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第35話

 家に帰り、ルシアン様から頂いた紙袋に入っていたのは包装された四角いもので、中身は可愛らしい真珠のイヤリングでした。


「わぁぁ!可愛い〜☆」


 ・・・って、これ、すっごく見覚えあるー!これ、アンジュがもらう予定のやつーーーー!!なのに、私が戴いてどーすんだーーーい!ってか、私に贈ってどうすんだーーーい!

 どうする?返す?アンジュに渡す?いやいや、一度貰ってしまったものを返すのも、また、人から貰ったものを人にあげるのも失礼極まりない行為よね!


 このイヤリングは、アンジュがルシアン様の好感度をある程度高めた状態で誕生日を迎えるとルシアン様がバースデープレゼントにくれるやつだ。

 ・・・いや、ちょっと待って。それじゃぁ、私の今のルシアン様の好感度は、プレゼントを貰える位には高いって事?何故だ!?しつこくつきまとって個人情報聞き出したり、踏み台から落ちたときに下敷きにしたり、メガネ壊したり・・・。迷惑しかかけてないじゃない。ルシアン様とは恋愛イベントだって起こしていないのに。

 今、これを貰ってしまったら、私の誕生日には何が貰えるのかな?それはちょっと興味あるけど。

 

 明日の衣装は青いドレスだから、このイヤリングつけていてもおかしくはないわね。せっかく頂いたのだから、一度はつけている所を見せておこうかしら。


「お嬢様ー。明日と日の日のお茶会の為に、お肌のお手入れしますよー」


 コンコンとノックをして、ボニーとユミルがやってきました。


「あぁ、もうそんな時間なのね。じゃぁお願いするわ」


 フェイスのお手入れは肌にいいとされている海草のパック、そして身体のマッサージで血行を良くしたりとなかなか時間がかかる。前世では全くこういった手入れ等していなかったので、よくよく考えたら前世のプレアデスと出会ってもこんな干物女には恋に落ちたりしなかったであろう。

 プレアデスの前世かぁ・・・。どんな人だったんだろう。どこかですれ違ってたりとかしていたのだろう・・・か。


「ジゼル様、ジゼル様」

「はっ!私寝ちゃっていたの?」

「えぇ、それはもう、ぐっすりと。明日早朝にスティード様の所にお伺いするので、お顔を洗ってオイルを塗ったらお休みください」

「そうね、睡眠不足はお肌の敵よね!」


 かー、前世の私に言ってやりたい。食うもの食わず、寝る間も惜しんでゲーム三昧だったもんね。だから、神様は私を乙女ゲームの無い世界に転生させたのかな・・・?私は洗顔でパックを洗い流して、美容オイルをつけてからベッドに入った。明日は、スティードの格好良さを・・・引き出す・・・の、よ。


◇◆◇◆◇◆◇◆


「おはようございます!スティードさんのお迎えと、身支度のお手伝いに来ました!」

「こっ、これはジゼル様、おはようございます!わざわざ愚息の為に、こんな朝早くからお越しくださいましてありがとうございます!!」

「いえ、私の方こそスティードさんには美味しいパンを頂いたり、とても良くしてもらってばかりですわ」


 スティードのお父様は、スティードよりも少しガッチリしていて素敵なおじ様だった。ユミルの目がハートになっているのは言うまでもない。


「ジッ、ジゼル嬢!お、おはよう!!」

「コラッ!スティード!ジゼル様だろうが!!」

「いえ、いいんです。私がそう呼んでくださいとお願いしたので」

「そ、そうですか・・・。では、宜しくお願いします」

「ふふ。スティード、その青いパイレーツ風の衣装、よく似合っているわ」

「ジゼル嬢も・・・その、素敵だよ!!」

「ありがとう。じゃぁ、ボニー、ユミルお願いね」

「はい」「それではスティード様、髪の毛を整えさせて頂きますね」


 ボニーとユミルがスティードの部屋でヘアメイクをしている最中、スティードの妹さんがヒョコッと顔を出した。


「わぁぁぁぁ!お姉さん綺麗ぃぃぃぃぃ!!あ、お兄ちゃんもお兄ちゃんじゃないみたい!」

「お兄ちゃんじゃないって何だよ!」

「おはようございます、えっとミシェルちゃんだったかな?」

「あ、おはようございます!はい!そうです」


 ミシェルちゃんは14歳。日本だったら中学2年生だね。スティードと同じ色の髪の毛をポニーテールにしている。


「お兄ちゃん、ジゼル様に見惚れてる」

「ばっ、バカ!何言ってんだよ」

「ジゼル様、今日はお兄ちゃんをお願いします!」

「えぇ、もちろんよ。誰よりもカッコイイお兄ちゃんにしてみせるわ!」

「わぁっ!頼もしい!」

「ちょっ、ジゼル嬢!」


 ふふふ。スティードの髪型もバッチリ決まった事だし、いざ、出陣よ。


「さぁ、行きましょうか。スティード」

「あ、う、うん!」


 スティードが私に手を差し出し、エスコートをしてくれた。うん。やっぱりスティードは爵位なんて無くても素敵。

 私達は馬車に乗り込み学園に向かった。


「スティード、覚悟はいい?」

「うん。いつでも大丈夫だよ」


 スティードがスッと馬車を降り、私をエスコートする。私は馬車を降りて、スティードの腕に掴まった。

 

ざわっ


「まぁ、あれはジゼル様と・・・えっ?庶民のスティード!?」 

「スティードってあんなに素敵な方でしたか?」

「ジゼル様も青いドレスがお似合いですわ」

「お二人とも素敵・・・」


 ふふふ。そうよ。スティードは格好良いのよ!見てなさい!踊っているスティードはもっと格好良いんだから!私は完全にスティードの完成度の高さに酔いしれていた。それはそれは冷静になった自分が引くほどに。


ざわっ

「きゃぁぁぁぁぁ!!アルド様よ!」

「アルド様っ!素敵ですわ!」

「はぁぁぁっ、アルド様のフェロモンでめまいが・・・」

「あ、アンジュ様可愛いなぁ」

「ちょっと!私が居るのに見惚れないでよ!」


 くっ。やはり一番のライバルはアルド様・アンジュペアね。

二人とも白い衣装で決めてきている。ふわぁぁぁ!アンジュ、なんて天使なのぉぉぉ!!もはや、神がかっているわ。


「ジゼル、スティード様、おはようございます。お二人ともとても素敵・・・」

「アンジュもとっても素敵よ!」

「ジゼル・・・きっ綺麗だな」

「アルド様。駄目です!他の女性を褒めちゃ。アルド様のパートナーはアンジュですよ!アンジュを一番に想ってダンスに臨んでください」

「ジ、ジゼル?な、なぁ。スティード。ジゼルは酒とか飲んでないよな?」

「はい。なんか昨日からずっとこのテンションなんですけど。よっぽどこのダンスパーティーに思い入れでもあるのかと・・・」

「そ、そうか。なら、良い」


 司会の方と、学園長の挨拶を経て、いよいよワルツがかかった。

 曲に乗って、色とりどりのドレスを着たレディ達が殿方のリードで花の様に美しく可憐に舞っている。


「アルド様とアンジュ様・・・ため息しか出ないわ」

「スティード様とジゼル様だって艶やかで目を惹くわ」

「ジゼル様ってこどもっぽいイメージだったけど衣装で変わるんだな」


 こどもっぽい・・・。私のイメージ・・・。

 曲が、終わり次の組と入れ替わる。全部で3曲踊る予定である。


「やったわね、スティード!掴みは上々よ。とても素敵だったわ」

「ジゼル嬢のおかげだよ。その、本当に今日の君は素晴らしいよ」

「あ、ありがとう。恥ずかしいわね」


 でも、スティードも華やかさではアルド様に負けてないわよ。

 よし、次の曲ね。


「さぁ、スティード・・・、きゃっ!」


 スティードと手を繋ごうと思ったら、仮面を付けた黒ずくめの怪盗風の衣装の殿方に手を引っ張られた。な、何!?


「わりぃな、スティード!ジゼルは俺様が頂く!」

「なっ!?ジゼル嬢!」


 先程よりもテンポの早いワルツが流れる。男にグッと腰を掴まれ、引き寄せられた。こんな事をする奴は一人しか居ない。


「ちょっ!」

「ジゼル、踊ろうぜ!!」

「もう・・・!プレアデス!!」


 何を考えているのか、この男は!いつも斜め上の行動をする。

 ホールの中央まで連れてこられて、プレアデスの格好も含めて大注目を浴びている為、踊らないという選択肢は無い。


 仕方無い・・・。私は観念してステップを踏み始めた。

ここまでお読みくださいまして、ありがとうございました┏○))ペコッ

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