lost
学校にアンジェリカが在籍していた頃の事である。
校内にて。
「ねーねー、アンジェリカ~。あんたの親しくしてる後輩くん、カッコいいよねぇ~」
――え、後輩? どいつだ? カッコいい奴とか居たっけ?
「今度誘っちゃおっかな~? あんたの友達だって言ったら、少しくらいはお話聞いてくれるよねぇ?」
「誰の事を言ってるの?」
「ん~、あの目付きの悪い子ぉ……確か〈ユージン〉とか言ってなかったかな?」
――マジか……こいつも物好きだな。
その夜。
ユージンは気分の悪さを覚え、自室のベッドで目を覚ました。
室内は暗く、窓からの月明かりが薄っすらと照らしている程度。
――うう、気分悪い……飲み過ぎたかな。いや、それだけじゃないカンジが。怠さの種類がいつもと違うし、アルコールだけの影響じゃないよーな?
ユージンの意識の中で、アンジェリカにもらったシガーがピックアップされた。
――あぁ、アレか。体質に合わなかったかな。あの女、オリジナルの葉っぱ配合しやがるから……。
はぁ。と寝返りを打ったユージンの、息が止まる。
目の前に、あの女が居たのだ。
アンジェリカ。
「ひぃあっ?」とノドが音をたてるほど強く、息を吸い込む。
彼女はゆっくりと目を開け、ニタリと笑った。
思わずブランケットを剥ぎ取ると、ふたりとも全裸であった。
「う……うわぁぁぁ!」
「うるさい」
「先輩酷いっ! 先輩レイパー! 先輩強姦魔っ!」
ユージンはブランケットに顔を押し付け、号泣する。
「あのねぇ、こっちだって初めてのドヘタクソとか欲しくもなかったし、あんたに興味もなかったの。だから泣き叫ぶのやめてくれない? 迷惑なんだけど」
「じゃ、なんでどうしてっ!」
「うっさい。お前メンドクセェ」
「ちゃんと納得出来るように説明してくださいよっ! だいたい……あ、あれ?」
ユージンは真顔になり、顔を先輩の方へと向ける。
「なに? 今度はナニよ」
「おっ俺、なんかケツから腰が痛……あっあんた、俺にナニしたんだよ……?」
ユージンは青ざめ、小さく震える声で言った。
アンジェリカはその顔を数秒眺めてから息を吐き、ポツリと呟く。
「それは――まぁ、知らない方がいいんじゃないの」
アンジェリカにそう言われたユージンはブランケットを頭からかぶり、シクシクと泣きながら夜明けを迎えた。




