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やどりぎ  作者: あおい
Sub episode
26/31

珠玉


 とある日の午後。遥斗宅リビング。


「うわーっ! 徐若瑄に――っ!」


 影が何かを叫びながら、通り抜けて行った。

 室内に風が巻き起こり、悠真の身体が舞い上がる。


 そして、数秒後。


「白髪発生――っ! うわあぁぁぁぁーっ!」


 またもや突風は部屋を横切り、去って行った。


「なっ、なんだなんだ? 今の、どっかで聞いたような声だったぞ?」


 悠真がヒラヒラと床の上に着地するのと同時に、ヴィヴィアンは呟いた。


「クーちゃん……」と。




「でっ? きみは地球から戻りずーっと同じ事を叫び続けているが、それが何だと言うんだい? ショックだとでもっ?」


 トバイアスは迷惑な表情を浮かべ、低い声で言った。


「いいや、別に」と真顔で返すクェンティン。


「なら、何なんだい!」


「一本欲しくね?」


「欲しくないっ!」


「うっそぉぉぉ! 徐若瑄の髪だぞ! 白い髪だぞ! 美しくていい匂いがするに決まってる! 地球の宝だ! 銀河の至宝! 宇宙の神秘! 欲しいに決まってるだろうがっ!」


「何度も言うが、欲しくないっ! と言うか、わざわざ僕の部屋に来て劣情を叫ぶな! 部屋の空気が穢れるっ!」


「この気持ちが分からないなんて! さては、お前――」


 ギョッとしたトバイアスに、クェンティンが顔を近づける。


「ホモかオカ……」


「僕は至って普通の感覚を持った、ノーマルストレートだ! 出て行けーっ!」


 トバイアスはクェンティンを蹴り上げ、部屋から追い出した。

 そして息を吐き捨て、荒々しく扉を閉める。


 クェンティンは、トバイアスの部屋の前の、廊下の壁に頭から突っ込んだが、痛みはあまり感じなかった。

 徐若瑄の笑顔を思い浮かべると、自然と顔がニヤけてしまうのだ。痛みすら霧散し、消えてしまう。


 ゆっくり態勢を立て直し、床に座り込んだままクェンティンは呟いた。


「あの良さが分からないなんて、これだから童貞は。ククク」


「どどど童貞でもないっ!」


 背後から追加のツッコミを受け、クェンティンは気絶した。

 彼の後頭部には、椅子の脚が突き刺さっている。

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