。修正して回っていますが、他にもアレク様表記を見つけた方がいらっしゃいましたらご一報ください・・・。ご迷惑をおかけして申し訳ございません。_| ̄|○ il||li




