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夢を見る月の見た夢ver謎猫

作者: To夢見月From謎猫

以前に私が投稿した「夢を見る月の見た夢」(http://ncode.syosetu.com/n0811du/)を謎猫さん(http://mypage.syosetu.com/571010/)が再構成してプレゼントしてくださいました!

私だけが読むにはあまりにも勿体ないので、謎猫さんの許可を得て投稿させていただきました。


僕は夢を見る。


夢と言っても、将来の夢や希望の類いではなく

寝ている時に見る方の夢だ。


別に、夢を見る事自体を特別な事とは想っていない。

でも、その夢は自分だけの特別な世界だとは想っている。


行った事も無い海外の街へ旅をしていたり

現実とも区別の無い様な学校へ行く日常の夢だったり

可愛い女の子と水族館に出掛ける夢だったり。


それこそ夢の中なら、空を飛ぶ事もできたり

猫と話せたり、地球外生命体に追われたり・・・


ただ、沢山の夢を見るものの

それ自体を選ぶ事は出来ない。


いつ、その夢から覚めるのかも分からない。

夢の中では、それが夢の中だとは認識出来ないからだ。


それが夢であった事を知る事が出来るのは目が覚めた時

その時に、初めて夢だったと知るけれど

夢と言うのは、数秒間で忘れてしまうほど脆く儚い記憶だ。


ただし、例外を除いては・・・



***********************



僕は今、図書館の正面玄関前に居る。


「あっ!」

「にゃはは~♪」


目の前には、小さく笑う女の子が居る。


「また逢ったね?」

「そうですね~♪」


まるで、本屋やカフェで良く逢う常連客の様だ。


「今日は?」

「今日ですか?」


実は・・・

僕は小説作家をしている。

恥ずかしながら売れ行きは良くない・・・


けど、その娘は僕の書いた物語を読み

それ程多くは無いが、全ての作品への感想を

聞かせてくれた。


それはとてもうれしいことだった。


「まだ、新しい物語は出来上がってないけど」

「そうなんですかぁ・・・(寂)」

「何か新しいの書き上がった?」

「私ですか?」


その娘も、物語を書いているらしく

たまに短めの小説を僕に読ませてくれる。


「書き上がってるなら読みたいな」

「あうぅ~(///)」

「その顔は、今日持ってきているって事かな?」

「むぅ~(照)」


どうやら、彼女は書き上げた物語を

持ってきているらしい。


「小説が有るって顔に書いてるよ?」

「あ、あまり意地悪な事言うと読ませませんよ?(///)」

「ごめんごめん」

「むぅ!」


少し拗ねた顔をしながら、彼女はバッグからB5サイズの

ノートを取り出した。


「いつも想うけど、手書きってすごいよね?」

「私・・・ 機械が苦手で・・・」

「でも、慣れると楽だよ?」

「慣れとかじゃなく、なんか電波が苦手で・・・」

「電波?」

「・・・・・・」

「・・・・・・?」

「・・・・・・(困)」


良く分からないが、お互い困っている・・・

兎に角、彼女は電波が苦手らしい。


と言うか、そもそも僕は彼女の名前を知らない

顔を見る限り年下だとは想うけど、年齢も知らない

勿論、どこに住んでいるのかも知らないし

電話番号やメールアドレスの連絡先も知らない


知っている事といえば、見ての通り身長は

やや低めで黒髪の女の子。

ちょっと猫っぽい不思議な感じの娘という事。


そして、彼女の書く文字はいつも楽しそうで明るい。

小説としては、やや物足りなさを感じることもあったが

そこには僕を惹きつけるだけの魅力がある。


「そう言えば、まだ名前を聞いてなかったよね?」

「私の名前ですか?」

「そうそう、名前」

「う~ん・・・」


彼女は、難しい顔をして少し首を傾げた。


「言いにくければ、ペンネームとかでも良いよ?」

「ペンネーム?」

「僕は、夢見月って名前を使っているけど」

「あっ、本の作者名ですね」


そう言えば、彼女は僕の出版している本を

読んで居るのだから、僕のペンネームも

当然、知っているのだった。


「って! 僕のは知っていたよね!」

「にゃはは~ 知ってました♪」

「僕は、何て呼べば良いかな?」

「う~ん・・・」


彼女は瞳を閉じて小さく首を傾げている。

何やら、本気で考えて居るらしい。


「想い付かなければ、今度でも良いよ??」

「あっ!」

「うん?」

「決めましたっ!」

「想い付いたんだ?」

「はい♪」


明るい返事の後、口にした名前は

彼女のイメージをそのまま表したような

誰もが納得できるものだった。


「なぞねこ?」

「はい♪ 謎猫です♪」

「う~ん」

「だ、駄目でしたか?」

「いや、イメージ通りというか そのままというか」

「えぇ~ 不評ですか??(泣)」

「ち、違う違う!」

「むぅ~(困)」


彼女は、少し不機嫌そうな顔をしている。


「そうじゃなくて、あまりに違和感が無いなと」

「そうですか??」

「すごく似合っている名前だと想うよ」

「ホントですか♪」


今度は嬉しそうな顔をしている。

色々と表情が忙しい娘だ。



***********************



気が付くと、そこはベッドの上だった。


僕は、起き上がりベッドから出る。


身体は軽かった。


そして、毎度の事ながら夢を見ていた事に気が付く。


その夢は、普段の記憶から薄れて消えゆく一歩手前くらいの時期に見る。


登場する相手はいつも同じで、風景や状況は違うのだが不思議な事に

前回まで見た夢の記憶が残っていて、目が覚めた後も忘れない。


「うーん」


軽くストレッチをしながら、夢の内容を頭の中でかき集める。


「いつも出てくる、あの娘は一体・・・」


頭の中ではハッキリと顔の輪郭や風景の様子が分かっているのに

何故なのか説明をしようとすると像がぼんやりと霞む。


今日は、休日だが図書館に借りた本や資料を返却に行く予定があり

早々に支度を済ませ家を出た。


「まだ、早めの時間だから空いているな」


電車を降り、駅から図書館までの間

珍しい事に誰ともすれ違う事は無かった。


世界は光彩を放ち、淡い色に包まれ、どこか懐かしい感じがした。


図書館の正面玄関にたどり着くと

そこには、一匹の黒猫がいた。


「あっ!」

「にゃぁ~♪」


僕の顔を見て黒猫が鳴いた。

僕は迷うことなく答えた。


「また逢いましたね? 謎猫さん」

「にゃ~♪」

「夢見月です」

「にゃは~♪」


黒猫は、まるで笑っているかの様に

にゃぁ~ とゆっくり鳴いた。


そして、僕の夢はまだ続く。


謎猫さんの作品は日常風景が書かれることが多く、「これは、実体験なのでは?」と思うほどです。

是非一度、足を運んでみてください。

「黒猫のエプロン(http://ncode.syosetu.com/n5789cr/)」

「普通に学園祭♪(http://ncode.syosetu.com/n2418da/)」

「ミミと しっぽと エプロンと あとは何?(http://ncode.syosetu.com/n3445di/)」

私の個人的な好みではこの三つがおすすめです!

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