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第3話

タイトル名を変えました。タイトル考えるのって難しいですね。

 私達の通っている学園では、殆どの生徒が貴族であり身分の高い生徒が殆どである。しかし、陛下が学問向上を推奨しており、奨学生制度なるものがあるので試験に合格すれば一般庶民でも通うことが出来るのだ。

 攻略対象者にも一人、奨学生が居るのだ。名前はスティード・クロー。学年は私達と同じ1年生よ。城下町のパン屋の息子でトップの学力を誇るアドレ様に次いで頭がいい人物だ。家が接客業という事もあってか、社交的で気さくな人柄なので、皆からは良い印象の殿方である。髪の毛はショコラ色でサラサラだけどちよっとクセがある。ヘーゼル色の瞳の殿方である。身長は176cm、他の殿方よりは少し低め。

 

 校門前まで乗り付けた馬車から降りて、校門をくぐるとほら、そのスティードが歩いて教室へ向かっているわ。


「スティード、ごきげんよう」

「あぁ、おはようジゼル嬢」


 アンジュの恋のお相手の調査も兼ねて私は今日も殿方との交流を欠かさないわよ!ただね、これをやっていると必ずしも私にも悪い噂っていうものが付きまとう訳で・・・。


「ほら、またですわ。ジゼル様は男好きってお噂は本当だったのですわ」

「女性から殿方に気安く声をかけるとか考えられませんものね」

「色んな有能な殿方にお声をかけているみたいですわよ」


 向こうで女生徒達がこちらを見てヒソヒソしています。あながち間違ってはいないけどね。だってアンジュのお相手だもの。それはそれは有能な殿方達に決まってるじゃないの。


「・・・気にしないの?」


 スティードが私を気遣ってくれているのか、私から女生徒が見えない様に女生徒側に立って歩いてくれている。あら・・・スマート。


「あんなの、いちいち気にしていたら気になった殿方との(エニシ)も、結ばれるものも結ばれなくなっちゃいますわ!(アンジュのね)」

「へぇ、ジゼル嬢は積極的な女性なんだね。・・・っていうかその、気になっている殿方っていうのに俺も含まれてるの?」

「えっ・・・!?あわわ・・・!」


 なんて言って誤魔化せばいいのかしらっ!!スティードがじっと私の顔を覗き込んできます。あぁ、眼福・・・じゃなくて。アンジュの恋の相手だからね!とか言えないよね・・・。


「かっ可能性としてはありですわっ!学園を卒業するまでじっくりどの殿方と縁を結びたいか吟味しないとわからないですものねっ!ほほほ」

「・・・ふーん。身分の差って大きいよね、やっぱり」

「なっ!!そんな事無いですわ!身分違いの恋をしてしまったら、二人にとって何が良策かをちゃんと話し合わなければ!何もせずに身を引くなんて事は愚の骨頂ですわ!!」


 ここで肯定してしまったらスティードは身を引いてしまってアンジュとの縁が結べなくなってしまう!アンジュだって身分なんて気にしないから!


「はははっ、ジゼル嬢は何か他の貴族の女性とは違うよね。俺に、君に対して敬語を使うなとか言うし。ん。わかった。俺も好きになった人が貴族でも、積極的になってみるよ」

「その意気ですわ!!その時は私も協力しますからね!」

「んーーーーー・・・、うん。宜しく頼むよ」


 なんだか歯切れの悪い返事だな。その時ふわっと風が吹いて甘いパンの匂いが私の鼻をくすぐった。


グゥゥゥゥウゥゥウウウ・・・ッ


「え・・・?今の音って・・・」

「ぎゃぁ!ちがっ!私一昨日から殆ど何も食べてなくて!たまたまだから!!今、パンの美味しそうな匂いがしたからつい!いつもこうじゃなくてよぉぉっ!!」

「ぷっ!あはははは!!ジゼル嬢お腹空いているんだ。んしょ。良かったらはい。これ始業前に食べなよ」


 そう言ってスティードはカバンからパンを取り出して私に差し出したのだ。


「え、いいの?」

「授業中にお腹なったら恥ずかしいでしょ?ジゼル嬢のお腹の音は俺だけの秘密♪」

「あ、ありがとう。その、いただくわ」


 スティード・・・。アンタめっちゃいいやつじゃない!よし、それとなくアンジュにスティードの事ほのめかしてみようっと。

 

 教室に入り私達はそれぞれ席に着いた。よし、スティードからもらったパンを食べちゃいましょ!スティードのパンはコッペパンの間にピーナツクリームが挟まったものだった。いっただきま~す!!あむっ!むぐむぐ・・・。美味しい!!パンが始めはサクって食感で噛むとモチモチ食感でピーナツクリームも粒々が残っていて甘くて美味しいぃ!!


「じ、ジゼル様、教室で朝食ですか?」


 席が隣のマリィユ嬢が若干引きながら私に聞いてきた。あぁ、「お嬢様なのに」って言葉が例え口に出さなくてもヒシヒシと伝わってきます。


「えぇ。スティードのお家のパンなんですの。とっても美味ですわ♪マリィユ様も少し召し上がってみます?」

「え、いや私は・・・クン、まぁいい香りのパンですね」

「でしょ~?本当に美味しいんですのよ。我慢できなくてここで食べてしまっていますの、さぁ、一口」


 私はパンを一口分むしってマリィユ嬢に差し出した。


「あ、じゃぁ・・・。頂きます・・・。パクッ、むぐむぐ・・・!!美味しい!」

「でしょでしょ?今度買いに行ってあげてね!」


 嫌がるマリィユ嬢に無理やりパンを食べさせて共犯に仕立て上げる恐ろしい戦法ですのよ。ついでにスティードの家のパン屋の宣伝もちゃっかりしといたわ。


 ふと、スティードの方を見ると、スティードは優しい顔でこちらを見ていた。私がジェスチャーと口パク

で、このパンすっごく美味しいよ!って伝えると、彼は肩を震わせて笑っていた。えー・・・?別に笑わせるつもりじゃなかったんだけどなぁ。本当に美味しかったので、後で買いに行ってアンジュとアルド様にもオススメしておこうっと。


 そんなやりとりの後に、アンジュとアルド様がようやく教室に入ってきた。よしよし、二人で登校ね・・・。ナイスよ!アンジュ!

 アンジュは私に気付くと、こちらにかけよってきた。


「ジゼル!もうお加減は宜しいのですか?」

「アンジュおはよう!えぇ、どこも痛くないわ!」

「首も大丈夫ですか?痣が見ていて痛々しいのですけど」

「首・・・?はっ!!本当だわ!痣になってるじゃない!今気付いたわ!」


 鏡を取り出して見ると、首にうっすら痕が残っていた。あのヤロー!乙女の首に何てことするのよ!今度会ったら許さないわよ!・・・って今頃城の地下牢に入っているわよね。撃退したのがアルド様なんだもん。


「まぁ!ジゼルったら。うふふ。元気そうで良かったです」

「ありがと、アンジュ。アルド様もおはようございます」

「あぁ。おはよう。一昨日は済まなかったな。俺がもう少し気をつけていればこんな事にはならなかったのに」

「いいえ、暴漢をやっつけて助けてくれたではないですか!それだけでも御の字ですわ。こんなの時間が経てば消えますし。アルド様のせいじゃありません。それよりもこちらこそ、せっかくの休日を潰してしまってすみませんでした。でも・・・あの時のアルド様、格好良かったですわよねぇ?アンジュ」


 ぶっちゃけよく覚えてないけど。アンジュに印象づける為にわざわざ振ってみた。


「え、ええ。茂みの方で大きな音がしたと思ったら、アルド様がとても鬼気迫る勢いでそちらに走っていかれたので私追いつけませんでしたけど。ジゼルの英雄みたいで素敵でしたわ」


 ちょっ!ちがーーーーーーーう!!そうじゃないでしょ?え?まじで?アンジュはアルド様の雄姿を見てなかったの?じゃぁ何を見てたの!? 解⇒後姿。


「いやいや、襲われたのがアンジュでも同じ事なさいますよね?アルド様」

「あぁ。二人とも大切なイトコだからな。アンジュだったとしても俺は同じ事をした」


 ほらね!私の英雄とか関係ないの!ちゃんと覚えておいてよ?

 だってアルド様はあの時アンジュと二人きりだったんですもの、私の事なんて1mmも考えてないわよ。


 

 さてと、今週は何のイベントがあったかしらねぇ。他の攻略対象ともうまくアンジュとの絡むチャンスを作っていかなくてはなるまい。私は授業そっちのけで作戦会議に耽っていたのだった。

ここまで読んでくださいまして、ありがとうございましたm(__)m

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