第2話「平凡な高校生活」
マンガや物語のように、生まれ持った特別な能力もなければ、魔法が使えるということもないただの一般人。
それが私こと、双葉 朱姫16歳。高校2年に進級した私はどこにでもいる女子高生の生活を送っていた。
髪を金に染めて非行に走ることもなく、けばけばしい化粧できゃぴきゃぴしていることもない。黒髪ロングストレートで、ファンデーションとマスカラ、あとはグロスくらいのナチュラルメイクで飾っているだけ。
「よ、双葉!」
「おはよう」
彼氏がいるわけではなく、クラスメートの男子に挨拶されては笑顔で返す。そんな日常だった。
「朱姫、おっはよー!!」
「奈々ちゃん、おはよう」
靴から上履きに履き替えていると、後ろから飛びつかれて挨拶されたが驚くことはない。それは相手が親友の北川 奈々ちゃんと知っているからだ。
「朱姫、さっき田中に挨拶されたでしょー?」
「え?あぁ、うん。されたけど……」
「アイツ絶対に朱姫を狙ってるから気をつけてね!」
靴を下駄箱にしまって、上履きに足を通しながら教室へと向かい始める。そんな私を追ってくる奈々ちゃんの言葉には驚かずにただ笑った。
「まさか、そんなわけないよ」
「朱姫はもうちょっと自分に自信持つべきだよー!だって普通に朱姫可愛いし!!」
「普通に可愛いって、よくわからないんだけどなあ?」
必死に言い募ってくる奈々ちゃんが可愛くてつい意地悪を言ってしまう。後ろで『可愛いは可愛いだよ!』と言っている奈々ちゃん。説明になっていないと思うも、それ以上突っ込むようなことはしないのがいつものことだ。
「それより奈々ちゃん、彼氏とはうまくいってるの?」
「もう、ばっちり!」
話を私のことからそらして問いかけると、奈々ちゃんは満面の笑みで頷いた。それからデレデレと彼氏の話を始めるが、私は半分ほど聞き流しながら教室に入る。
冷たいとかドライとか言われそうだが、これが私で、私の日常生活であった。