第21話「裏話その三、写真」 Side 市花
田中が暴露した晩、私は田中をあるカラオケルームに呼び出した。
入ってくるなり私に食ってかかる田中を誘って、別の場所に移動する。
そこには既に、私が呼んでいた他の男たちがスタンバイしていた。
『双葉さん……これ……』
『田中くんだって興味あるでしょ?』
綺麗な笑みを作って田中を誘いこみ、私たちは重なった。最中を写真で収めながら、行為に夢中になる。
すべてが終わってから、すぐに現像させにいき田中に写真を手渡した。
『それを玄関に貼り出せば、きっと皆信じてくれるよ!』
『ああ……そうだね』
『なに、田中くん?どうしたの?』
私が問いかけると、田中は少し迷った後、正直に口を開いた。
『いや……双葉さんってもっと清純な子だと思ってたから……』
『――幻滅した?それは私悪くないよ。『私』に対して勝手な幻想抱いてるのはそっちじゃん』
思わず本音を口にしてしまったが、田中が気づくはずもなく写真を片手に帰っていく。
その後ろ姿を見ていると、協力してきた男の一人が後ろから抱きついてきた。
『ねー、見返りになんかしてよ?朱姫チャン』
『……うっさい、興が覚めた。帰る』
私は男を引きはがして、荷物を片手にその場を後にした。
どいつもこいつも『朱姫チャン』、『朱姫チャン』ばっかり。
結局、男にとって女はただのおもちゃで、女にとって男はステータスのうちにすぎない。
人間って滑稽で、醜悪で、哀れだ。
でも、その中でも一番なのは……
『おかえり、市花チャン』
にたりと気持ち悪い笑みを浮かべる、母の浮気男。それに心を押し潰して笑顔で答える。
そうしなければ暴力を振るわれるから。 裏の顔を隠して、表面で愛想を振りまく。
――人間の中でも私以上に滑稽な人はいないだろう。




